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42話:若造組vs老い耄れ組【4】


瓦礫を昇りミルフィの元へと駆け付けたラキュアで有ったが、何故か其処に有った自分の大鎌を手に取りクリフに応戦するも戦いに慣れて無いラキュアは、動き回るクリフに攻撃を当てれずに居た。


「おおっと危ねぇ」

『んもう!!なんでなの~!!』ブゥゥン!!

「その恐ろしい大鎌も当たらなければ意味が無いな。フン!!」ササッ!

『ぐぬぬ!!避けてばかりズルいですよ!!』

「ハッハッハ!!面白い事を言うな。何でも斬れる大鎌を防ぐには避ける他有るまい!!」


ラキュアを揶揄う(からかう)様に避け続けていたクリフ。しかし彼の額には汗が滲み出ていた。いくら振り回すのが子供とは言え、受け止める事が出来ないその刃に油断など出来ないからで有る。そして出鱈目だからこそ危険が付物。子供に握らせる刃物ほど怖いものは無いのだから。

そんなクリフの心境など露知らず、ガーデル達とリンバス達が合流を果たす。


「可笑しいですわね…助けに来てくれたのでしょうが……どう見ても遊ばれていますわね」

「まるで子供相手ですね…」

「リンバスは何言ってるんですか。あの子は正真正銘の子供ですよ…」

「子供の振りした悪魔なんだがな」

「ガーデルまでそんな事を!!もの凄く可愛い子なんですよ!!」

「ミルフィは一緒に寝ていたもんな…恐ろしや~」


…《大変恐縮なのですがお仲間達に悪口言われているぴょこ》…

…な、なによ急に!!私それ所じゃないんだけど!!そんなのほっといて当てる方法考えてよね!!…

…《当てる方法ぴょこ?これからは素振りの練習を追加だぴょこ》…

…そんな未来形な方法は要らないのよ!!…


「だが御かげでこうして合流出来た。この時間を作ったのはお嬢ちゃんに他ならない」

「そうだな、あの子と遊んでる暇が有るなら俺達を落せた筈なのにな…」

「それをクリフはしない…どういう事だ?どうするガーデル。このまま逃げるか…」

「何を寝ぼけてやがる!!ちびっ子置いて逃げれるかっての。ミルフィ、またさっきの魔法頼めるか?」

「さっきってあの小さな爆発の?」

「違う、あの可愛い爆発の魔法じゃなくて壁を壊したド派手な魔法だ」

「そ、それなら出来ますわ!!小さな方は良く分からないけど失敗した魔法だったから…」

「道理で火の玉が小さく成って行くわけだな!!」

「詠唱自体は壁を壊した時と同じ魔法の筈でしたが、発動したのは全く違う魔法でしたね…」

「兎に角奴に一撃ブチかまし、お嬢ちゃんを連れだす隙を作る。その為には先ず、用意した馬車で逃げ出す準備だ。負傷組のリンバス達に任せる」


(((((((「了解!!」)))))))


予め用意した馬車で逃げ出す準備をする者 

クリフに魔法を放ち隙を作る者 

その隙を狙いラキュアを連れだす者 

これらの役割果たすべくガーデル達は行動に出た。


「魔族共が動き出したか。こうしちゃ居られん、直ぐにでも無力化せねば…」ッハ!!

『そんなの効きませんよ!!』

ガキン!!

「脇腹がガラ空きだぞ」シュン!!

キュイン!!

「ッチ!!やはりこうなるか…その武器と言い服と言い…それにあの眼は…」

『隙あり!!!!どりゃああ!!』ブゥゥン!!

「あらよっと!!」

『ムキぃぃぃぃぃぃ!!!フンフンフンフン!!』

「こりゃ酷いな…無視して魔族追うか…だが放っておく訳にも行かんしな。背中から斬られたら堪ったもんじゃねぇ」


~魂に宿る火の精霊達よ~


…《お、落ち着くぴょこ~!!そんな大雑把に振り回しても当たらないって先ほど学んだばかりだぴょこ!!》…


『ぴょこぴょこ五月蠅いぴょこね!!だったらアンタが何とかしてよ!!』

「…はぁ!!?」


…《そうしたいのは山々だけど今の君の魔力は危ないぴょこ…漏れ出た魔力しか蓄えれなくて鎌を出す力しか出せないぴょこ》…


『なに言ってるか全然分からないよ!!』

「全くだぜ…」


…《それとさっきから声に出ちゃってるぴょこ》…


~我が魂を介し大気に眠る風の精霊達と共に共鳴せよ~


『なっ!!!』

「どうしたお嬢ちゃん、顔が真っ赤だぞ?」

『五月蠅いですね!!放って置いて下さい!!』

「放ったら放ったで後ろから斬りかかるであろうに…」


…《全くだぴょこ》…


『うるさいぴょこねぇ!!!!!』

「ぴょこぴょこうるせーぞお嬢ちゃん!!おりゃあ!!」シュン!!


~その魂は熱風の意志に生まれ変わり~


ガキン!!

「魔族か…だが甘いな」ザシュ!!


ガーデルが硬化した肩でタックルを仕掛けて来た。しかしそれを剣で受け止め、ガーデルはその剣から逃げる様に遠ざかる。


「グッ!!俺の硬化が…」

「そのまま行けばお前の肩が真っ二つだったな」

『ちょ、何しに来てるんですかガーデル!!』

「助けに決まってるだろ」

『これで助けに来たとかどの口が言うんですかね!!』

「全くだな」

「助けるってのはな、色んな意味があるんだぜ!!」

『何を言ってるんですかね…』

「ふ、今に分かるぜ」


~我に宿る爆炎の意志と共に全てを粉砕する熱波の塊となれ~


「っな!!あれは!!」

「今頃気づいたか?だがもう遅いぜ、伏せろ!!お嬢ちゃん!!」ガバ

「ふぇぇぇ!?」


「破ぜろ!!エクスプロージョン!!」


ブォオオオオオオオオオ!!!シューン!!……ドゴオオォォォォン!!!


ミルフィが唱えていた詠唱はやがて形を成して行き、直径3m程の火の玉がクリフに向かって放たれた。轟音をあげ衝突した先は黒煙と砂煙に包まれ辺りは削れた地面が飛散していた。その威力は間違いない物だと誰もが思う。


「ナイスショット!!良い爆発だ!!今のうちに逃げるぞお嬢ちゃん!!」

「助けるってそう言う意味ですかぁ!?ダサいキメ台詞でしたね!!」

「うるせぇ!!そもそもクリフなんかに俺達が勝てる訳ねーんだよ!!ほら行くぞ!!」


しかし…


「ふ、ッハッハッハ!!」


煙の中、笑い声と共にクリフが出て来る。


「またアレを打たるのかと覚悟したのだがな!!見てくれだけの爆破魔法で良かったわい!!心臓に悪いからな、やはりアヤツから倒しておかねばな」ササッ!!

「な、無傷だと!?いくら勝てないからとは言え…」

「それよりミルフィちゃんが!!」

「私…もう…だめ…今魔力使いすぎたわ…」ガクン


ガタガタガタガタ

「ミルフィ!!早くコッチへ!!」

「ご、ごめん…リンバス…私立てそうも…ない、アハハ…」

「糞っミルフィの野郎!!無理してやがったのかよ!!このままじゃクリフに…」

『早く助けに!!』

「バカ言うな!!もう間に合わん!!!糞…お嬢ちゃんだけでも…」

『そんなミルフィちゃんが!!』

「俺に遠距離技が有れば…足止め位は…」


…遠距離技!?魔法とか?私に魔法つかる?…


…《今の君じゃ使えないぴょこ。訓練をしていないぴょこ。でも君でも使える技ならあるぴょこ》…


…え、技って…


…《思い出すぴょこ。お店で鎧と壁を粉砕した時の事をぴょこ》…


…っは!!私、思いっきり振りかぶったら遠くの石壁が壊れたアレの事ね!?…


…《それだぴょこ。あの時と同じ様に目標に向かって振り抜くぴょこ》…


…振り抜く…目標に…あの人に…ミルフィちゃんには当たらない様に…思いっきり…振り…抜く!!!!…



『とぉっぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!』ブォオォォオオオン!!!!


眼にも止まらぬ速さで斬撃がクリフに向かって放たれた。そしてそれはクリフの五感に引っかかる。

風を切る音と経験を詰み得た死の予兆がクリフに感ずかせた。


「何か…ヤバイもんが…来…るッッ!!」ササッ!!! 



ミルフィに向かって駆けるクリフが後ろから来る何かを感じ取り、その目で確かめず【ヤバイ】と言う勘だけで体を捻らせた。その勘は的中し、後ろから迫った斬撃はクリフの横腹を抉り抜く。


ポタッポタッ

「っグッ!!!…後少しでも遅れれば俺の体は…」ガサ


クリフが傷を抑え、地面に片膝をついた。ミルフィへの襲撃を止めたのである。


「ミルフィ!!ほら!!ボクの肩に掴まって!!」

「まさかヒョロヒョロのリンバスの肩を借りる日が来るなんてね…それよりリンバス…脚の血が…」

「これ位今の皆の傷を見たら何ともないよ。ナイフが刺さってただけさ…さぁ…乗り込むよ…フ!!」

「刺さってただけって…。…有り難うリンバス。」

「次はガーデルとお嬢ちゃんを回収すっぞ!!ちゃんと掴まっとけよ!!ッハ!!!」


ガタガタガタガタ


「なっ!?、お嬢ちゃん何をした…!!?」

『今はそんな事気にしてる暇ないですよ!!早く馬車に!!』

「そ、そうだな…!!」


ラキュアの元に向かってきた幌馬車に走りながら飛び乗ろうとするガーデル。そしてラキュアに手を差し伸べた。しかしラキュアは…


『ごめんなさいガーデル。私はまだ行けない。メイビス達がまだだもん』

「バカ言ってないで早くつかまれ!!乗り遅れる!!」

『私達なら大丈夫!!許可を得て入って来たからね!!』

「そんなのもう意味ないだろ!!」

「ガーデル急げ!!停車してる暇などないぞ!!」

「ッチ!!捕まんなよ!!じゃあな!!」ササッダン!!


ガーデルが脚と羽を使った跳躍で馬車に乗り込む。そしてラキュアはクリフの元へと歩く。

その頃、メイビス達が館のパーティフロアまで戻って来た。しかし、先ほどと全く違う館の光景に驚き辺りを見回していた。


《な、なんだこれは…館がボロボロでは無いか…一体何が起きたんだ!?》

「カインがもバッチリ戦かってるにゃ…アレは本当にカインかにゃ?戦況が悪い様には見えないにゃ…」

《あぁ…それに…いや、それは後で聞けば良いか…あの様子なら大丈夫だろう。今の内にラキュアを探すぞ》

「魔族達に守られてる筈なのに見当たらないにゃ」

《きっと瓦礫の先だろう…あの向こうで荷馬車を引く音がする。クリフも居ないし最悪戦っているのかもしれん!!急いで連れ出すぞ》


ジェミルニアと今も尚戦うカインを置いて、瓦礫の向こうへと進むメイビス達が次に見た光景は、焦げ臭く、一部が窪んだ庭に居るラキュアと傷を抑えてしゃがみ込むクリフの姿で有った。



『お、おじさん大丈夫?』

「何だいお嬢ちゃん。自分でやっておいてワシの心配かい…そのまま逃げれば良い物を…」

『私にも事情と言うモノがあるのですよ』

「子供の癖に何をいっとるのだか…ワシなら大丈夫だ」ガサ

《血が…大丈夫そうには見えないのですが…》

「これ位気合いで何とかなるわ。フッ!!」ギチィ!!キュ!!


…うわぁ、力入れて出血を止めましたよこのお方…呼吸しづらそうです…


「おや、アレはお嬢ちゃんの連れか?」


…あ、普通に喋れてますね。案外大丈夫なのかな?ってアレはメイビスとソマリ!!?…


タタタタ!!

《ラキュア!!無事か》

「ラキュにゃ~ん!!怪我は無いかにゃ!!」バサ

≪目だった外傷は無い様だな…酷いのはソッチの方か…。それよりその大鎌…それに眼帯も外して目ん玉ガン開きでは無いか!!≫

「これはもう言い訳のしようが無いのにゃ…」

『言い訳する以前に私の名前普通に呼んじゃってますよね!?良いのですか!?』

「にゃ…」

《あぁ…》

「な…んだと…今ラキュアと…」


…ほら言わんこっちゃ無い!!…


「気のせいにゃ」

《空耳だ》

「そ、そうなのか!?」


…あれ、信じちゃうの?それなら好都合だけどね!!…


『ねぇメイビス。それよりカインの方は大丈夫なんですか!?』

「私の事は鬼仮面と言いたまえ!!」

『そんな事今言われても!!』

「また地雷ふんだにゃ!?」

「ラキュアにメイビスにカイン…だと…」

《何て事だ…折角凌いだのにお前のせいで!!》


…ひぃぃぃ!!そんな事言われたってしょうがないじゃないですかぁ!!…


「そうか…お嬢ちゃんはラキュアなのだな…」

《違うぞクリフ、こんな淑女から掛け離れた子供がラキュアな訳が無かろう》

「そうで御座いますな、メイビス様。ですがラキュアなのはこれでハッキリしましたぞ。このワシを呼び捨てで呼べるモノなどそう多くは居りません。

「にゃは~…決定的なトドメはメイにゃんだにゃ…」

《っハ!!!私とした事が!!》

『鬼仮面さんなにやってるんですかぁ!!全くもう!!』

「その呼び名はもう意味を成さないのにゃぁ…」


隠すに隠せなかったラキュア達の素性がクリフにばれてしまった瞬間であった。そしてクリフが立ち上がった。


「ハッハッハ!!これはワシらの負けだな。館に戻るとするか」

『ど、どうするんですか鬼仮面さん…』

《カインがまだ館で戦っている。私達も行くぞ》

「そうするにゃ…」


瓦礫を昇り、再び館へと戻るラキュア達。そして先に到着したクリフが苦戦を強いられたジェミルニアへと声を掛けた。


そして物語は【2】へと繋がった。



…《ゴクゴク!!か~!!生き返るぴょこ!!それにしても行先が同じとは思わなかったぴょこ》…


「みてリンバス!!兵士達ががっちり壁を囲んでいますわ!!」

「本当だ…これでは窓を破って入る事は出来そうもないですね…」

「あ!!あれ!!ガーデル達じゃない?潜入のはずなのに見つかってるじゃない!!」

「成る程、だから兵士達が逃がさない為に取り囲んでいる訳ですね…これは僕達で助け舟を出す必要がありますよ」

「助け舟ってどうやって…」

「勿論壁を壊して逃げ道を作ってあげるのですよ。ですがボクの魔法では威力が足りないかも知れませんね…」

「魔法で穴を開けるって事ですわよね?なら私にもやらせて下さい!!これでも火属性の魔法は得意なんですよ!?」

「ミルフィは魔法が使えたのかい?」

「勿論です!!小さい時にあのメイビス様に少し教わって貰いましたからね!!それからコツコツ影で練習してましたのです!!」

「そうか…なら爆破魔法の詠唱を教えるから一緒に唱えてガーデル達を助け出そうか!!」

「わ、分かりました!!私だって出来る所を見せつけてやりますわ!!」



ドガ―――ン!!


「明らかに僕より才能が有りますね…威力も申し分ないです…」


思わぬ才能に度肝を抜かれたリンバスは、その後の攻撃魔法をミルフィに任すことにした。

しかし、クリフ相手に慣れない接近戦をやり脚にナイフを刺されてしまうのであった。


「僕が引きつける!!ウィンドウォーク!!」あべし!!


「ごにょごにょ( ちょっとリンバス!!超使えないんだけどぉぉぉ!!? )ごにょごにょ」


そして詠唱途中のミルフィは頼りにならないリンバスを目の当たりにしてしまい、詠唱が余計な事でいっぱいに成っていたとさ。


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