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38話:絡み合う4つの組織


子供達を連れて会場に出た盗賊達は、その親で有る貴族達に馬車の用意が済んだかを聞く。

その子供達は貴族達をせかす為の人質として前に立たされ、脅迫された貴族達は従うほか無かった。


「分かったか!!さっさとしろ!!」

「このまま待っていても騒がしくなるな。入口のホールへ向かうぞ」


盗賊達が館の入口へと向かう中、その後ろ姿を怪しいローブの集団が見ていた。


「おいあれ!!一番後ろに居る子供っておチビちゃんじゃないか?」

「腕を縛られていますわ!!まさか盗賊に捕まったのかしら!!?」

「ガーデル!!あの子だ!!助けてやってくれ!!」

「辞めておけ、どう考えても騒ぎになる。騎士団がすぐ様駆け付けにくるぞ…」

「そうだな、…俺達の最優先はアイツじゃない。お前等だ。こうなってはお手上げだ…俺達も直ぐに館から出るぞ」

「そんな!!ガーデル!!」


「後ろが騒がしいぞ。早くしようぜ」

「っち!!なんだアイツ等は!!コッチ見てやがるぞ」

「おいお前、あの怪しい奴等は誰だ?まさか兵士じゃないだろうな?」

「わ、私達にも分かりません!!あの様な連中は会場には居ませんでしたし…」

「俺達をハメるつもりか?正直に言わないとガキ共含めて殺すぞ?」

『ちょっと!!!約束と違うじゃない!!私を連れて行く代わりにその子達を開放するんじゃないの!!』

「オメェはさっきから五月蠅いんだよボケが!!」バゴン!!

『キャアア!!!』カランカラン


…い、痛い…衝撃耐性は服だけなのね…でも仮面があって多少良かったよ…こんな奴等、私の眼と鎌さへあればちょちょいのちょいなのに…


ラキュアは力士の張り手の様に押し付けるような平手打ちを顔に貰い、仮面が吹き飛び、ラキュアの体は勢い良く地面に叩きつけられていた。


「オメェは黙って俺達に付いてくれば良いんだよ」

『いつか絶対後悔させてやるんだからね!!!』

「懲りないガキだなぁ!!!オラァ!!」ドカ!!

『…!?。うぐぅ!!』


…ぁ、お腹蹴られたけど痛くなかった…一応痛い振りしなきゃだね…えへへ…



「くそ!!アイツ等おチビちゃんに何て事を…」

「おいガーデル!!あの顔、まさか!?」

「はぁぁ!?何であんな所に居やがんだよ!!前言撤回だ、お嬢ちゃんを助けるぞ!!」

「お、おい!!どう言う風の吹き回しだガーデル!!お~~い!!」


半仮面が外れた幼女の顔は、ガーデルが関わりを持ってしまった魔族を自称する幼女であり、子供達を捨て置く手筈が狂い、戦闘体制に入った。

この中で幼女(ラキュア)と一番接点のないシェフのビーンが、ラキュアを助けだす事に疑問に思っていたので有る。そう、彼一人だけの疑問で有る。


「何で兵士でも無い奴等がヤル気なんだ!?」

「話が違うじゃないか、貴族様よぉ!?」

「私達は本当の事を!!」

「まぁ良い…ガキが居るんだからな」


盗賊達は人質として子供の首元に食事に使うナイフを当て、構えるローブの集団と向き合う。


「隠れて任務を遂行するなら、もっと自然な格好をしたらどうだ?兵士さん達よぉ!?そんなんじゃ貴族のガキは守れないぜ!!?」

「た、頼む!!誰だか知らないが手は出さないでくれ!!」

「ッハ!!それは無理な相談ってもんだ!!」

「それでも兵士かよぉ!?コイツがどうなっても知らねーからな!!」

「面白い事言ってやがるぜガーデル!!」

「俺達が兵士か、傑作だな!!てめぇら貴族のガキなんぞ知るかってんだ」バサッ


ガーデル達が被ったローブを脱ぎ棄て、特徴的な角や羽が露に成った。


ざわざわ

「な、なにあれ?」

「仮想衣装ですわよね?」

「趣味が悪くないか?」


パーティーを楽しむ貴族達が異変に気付き始め、騒ぎの中心へと集まってくる。


「悪趣味な奴等だ…その姿で脅してるつもりか?」

「脅す!?ハハッ脅してるのはお前らの方だろ!!笑わせてばかりだな!!俺達魔族には通用しないがな!!」

「そのガキ殺すなら殺せよ、その間に俺達がお前らをとっちめる。覚悟しとけよ盗賊共」

「行くぞお前ら!!」


幸い盗賊が人質にして居るのはラキュアでは無い。その為ガーデル達が気にせず襲いかる。


サササササ

「コイツ等はバカなのか!?それとも本当に魔族とでも…!!」

「御託は良い、黙ってくたばれ!!」バサッ!!シュン!!バゴン!!


ガーデルが羽を羽ばたかせ、距離があるにも関わらず一時的な勢いに乗った拳が、子供達の奥に居る盗賊の一人に襲いかかった。

突然ど真ん中に来られた盗賊達が、ガーデルに振り向き、その隙を突き、過激派のメンバー達が子供達を捕らえる盗賊に飛び掛かる。


「グファ!!」バタン!!

「先ずは一人」

「ッチ!!油断すんな!!」

「凄い速さだな。だが逃げ場が無くなったぞ?今度は俺達の番だぜ!!」

「殺れるもんなら殺ってみろよ!そんなナイフで傷を負わせれるかも怪しいがな」

「舐めんな!!死ね!!」


その挑発に乗るように一斉に斬りかかる盗賊達にガーデルはなすがまま刺される。

しかしガーデルの体からは血の一滴も出ていなかった。それ所か…


「ナイフが通らねぇ!!」

「くそ!!折れやがったぞ!!」

「どうなってる!!」

「そりゃ俺が魔族だからに決まってるだろうが」ガチン!!!


ガーデルの腕が黒く変色し、自らの拳と拳を殴り金属の様な音を響き渡らせた。

その高い音とガーデルの周囲を気にしない言葉によって会場が一気にパニックへと陥った。


「ま、魔族!!?」

「嘘だろ?」

「本物だ!!あんな人族が居るわけ無いだろ!!」

「どうして魔族が!!」

「騎士達を呼ばなくては!!」

「早く逃げましょう!!」


会場に居る人達が慌ただしくなるが、館の入口付近では盗賊と魔族が争い、逃げる場所が窓か中庭しか無かった。中庭に騎士達が居る事は皆が知っている為、助けを乞う為に人が中庭へと流れ込んでいった。


「糞!!さっさとズラかるぞ!!」

「お前等だけ逃がすかよ!!俺達も逃げるんでな、先に行くのは俺達だ!!」バサッ!!シュン!!

「バカかコイツは!!そっちは出口じゃねーぞ!!」


囲まれていたガーデルは館の入口とは逆方向に羽の勢いに乗り駆け抜けた。その先は…


「ようお嬢ちゃん、お腹は大丈夫か?元気だったか?」ガチ


痛がって倒れ込んでいるラキュア(痛い振り)の結ばれた腕の縄を解き、お姫様抱っこで持ち上げたガーデル。


『が、ガーデル!!?なんでここに!!』

「バカか!!それは本来コッチの台詞なんだよ!!仕方ねーから助けに来てやったぞ」

『私なんかより子供達が!!』

「何だ、意外と元気そうだな。すまんが俺達が助ける義理は無いんだ。まぁ助かるかどうかは奴等次第だがな」


子供達を捕らえていた盗賊達は魔族と取っ組み合いに成っており、フリーと成った子供達。その状況を見にしたラキュアは叫ぶ!!


『アンタ達!!何ぼさっとしてんのよ!!早く逃げてよ!!』


ガーデルに姫様抱っこされながら言うラキュアの言葉に、恐怖で放心していた子供達に気力が戻り今の状況を理解した。


「に、にげる?」

「逃げる!!」

「は、早くいこ!!今しかない!!」

((「うん!!」))タタタタ


「子供達が帰って来たぞ!!」

「良く勇気をだしたね!!」

「ですが今度はあの子が…」


子供達は無事に貴族の元へと戻っていく。しかし貴族から見るとラキュアは魔族に捕まった様に見えてしまっているのだ。すると逃げ込んだ貴族達の代わりに、中庭に居た兵士達がやって来きた。


ダダダダダダダ!!

「誰か状況を話せる者は居ないか!!」

「わ、私達が!!」


助かった子供達の貴族夫婦達が兵士に今まで起きた事を伝える。

粗方事情を知る兵士達はその報告を聞き声を荒げた。


「捕まった子供は戻ったが、今度は魔族に女の子が捕まった?」

「あそこに居る5人が魔族だと思われる奴等です…」

「あの魔族達は逃げ出す不審者と戦って居ます。逃げ出さない内に捕らえなければ…」

「そうだな、我々もあの中に入る。お前達は中庭に非難を急げ!!」


そして更にメイビス達もやって来た。


ガチャ

「にゃにゃにゃ!!何だか凄い事になってるにゃ!!」

「殺し合いと言いうよりは取っ組み合いですかね」

《奴等がアルカードの関係者なら殺す性分は無い筈だからな…それよりラキュアは!?》

「あ、あそこですメイビス様!!」




「くそ、兵士共が沸いて来やがる…おい魔族…こんな事している場合じゃないと思うんだが?」

「ッち!!それには同感だな。俺達もアイツ等には叶わないからな」


ドスン!!!

「待たせたな、盗賊よ。そして魔族の諸君」

「まさか魔族がここまで捕まりに来るとはな!!」

「クリフ、お前さんが来なくてもコイツ等くらいワシ一人で十分だぞ?」

「アホかお前、自分の館ぶっ壊す気か?それに俺達聖騎士はアルカードの残党を始末する様に王から命が下ったんだ。残念な事にあの魔族共は俺の仕事だ」

「そうかいそうかい。ならワシはこのチンケな盗賊が相手な訳か…。仕方ないのう。護衛と兵士達よ!!出口と言う出口を全て塞ぐのだ!!全員壁を取り囲め!!」ザザザザザザ!!


窓を含む外への道を塞ぐ為、戦う命令では無く、逃がさない為の命令を兵士達に命じたジェミルニア。彼にはそれだけの自身が有り、兵士達が無駄な命を落とさない為、そして新たな人質にならない為の絶対強者の拝領である。


「盗賊達よ、特別に素手で相手をしてやるわい」

「舐めんなよジジイ!!」


襲い掛かる盗賊達だがジェミルニアは紙一重でナイフ避けて行く


「ホイッ!!ホイッ!!トッ!!」

「ガタイが良いくせに!!」

「糞!!当たんねぇ!!」

「他国の盗賊と言うからスキルの一つや二つは期待してたのだがのー。その程度か、余興にもならん」バシ!!


ジェミルニアが避ける付ける行為から、避けた後の振り払われた腕に手刀を浴びせ、握るナイフを落としていく。


「ほれほれ、見てないで掛かって来い」

「くっそが~!!!!」



「まるで子供相手だな。さて、ワシも手加減して…と行きたい所だが、寄りにもよってその子を攫うとわな」

「おいおい簡便してくれよ、コイツはラキュアじゃないぞ?」

「そんな事は分かっている。だが瓜二つなその子を連れて行く事がワシには許せん。何をするつもりか知らんが傷の一つでもつけてみろ?このワシが全力を持ってお前等魔族をぶった斬る」


…いや~その~私ラキュアなんですけどね…それにガーデル達が斬られると私が困るんだけど…ミルフィちゃんに顔向け出来なくなっちゃうよ…


「そんな気サラサラ無っつ~の!!」

「おいガーデルどうすんだよこの状況!!」

「そんなの逃げるに決まってるだろ!!バラバラに窓の兵を倒し各自で外へ出ろ!!」

「させる訳がなかろう【敵意集中(インバイト)】!!」

「うぐ!!くそっ!!体が!!」

「【聖騎士の覇気(パラディナイトオーラ)!!】【反撃の構えカウンターディフェンス】!!」

「何やってる!!クリフに攻撃してどうする!!早く離れろ!!」

「む、無理だ…思うように動けん!!」ぐぁぁぁ!!!


精神魔法の類だ。効果は一瞬だがその時の感情を全て発動者が引き受ける技である。そしてオーラで身を纏い攻撃の衝撃を吸収した後、攻撃した者に万全を持って返り討ちにする。


しかしこのインバイトはレジスト(抵抗)が発生する。脳がそれに耐性を得てしまい、連続で使っても効果が暫く出ない。精神系統の鉄則である。


「逃がさないと言っただろ?」

「他の奴も同じ様にしてやる」

「ハッハッハ!!相変わらずエグイのお!!卑怯そのモノだ」

「無双するジェミルニアには言われたくないな!!」


「これでは出口が…」

「ガーデル…これ以上は無理だ」

「ッチ!!此処まで来て捕まれってのか!!」


ドガぁぁぁぁぁぁぁぁン!!!

「な、なんだ!!」

「兵士が吹き飛ばされたぞ!!」

「クリフ!!何をした!!!!」

「ワシじゃないぞ!!?それより…」

「何て事だ…手の空いている者は瓦礫の下敷きに成ってる者を助けろ!!」



詰んだと思われたその状況を打破する様に、突然の爆発が館の壁に起こり、外の空気が流れ込んだ。


「良い感じに決まりましたね!!」

「そうですね…まさか君も魔法使えるなんて知りませんでしたよ」

「エッヘン!!私だって戦えるのですから!!」


瓦礫の山と成った壁の向こうにリンバスとミルフィが現れた。




ぴょこぴょこぴょこぴょこ~


《なんだか呼ばれた気がするぴょこ~でもちょっと遠いぴょこ…直ぐには向かえないぴょこ…》


とある部屋から領主の館に向かって黒い光が浮遊していた。


《早く依代が欲しいぴょこ…》


ぴょこぴょこぴょこ~


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