41話:若造組vs老い耄れ組【3】
リンバスの脚にナイフが刺さり、クリフによって追撃が成される頃、ジェミルニアの攻撃をスキンヘッドが受け止めて居た。ガーデル達は、そんな思わぬ好機を得て動き出す。
「何だか知らんが、あのスキンヘッドが足止めして居る内にリンバスを助けに行くぞ!!」
「だかガーデル、お前は腕が…」
「カウンターを貰ったモーゼスの傷も深い、動けるのはガーデルとモーゼスを除いた俺達三人だぞ!!」
「いや、俺なら大丈夫だ。腕がダメでも脚がまだ有る。ビロードはモーゼスを支えて、クリフを抜けてリンバス達の元へ行け。バンとヘンガーは、俺と一緒にクリフの注意を引く!!」
カインが隙を作っている間にガーデル達の段取りが整い、背中を向け今にも斬りかかるクリフに襲い掛かる。
テクッテクッテクッテク
「足止めにも成らなかったな、魔族の小僧よ。今楽にしてやる」シャキン!!
「~~~~(だめ…爆発のイメージと魔力操作が追い付かない!!これじゃ間に合わない!!)」
ガチン!!
「はぁぁぁぁぁ!!」
ジリ ジリジリ
「ショックブロー!!」
タタタタタタ!!
「ブルホーン!!」
ドン!! バチン!! ズン!!
「フッ!!!?」 ガチャン!! グサ!!
背を向けるクリフにガーデル達三人が一斉に攻めた。しかし致命打には成りえ無かった。
手に持つ剣を床に刺し、杖の様に支えて倒れる事無く耐えきったクリフ。
「ック、後ろに居た魔族共か…ジェミルニアは何を!!」ジャキン!!
「ッチ、全然効いて無ぇ~ぞ!!?」
「だが、光を纏う鎧の靄が消えたぞ、次なら!!」
「チャージ!!」ジリジリ
「次など無い、【神聖強化】!! 【神…】~~~」
クリフが床から剣を抜き取り振り向きざまに聖騎士武技を放つ。しかしその間際…
「~~破ぜろ!!【エクスプロージョン!!】!!」
キュー――――――ン………ボガーーーーン!!!
「な、なにこれ!!?私、詠唱間違えた!?」
「ナイスだミルフィ!!」
「可愛らしい爆発だが、今なら!!」
「…【…撃波動斬り】…グファ…」ブォン!!
ズシュ…
「ンヌア!!?」「グハァ…」「ウァ!!?」ブシューー!!!
クリフを包む爆炎の中から斬撃が飛び出し、再び背中を襲い掛かったガーデル達が斬り伏せられた。
そして煙が薄くなり次第にクリフが現れた。しかし背中の鎧が剥がれ、露わになる背中の肌には火傷で爛れていた。
「ガーデル!!みんな!!」
ガチ!!
「駄目だ…ミルフィ…行っちゃ駄目だ!!」
「離してリンバス!!みんなが!!」
「それでもだ!!このままでは全滅だ!!」
「参ったぜ…グフ…姫さんのお守りが発動するとは…次アレを打たれたら確実に死ぬな…」ギロッ!!
「あの目!!次はコッチに来る!!今なら間に合う!!君だけで良いから逃げるんだ!!」
「そんな事!!」
「悪いがお前さんから倒す。紛い物とは言え、あれを使うとはな…次は撃たせん!!」タタタタ!!
「立てるな!!お前等!!このまま突っ切れ!!ミルフィを守るぞ!!」
瓦礫を飛び越えミルフィを狙いに行くクリフと、傷を押さえながらもクリフの左右を横並びに走りるバンとヘンガー。そしてクリフの背中を追うガーデル。三角形を描く様に囲んだ三人がまたしても飛びかかる。
「なにも学ばない奴等だ。フン!!」
ガキン!!
「足止め位なら!!…糞ッ!!」ズダン!!
「おりゃー!! グハ!!」ドスン!!
「はぁー!! ぅっ!!…」バコン!!
硬化したガーデルの脚で斬撃を受け止め、残りの二人が順番に己の技で立ち向かう。しかし、斬撃の衝撃で吹き飛ばされて、傷を負ったキレの無い二人の攻撃は避けられ、蹴りを貰うバンと拳を貰うヘンガー。モノの見事に返り討ちにしたクリフは彼等を通り過ぎ、ミルフィに斬撃が放たれた。
「【音速斬り】!!」
((((「ミルフィ!!」))))
魔族達が声を揃え叫ぶ。だがミルフィは放たれる斬撃に思わず目を瞑る。その時、頭に付いた何かが光出す。
ぽわ~ん!!ぴきーん!!
ガシャン!!ガキン!!
突如現れたのは大鎌だった。斬撃が弾かれ、大鎌は地面へと落ち、魔族達が驚きの余り硬直し、クリフも又その見覚えのある大鎌に唖然とした。
「この大鎌はまさか…。おい、お前、この鎌はお前のか?
「…ふぇ!?…」
「だからこの大鎌はお前さんのかと聞いている!!」
「ち、ちち違うわ!!知らないわこの大鎌の事は!!」
「本当の事を言った方が身の為だぞ?その答え次第では見逃してやる」
「…」チラ
ミルフィは回りを見る。ガーデル達が息を飲みながらも頭を上下に揺らした。それは言えと意味をする合図だ。
「わ、私のよ…」
「おお!!そうなのか!!ならソイツを持ち上げて見ろ!!」
「え、えぇ良いですわよ…」よっよっ!!
ミルフィは言われた通り持ち上げるが…
「な、なんで…」
「嘘で有ったか。ワシをガッカリさせるな、やはり…」
「ま、待って!!今のはちょっと力が入らなかっただけよ!!」フン―――!!!
「そうか…やはり嘘か。殺すしか無い様だな…」シャキン!!
タタタタ
ぜぇはぁ…ぜぇはぁ…
「ままま待った~~~~!!!」
((「な!!お嬢ちゃん!!!」))
手や頬が、瓦礫のカスで汚れたラキュアの登場によりガーデルとクリフが思わずハモってしまう。
…はぁ疲れた!!瓦礫よじ昇るの苦労したわ!!それより何よこの状況!!本当にピンチじゃない!!思わず来ちゃったけどどうやって止めるのよ私!!…
『わ、私のミルフィちゃんに手を出したら…許さないんだからね!!けちょんけちょんにしてやるんだから!!』
(((((((「私のって…それに、けちょんけちょんって…」)))))))
こんな時なのに場違いな子供の登場と、アホな台詞に魔族達がつい声を揃えてしまう。
だがクリフはそんなラキュアに真面目な言葉を交わす。
「ここはお嬢ちゃんが来て良い場所では無い。私は国の為にコイツ等を始末しなければならない。血塗れる場面を見させる訳にはイカン」
『見させるも何も、そんな事させる訳にはイカン!!私の大切な人達を傷つけるなら…容赦しないですよ!!』
「容赦しないって…お嬢ちゃん見たいな子供に何が出来るんだい?このワシを倒すとでも言うのかい?」
『倒したら辞めてくれるんですか?そういう事ですか?』
「何を言っているんだい?バカな事はやめなさい。勇者ごっこでは無いのだよ。ワシ等は遊びでは無い」
『私は本気ですよ!!』
「お嬢ちゃんに構って居られる暇は無いのだよ、私が本気になる相手は魔族だ」
「これさえ持てれば…また防げる!!んんー!!んんー!!」
「ミルフィ!!何をしている!!僕達の事は良いから逃げるんだ!!」
「往生際の悪い奴だ。持てたなら助けてあげたのだがな。。覚悟だ魔族の少女よ」シャキン!!
…ちょ、何やってるんですかねミルフィちゃん。こんな時に踏ん張って…ってそれ私の大鎌じゃないですかね!!?誰が持って来たんですかね!!と言うか持てる人居たんですか!?…
タタタタ
『私の大鎌で何やってるんですか!!そんなカブ抜きゴッコしてないで早く逃げて下さい!!』
ドシ!!
「きゃあ!!」ドテン!! カシャン!!
ラキュアは咄嗟にミルフィを両手で押し倒し、大鎌をその場で肩に背負い持った。
「あ、あんなデカい大鎌を!!?」
「お嬢ちゃんが!?」
「何て事だ…その鎌はお嬢ちゃんのだったか…」
『驚いてる暇なんて無いですよ!!私、怒ってるんですからね!?』シャキン!!
ラキュアは肩に背負う大鎌を片手で振り下げ、クリフへと向けた。だが、そんな決めポーズは虚し差に終わる。
シュポン!!ぽわ~ん!!
((((((((「大鎌が…消えた!!?」))))))))
『え…ちょ!! 何で大鎌消えてるのよ!!! 』
クリフを含む8人が声を揃え、ラキュアも遅れて叫ぶ。そして消えた大鎌から現れた黒い光の玉がラキュアの頭上を飛び回っていた。
…《ぴょこぴょこ》…
…ぴょこぴょこ!!?…
…《ぴょこ…ぴょこぴょこ…》…
…ぇ?これが言ってるの?…
…《ぴょこ…ぴょこぴょこぴょこぴょこ…》
…ごめん、何言ってるか分からない…
…《ぴょこぴょこ…》…
…今のは分かったわ。きっとガッカリしたのね…
…《ぴょこぴょこぴょこぴょこ~!!》…
…ちょっと!!そんなに頭の上を回らないで!!!ってあれ?もしかしてこれ精霊?…
…《ぴょこぴょこぴょこ!!》…
…な、何と無く分かったわ。これが欲しいんでしょ?…
…《ぴょこぴょこ!!》…
…ハイハイ、分かりましたよっと…後は好きにしてくださいね…
…《ぴょこぴょこ~!!》…
キーーーーーン!!!! ポン!!!!
ラキュアは、勇者セットの一つで有る頭に付けたヘアピンを髪から取り外し手のひらに乗せて、光の玉に翳した。するとヘアピンに吸い込まれて行き、形をどんどん変えて行く。その形、まさにカチューシャである。そしてそのカチューシャには蝶々の羽を模した大き目の飾りが付いた。
ぴょこぴょこ!!
羽を模した髪飾りが動く。すると声が聞こえた。
…《これで消えずに済むぴょこ!!》…
…そ、そうですか。良かったですね…って言葉が分かる!?…
…《だってワタシ達はもう、一心同体だぴょこ!!》…
…そ、それは凄いぴょこね…正直こんな状況だと喜べないんだよね…。私、一応ピンチなのよね。啖呵切っといて大鎌が無くなっちゃったからね!?…
…《それなら問題ないぴょこ!!大鎌はワタシだぴょこ!!使いたい時は念じてみるぴょこ》…
…え、あなたが大鎌だったの!?まさかの正体にビックリだよ…それで?使う時は念じてみる、と言いう事はストレージ見たいな感覚で良いのかな!?どれどれ…来い!!我が大鎌よ!!…
ぴょこぴょこ!!シュポン!!
「お、おい!!消えたと思った大鎌がまた出て来たぞ!?」
「お、お嬢ちゃんは一体何をしてるんだい」
『な、何でも無いですよ!!さぁ掛かって来るのです!!』
「さっきも言ったがワシの相手は魔族だ。お嬢ちゃんと戦うつもりは毛程も無い」
『ふ~んそうなんですか…魔族だったら戦うと言う事ですね』
「そう言いう事だ。そこを退きなさい」
『それなら尚更出来ませんね…何故なら私…』ササッ
ヌチャァ…グォォォォォン!!
『…魔族ですからね…』
「っな!!」
クリフは体に似合わない驚き片をしながらラキュアの瞳を見つめていた。
…あれ、可笑しいですね…本来ならココで皆動けない筈なのに皆普通に動いてますよ…
…《それはそうだぴょこ。その眼は魔力を込める事で敵意の有るモノを静止させる威圧効果が有るぴょこ》
…な、何でそんな事知ってるんですかね…
…《そんな事は今どうでもいいぴょこ!!それよりそのオジサンと回りの魔族達は君に敵意は無いぴょこ》…
…だから効かないって事?敵意を持たせれば効くのかな?…
…《暴力で敵意を持たせれば効くかも知れないぴょこ。でもあのオジサンは恐怖に対する耐性を心得ているにゃ…修羅場を潜った戦士達はレジストされるぴょこ!!》…
…どの道効かないって事ね!!なら実力行使しかないって事ね…
…《そうなるぴょこ!!》…
『これで戦う理由が出来ましたよね?魔族は敵なんですよね?』
「やめろお嬢ちゃん!!いくら武器があるからってそんな重そうな大鎌じゃ太刀打ち出来る訳が!!」
ガーデル達は大鎌を振るうラキュアの姿をまだ見て居ない為、軽々と振り回している事を知らないでいる。
『これが重たい?凄い軽いですよ~ほら!!』ぶんぶんぶんぶん!!
「っく、ワシとは違い、やはりアーティファクトの適合者であるか…」
…な、なに?あーてぃふぁくと の 適合者?…
…《認められた者しか扱う事を許されない伝説級の武具の事だぴょこ》…
…じゃぁこの大鎌もそうなの?…
…《少し違うけど大体そんな感じだぴょこ!!》…
「それにお嬢ちゃんが魔族だと…まるでラキュアでは無いか…だがラキュアにはそんな瞳は無い…」
『ブツブツ言ってないで戦ったらどうですか!!魔族ですよ!?こないなら私から行きますよ!!』シュパン!!
「っく、割り切るしか無いのか…フン!!」
『てぇええい!!』ガシャン!!ドン!!
「済まんが大人しくして貰うとするぞ…フウウン!!!」ズゴン!!
戦う決心をしたクリフは上から振りかぶられる大鎌を避け、鎌の先が地面に刺さった瞬間、ラキュアのお腹にボディブロウを決め込んだ。子供相手ならこれ位で良いだろうと思っての攻撃である。しかし
『…子供のお腹を殴るなんて酷いですね…』
「な、なんだこの感触の無い感覚は…それに、まるで効いて居ないぞ…」
『次は私ですよ!!えい!!やぁ!!とおおぉぉおお!!』シュン!!シュパン!!ドォォン!!
細い枝の棒を振り回す様に楽々と大鎌を振り回すラキュアで有るが、それはクリフには通用しなかった。
切れるのは庭に有る木や飾り物ばかり
「ぐぬぬ!!とぉぉぉ!!」シュパ!!
「そんな素人丸出しじゃあな…それに大鎌は振るえても動作と体が付いて来れて居ないな」
「お嬢ちゃんには経験が足りん!!あんな大振りじゃ止まってない限り当たる訳が!!」
「足取りも拙いな。歩幅も足りん。動きが丸わかりだ…」
ラキュアは経験不足により攻撃を当てる事に苦戦を強いられていた。
…《ぴょこ~!!しつこいぴょこ~!!》…
「中々しぶといわね…でもそろそろね」
「ミルフィ…その辺にしてあげたら?」
「ここまで来て逃がすなんて!!」
「僕達の目的を忘れてないかい?早くガーデル達を助けなきゃいけないのに」
「そ、そうでしたわね…仕方ないですね…行きましょうか…」
…《やっと諦めてくれた様だぴょこ…でもおかげでワタシのマナが…どうするぴょこ…このままじゃ持たずに道端で消えてしまうぴょこ…》…
「それにしてもあの精霊、だんだん光が薄くなっていたですわね…」
…《誰のせいだと思って居るぴょこ!!!こうなったらアイツのマナを吸い取ってやるぴょこ!!このまま消えるよりマシぴょこ!!》…
ぽよ~~~~~ん!!くるくるくる~!!しゅとん!!
「あ………頭に…」
「頭?どうかしたの?」
「い、いや…何でも無いよ…精霊に呪われてないと良いね…」
「何言ってるのよ…そんな訳ないじゃない」
「そうだと…良いね」
「それより何だか眠たく成って来たわ…」
「呑気な事言ってないで早く行きますよミルフィ!!」
…《ゴクゴク!!若いマナは美味しいぴょこ!!》…
後のミルフィの魔法操作力低下と創造力低下の原因で有った。




