36話:弱みを握らて
ラキュアは、勇者ごっこ隊の女の子を家族に帰し、メイビス達と合流する為に案内されながらも会場へと向かって居た。
「おーいおチビちゃん達、ちょっと待ってくれー」
『あれ?えーっとダールさんとカトレアさん?どうしたんですか』
「折角助けに来てくれたし、牢から逃げた他の囚人の件もある。君たちが心配だから一緒に付いて行こうと思ってね」
『あぁはぁ…ありがたいですがガチムチコックさんはどうしたんですか?』
「がちむち?なんでしょうかそれは…」
「何だか知らんがビーンなら残して来た。俺達の事を知って居たという事はおチビちゃんとその仲間も訳ありなんだろ?だったら一緒に逃げるのも手だと思ってな」
…やっぱりあの流れだとそうなっちゃうよね…折角助けに来たのに残るなんて…眼、見せた方が良かったのかな…今更考えてもしょうがないか…
『そういう事なら分かりました。一緒に会場に行きましょう!!』
「オジサン達も来るのー?」
「そうですよ、危ない人達が何処に居るか分からないですからね」
「危ない人達…皆…捕まっちゃってる…早く助けなきゃ…」
…そう言えばそうだったね…あの子達無事だと良いけど…貴族の子供達だし、そう簡単に殺すとも思えないけどね…
『その前にパパとママにこの事伝えて悪い人を捕まえる仲間を探さないとだね。案内お願いね?』
「うん任せてー!!悪い人倒す仲間集める!!」
「おチビちゃんは乗せるのが巧いね」
「凄く助かるわ」
『まだ遊びだと思って居ますからね…その間ならどうにかなりそうです』
「のんびりしてる暇は無さそうですし急ぎましょう。会場が既に襲われているかも知れませんし…」
「そうだな。よーし良い子なお姫さんはオジサンが肩車してあげるぞ~転ぶと危ないからな~」
「わーい!!高ーい!!」
「あなたはどうします?」
『私ですか!?大丈夫ですよ!!それに何故だが今日は身軽なんですよ』
「そのヘンテコな衣装で身軽と言われてもな」
…確かに。この某イベント会場に居たと言われている【ダンボールガ○ダム】通称、箱ガ○ダム見たいな私の格好はとても身軽には見えないですよね。その気持ちとても分かります…悲しい事にね…
『うるさいですねー!!気にしないで下さい!!早く行きましょう!!』
ラキュア達はそんなこんなで会場にたどり着いたのだが…
「思ったより普通だな…騒ぎが起きたようには見えないぞ」
「それならそれで好都合ですわ。早く済ませてしまいましょう」
『先ずはこの子の親探しからですね!!』
「お姫さん、パパとママ達は何処か分かるかい?」
「んー分からなーい!!皆とお話しが有るって忙しいの!!だから探せばその辺に居るかもー?」
「随分適当だな…」
『取りあえず探しましょう』
「そうですわね」
ラキュア達は女の子の家族を探す為に会場内を歩き回っていると気になる事に気が付いた。
「楽しく話す組と随分だんまりな組が有るな…」
「それに険しい顔の方達はお部屋の出入りが多いですわね…妙に目立つわ」
『あの辺の人混みに行ってみる?』
「近寄りがたいが行ってみるか」
ヒソヒソ
「金になる物など仮装パーティには持って来ておらんぞ…」
「くそ…こんな時に領主は頼れないし、俺達はどうすれば…」
「俺の娘が居なかった…本当に奴等は知らないのか…糞…」
「パパ!!アレを見て!!マリルよ!!知らない人の頭の上に!!」
「なんだと!!何処だ!!」
「あそこです!!」
ダダダダダダダ!!
『誰か向かってきますね』
「凄い顔ですわね…」
「あー!!パパだー!!」
「パパ?どれだ?」ウグゥ!!!!!
「貴っ様ぁぁぁぁ!!!私の娘を攫うつもりか!!!」ぐいぐい!!
「おいおい!!あぶねーよ!!誰だよコイツは!!」
「パパ―!!肩車楽しーの!!邪魔しないでよー!!落ちちゃうぅうぅうぅぅ!!!」ガチーーー!!
「痛てぇ痛てぇ!!頼むから髪の毛を引っ張るなって!!」
『もしかしてこの子の親御さんですか?今、探して居た所なんですが…』
「探して居た?誘拐じゃないんだな?」
「こんな人攫いの仕方が有るかよ!!ほら、お姫さん降りろよー」ササ
「パパ―!!」タタタタタタ
女の子はダールの肩から降ろされ元気よく走って行った。
「マリルよー!!さぁおいで!!」
「あー!!おねーちゃんだー!!」タタタタタタ
『あ、通り抜けましたね』
「通り抜けたな」
「折角の抱き合う姿勢が…」
「何故だ…マリル…うぐぅ…」orz
「マリル!!心配したのよ!!」ガチ
片膝立てて抱き合う感動シーンかと思いきや、そのまま通り過ぎて行き、失意体前屈を決め込むパパさんと、代わりに受け止めるマリルと呼ばれた女の子のお姉さんの姿を、一同は何とも言えない顔で見ていた。
「よ、良かったなぁ…会えて…」
「そ、そうですわね…」
『良い感じのお約束です…それよりあの女性の顔、何処かで見たような…でも全体的に何かが違う気が…』
「おねーちゃん大変なのー皆悪い人に捕まっちゃったの…」
「ま、マリル!!知ってるのか!?あの子達が捕まってる事を!!」
「あの子…見た事あるわ!!あのヘンテコな半仮面と眼帯…フィルソンの所の子供さんだよね?パパ!!私、フィルソンを呼んでくるからマリルをお願い!!」
「そうか、分かった。マリルよ、ほらおいで」
「おねーちゃーん!!!行かないで~!!!」
すると更にもう一人、女性が歩いて来た
スタスタスタ
「あらあら、アナタったら…お姉ちゃんの方が良いみたいですよ?日ごろからちゃんと構って上げないからですよ?」
「ママ―!!」タタタタタタ ガチ!!
『今度は母の所へ行きましたね…』
「行ったな…」
「あの子の家族内優先度が今ので分かった気がしましたわ…」
…私も分かった気がしたよ…がんばれパパさん…
「…」orz
「よーしよーし♪それで貴方達はどなたかしら?見ない顔ですわね…この子の友達の事何かご存じかしら?」
「バカよせ!!口止めを去れているだろう!!」
「口止め?」
『私が知っています…一緒に遊んでいましたし…』
「まぁ!!そうなの!?ベリルが心配していた変わった女の子って貴女の事なのね!?それで、何を知っているの?」
…ベリル?何処かで聞いたような…それより牢屋に行った事を話して良いのか分からないですね…少し誤魔化す必要あるのかな…
『私達、遊んでいたら、おっかない人達が出て来て、私とその子は隠れて居たんだけど、3人の男の子達はそのまま攫われちゃったの。それで…隠れて居た場所から、この人達に此処まで運んでもらったんです』
「あなた…」
「ふむ…辻褄は合うな…本当の事だろう。でなければ捕まった事など知る由も無いしな…マリルも捕まっていたとばかり思って居たしな…」
「それより、何故アンタ等がそれを既に知っているか、の方が俺は気になるぜ」
「そうですわね…見た感じ会場は襲われた感じがしないですもの…正直ここは危ないですわ」
「…」
「…」
ダールとカトレアが状況に対して会場の不信感を口にすると、夫婦は黙り込んでしまった。
すると後ろからマリルのお姉さんとフィルソン一家がやって来た。
タタタタタタ
「呼んできたわよパパ…パパ?」
「お、おお、そうか…」
「お嬢ちゃん無事だったかい!!心配したんだよ!!フィルソンが目を離すし、おまけに子供達は攫われたと言うし…このバカ息子は命の恩人に仇で返すつもりなのかと怒りが溢れ返りましたよ…」
「オヤジ…」
「叱るのは後だ、ワシ等はお嬢ちゃんに話す事が有る。付いてきなさい」
「待ってくださいヴィンティーニの会長さん!!話すつもりですか!!」
「ネオンの若造は黙っておれ、これでもその子はワシらの客人であり恩人だ。既に関係者なのだよ」
…なんだなんだ?何か巻き込まれる予感がするぞ?…あれ?巻き込んでるのかな?分から無く成って参りました!!…
「俺達はどうすればいい…」
「ふむ、どうしようかの…ヘイソン。どう思う?」
「そうですね…お嬢ちゃんの事ですし、ついて来てもらった方が良いと私は思います」
「そうだな、ワシもそう思う。二人もついて来なさい」
…どう言う意味なんでしょうかねそれ!!私を分かり切ったその感じ!!私は、私が分かりませんよ!?…
『と、取りあえず一緒に行きましょうか…』
「えぇ…」
「そうだな…」
ラキュア達は大事な話がある雰囲気を醸し出したヘイソン達と共に会場に有る個室へと場所を移した。
そこでラキュアが先ほどの夫婦に何を話したのかを良い、ヘイソンは険しい顔をして言葉を返した。
「なるほどそうですか…。それでその話は何処から何処を隠したんですか?」
『お、おっしゃる意味が分かりません…』
「お嬢ちゃんは直ぐに顔に出るからのお…仮面と眼帯でも外しちゃおうかの?」
『わわわ、分かりましたよ!!そんな事許されないんですからね!!』
「やはり何か隠していたんですね…」
『……』
「信用出来るなら話しても良いぞ?お前の仲間なんじゃ無いのか?」
『信用は…出来ますが、ちょっと違いますね…商売仲間ですかね…』
「なんだそりゃ!!まぁ好きにしな」
『そうですね、実は子供達に連れられて偶々地下の牢屋に行き付いたのですよ…私達はそこが牢だと知らずに遊んで居たら、知らない内に男の子達が牢に居る囚人達を外に逃がしてしまい…」
「そのまま攫われたと…そういう事ですか…」
「上手く誤魔化して話したのう。そんな事実が漏れれば、貴族の子供とは言え反逆罪で家族共々裁かれ兼ねんわ」
…そうでしょそうでしょ!?私もそう思うわ!!…
『そういう事ですー』
「それでソチラさんは?」
『そそそりゃー、偶々通りしゅぎた人でぇ!!!こここ此処まで案内をですね!!!』
「ヘイソン、頭を押さえておけよ?」
「分かりました。じっとしてて下さいね?」
『ちょちょちょ!!!バカなんですか!!こんな所で外さないでくださいよ!!』
「こんな場所だからこそ外せるんですよ?見られるのは二人だけです」ニコ
「隠し事はイカンのう?吐かないなら顔に聞くまでじゃ!!」
…なんなんですかこの親子は!!私、この二人に攻略されてる気がしますよ!!…
『わわわ分かりましたって!!全部話しますって!!』
「おいおい…おチビちゃん…」
「随分色々と知られて居ますのね…その歳で弱みを握られてるなんて…」
…確かにそうですね!!…こんな風に付け込まれるとは思いませんでしたよ!!…
『実は彼らは…魔族を手引きした人族の方達でして…この会場の地下牢に捕まっている所を私が助けました…』
「ほっほっほっほっほっほ!!!!!!たまげたわ!!!!」
「はぁ…予想以上にデカい所に来ましたね…」
…始めから聞かなきゃいいのに全く!!…
「ならば話しても問題なかろう」
「そうですね。良いですかお嬢ちゃん。今この隣の部屋にその囚人達が居ます。彼等は子供達を人質に、子供の親達を呼び出し金品の要求と逃げ出す算段を立てて居ます」
「余計な事を領主や貴族、護衛や騎士団に話せば、容赦無く子供の首が飛ぶって訳だわい」
…ひぇぇぇ!?普通そんな事を5歳児の私に報告しますかね!!?頭おかしいですよね!?…
『そんな大事な事私に言う必要あったんですかね?』
「何を言っておる…どう考えても中心人物であろう…」
「そうですよ…その囚人達はお嬢ちゃん達が捕らえた盗賊達ですよ…その盗賊達が逃げ出しこうして立てこもってるんですからね…」
…なんて事実を私に言うんですか!!片足どころか体全体で踏み込んでますね!!…
「それ本当かよ…あいつらをおチビちゃん達で捕まえて引き渡したって事か?」
「私達では無いですよ?。お嬢ちゃんとその仲間3人がです。お仲間も護衛として此処に来ています」
「だが会場には護衛所か兵士すら見なかったぞ?」
「それです。だからこそ、今こうして金品を巻き上げられながら逃げる算段を落ち着いて練れて居られるのですよ」
「領主含めた兵士達は、今頃中庭で見世物として決闘を開いている最中だ。彼等に知れれば子供達はあの世行きさ」
「なるほどな、会場に異変が無いのはそう言う理由か…うっかり口を滑られせれば…」
その先を考えたくも無い予想を彼等は思い浮かべ、事の重大さを理解した一向で有ったが、ラキュア達を追うガーデル達により、沈黙を守るパーティ会場に嵐が巻き起ころうとしていた。
…やっぱりあの女性見覚えあるよ?…
『ねぇフィルソン君、あの綺麗なドレスの女性って誰なの?』
「あぁ彼女かい?ここに来た時に会った筈だが、名前はベリルって言ってネオン商会の長女なのさ」
「ええぇぇぇぇぇえ!!!!!あの出る所がクッキリ出ちゃってるエッチな痴女の方ですかあああ!!!!!!」
「ば、バカ!!!声がデカいだろ!!!!!聞かれたらどうする!!!!」
フィルソンが慌ててラキュアの口を塞ぐが…
「フィルソン…私…わたしやっぱり…うぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」
「べ、ベリル!!!!そんな事は無いぞ!!!それに君の体は素敵だったよ!!!恥じる事は無いよ!!!それに僕なら、そんな君でも大丈夫さ!!!!!ほら!!元気だして!!!!!」
…フィルソン君それフォローになってないよ…どうみても死体蹴りしてます…ほら顔を真っ赤にして今にも怒りそうな顔してるよ?私しーらない!!…
「それに、君があの格好が好きだと言うなら、僕だけに見せればいいさ!!ね!!元気出して!!」
「ふ、ふふふフィルソンのバカぁ///そそんな事言ってくれるなんて思わなかった!!!!ずるいわこんな時に!!」
…あれ?何かが可笑しい。テンプレ的にはバカだの変態だの言われて殴られる所じゃないんですか?何ですかこの飯マズ展開!!…
フィルソンはテンプレをぶっ壊し、ベリルのハートを掴んだ瞬間で有った。




