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26話:騎士達の挑戦


大鎌を奪おうとしたチンピラ達の騒動により聖騎士副団長クリフとラキュアが対面してしまったが、危うくも正体がバレずに済んだ。しかし身を隠すメイビス達はこの場で立ち上がれず身を潜めていた。


《勘違いで済んだが状況の悪さは大して変わらないぞ…》

「何しに来たんかにゃ…やはりラキュにゃんを探しに来たのかにゃ…」

「ラキュアさんの生死が伝わるには、フォレンの大樹から一度王都に戻り探しに来るはずですよ」

《それなんだよね。勇者が殺し損ね、捜索に踏み込むにしては早すぎる対応だと言うものなのだが…》

「確かに…言われて見ればラキュアさんを見た時の反応が可笑しいですもんね。まだ情報が伝わってないのかも知れません」


ラキュアはクリフと会話をしながらも何気ない顔で店番をこなしている中、メイビス達はそんな事を地面越しにヒソヒソ話してた。


『それでオジサン達はどんな用ですか?一応ここはお店なので並ばなきゃダメですからね?』

「あぁそうだったな!!ワシ等もこの店に用があってな、先ほどチケットとやらを貰う為にお店で買い物や食事を済ませて来たのだ。ニコラス、ワシ等も並ぶとするか」

「分かりました。お嬢さん、それではまた後程」


騎士達はしっかり列に並び出したが同じ列の客や回りがそわそわしていた。彼等が居なくなり台の下から三人が立ち上がった。


「危なかったですね」

「服が汚れちゃったにゃ」

『あぁぁ!!居ないと思ったらそんな所に居たんですか!?何してるんですか全く!!』

《無知ってのは気楽で良いよな…あのなラキュア、さっきのは君を追う生騎士団だぞ?》

『え、えええぇ!!?』

「しかもさっきのガタイの良い方は騎士団の副団長でラキュアさんの曽祖伯父に当たる親戚の間柄ですよ!!」


…そんなヤバイ人達だったの!?…しかも親戚って…だから私の名前言ってたのか!!じゃあ隠れ出した理由って…


『もしかして私やらかしましたか?』

「にゃにゃ…」

「この対応を見るからに間一髪と言った所ですよ…」

《肝が冷えたと言うモノだ》

『ひぃぃ…どうしましょう私も隠れた方が良いですかね!!!』

《バカなのか!!もう手遅れだ…逆に怪しまれるだろうが》

「このままの対応をするのが得策でしょうね…私達はこのまま身を潜めますので何も言わないで下さいね?」


…私を追う人達の対応をこのままするとか怖すぎますよ!!無知って気楽で良いよな?まったくその通りですよ!!知らない方が自然に振る舞えたってモノです!!…


『このままで大丈夫なら教えないで欲しかったですよ!!』


その後、列は順調に進んで行き遂に騎士達の出番がやって来てしまった。


「それにしても凄い人でしたよ。何でも斬れる大鎌で切断しに来てる市民もいるなんて」

「確かにな。兵舎まで噂に成る訳だ。おかげで我等の耳にも入ったしな」

『えーっとそれで一応ですが何か切断しますか?』

「ふむ、このまま握って行きたい所だが…少し切れ味を見てみるとしようか」

「ですが副団長殿、試す物が…せっかく買った商品なんて流石に斬る訳にもいきませんよ」

「そうだな、ならお前等のその鎧と剣で試したらどうだ?」

「そ、そんな!!万が一斬れでもしたらそれは…」

「だからこそ試すべきだと思うがな」

「わ、分かりました…では」ガシャ スル ジャキン!!

スパ…スパ…


「な…」

「何て事だ」


ニコラスの部下が白銀の篭手を脱ぎ、腰に刺す剣を抜き取った。それらを順番に大鎌の刃に通し綺麗に切断されてしまった。


「魔法陣を仕込んだ特注の防具がいとも簡単に…」

「これは益々捨て置けんな…何としても持ち帰りたい所だが…お前等やってみろ」


そう言って騎士達が持つチケットをラキュアに順番に渡して行き、それぞれが挑戦するが


「ニコラス様!!駄目です!!」

「我々では…」

「なら私も…うぐぐ…糞!!」

「お前でもダメだと言うのか…ならワシにも無理だろうな…うぐぐ…」スウ ガチャン!!


「おおぃ!!」

『えぇちょ!!!』


それを見ていたお客達がその光景に声をあげ、ラキュアは焦りの声が出てしまった。

クリフがダメ元で力を入れ持ち上げると今までビクともしなかっか大鎌が少しだけ浮き、台に落ちたのだ。


「く…持ち上げるまでには行かなかったか…これは持てたとは言えないな」

「ですが副団長殿!!持てる可能性としては!!」

「その可能性で持ち帰る訳にも行かないだろう…」

『そそそそそうですよ!!駄目なんですからね!!あれくらいじゃ絶対渡しませんからね!!!駄目です駄目です!駄目なんです!!!』

「ハハ!!お嬢さんにここまで言われてはな!!もしかするとコレはお嬢さんの所有物なのかもな?」

「これがあの子の!!?そんな事あり得たら私達は彼女を…」


…え!!ちょなにその意味深な言葉のこさないでよ!!私のだってばれたら流石にやばいよね!!…


『ちちち違いますよ!!私みたいな小さい子供が持てる訳ないひゃないですかハハハー!!!』

「この子は商売は出来る様だが取引には向いてなさそうだな…」

「これ程わかりやすいのも珍しいですね、ですがそれでは…」

「構わん。きっと勘違いだ。あんなものをどうやって持ち込んだのかを見ておらんからな。…はぁ、似ても似つかないとはこの事なのかな…奴らは逃げきれたのだろうか…」

「副団長殿、どうしましょうか。噂とそれの回収は出来ない事になりますが」

「まぁ良い、逃げ込んだ魔族を探す為のやる事がまだ有るからな。戻って取り掛かるぞ」

「っハ!!」


騎士達がブースを後にし、ラキュアを含む周りの人達の息を吐く音だけが聞こえた。


「メイビス様~もう帰りましたよ」

ザサァ

《そう見たいだな》

「ふぅ、やっと地面とキスからおさらばだにゃ…」

『皆さん凄い顔ですね…やっぱり市民の方も緊張しちゃうんですかね』

《そうだな、市民からしたら拝めるだけでも凄い存在だからな》

『そんなに凄いんですか?カインも聖騎士だったんでしょ?』

「そうですね、僕も聖騎士の下っ端として働いてましたが、僕が言うのも可笑しく聞こえるかもしれませんが彼等は全員騎士の中のエリートなんですよ」

「カインがエリートとか面白いにゃ!!」

『確かにそれだけ聞くと面白いですね!!』

《あのな、ラキュア。剣士として戦えて、魔法も使えるって言うのは凄い事なんだよ。勇者とはまでは行かないが一人で前線に出て援護も出来る。普通の兵士からしたら聖騎士一人で一つの小さな部隊の様な存在なのだよ》

「どちらかだけでは一長一短で、距離によって大きく戦況が左右してしまいますからね。魔法使いは潜まれる事に弱いですし、兵士は距離を取られると為すすべなく魔法でやられてしまいますからね」


…う~ん、まぁ言われると何となく分かる。カインが身近に居たせいで凄さが分からなかったけど…


『じゃああの人達も魔法使えるんですね』

「そうですよ!!僕なんかよりよっぽど強いですね…因みにクリフ様の魔法はメイビス様が教えたらしいですよ」

『へ~って事はメイビスは…』

《おいカイン、余り余計な事いうなよ?私に魔力があればどうなってただろうな~?》

「め、メイビス様!!」


ラキュア達が店番をしているとアゴン達が店内から姿を現した。


「すまんなお嬢ちゃん、騎士様達の対応とその後片付けで顔を出せなくてな…お店の方はどうだ?」

『アゴンさん!!!酷いですよ!!突然居なくなるなんて…でも何とかなりましたよ…もうじき人の列も終わりそうです』

「そうかそうか…それでその方達は?」

『あ…私の探し人ですよ!!さっき会う事が出来まして』

「ほほぉ彼女達がか。俺はアゴンだ」

《私がメイビスで彼女がソマリ、彼はカインだ》

「おう、すまないが少し待っててくれ」


メイビスがそれぞれ紹介をし、アゴンがヘイソンを呼んできた。


「おやおや、やっと会えた様で良かったですねお嬢ちゃん」

『おかげ様と言うべきなのか正直わかりませんが…』

「ハッハッハ!!噂が広まれば来てくれると言いだしたのはヘイソンだしな!!無理もない!!」

《成る程、私達はまんまと釣られた訳か》

「有りがたい噂です」

「それでお嬢ちゃんはどうするんだい?滞在時間や宿やお店の事など色々話すことがあると思うのですが」

『んー…メイビスどうなの?どこかに泊まってるんでしょ?必要なモノそろえたらこの都市をでるって言ってたし…』

《そうだな、正直訳ありの宿に泊まってるいるから居心地は良くないかもしれんぞ。都市を出るまで住み込みで働いていても良いと思うが》

「ふむ、それなら広い部屋が余ってますので三人はウチのお店で寝泊まりするのはどうでしょうか。希望であればお嬢ちゃんもそこで寝泊まりすればいいと思いますよ。今の部屋は旧執務室ですからね」

「良いんですか!?」

「えぇ、必要なモノはウチで揃えれば良いのですよ。探しに行く手間は省けると思います。その代りにお嬢ちゃんのお店のお手伝いでもして貰えると嬉しいですがね」

「そうだな…話を聞く限りだと変な奴に絡まれたらしいしな…用心棒は必要みたいだ。俺らの代わりにして貰えれば良いんじゃないかね」

「用心棒かにゃ!!それならアタシ等に適任だにゃ!!」

「そうと決まれば早速宿をチェックアウトしないとですね」

《では私達は一度宿に戻るとしよう。それでは又後で。ラキュア、あまりバカな事するんじゃないぞ》

『し!!してませんよ!!早く来てくださいね!!私これでも寂しかったんですから!!』


ラキュアはそんな見送りをした後、店の垂れ幕が閉じた。

「良いのですか副団長殿。あの鎌は伝説級のアーティファクトの可能性があります」

「尚更だ、伝説級は選ばれた者にしか扱えん。ミコトと同じようにな。持つのに苦労してる様なワシには到底無理ってものよ」

「ならせめて回収だけでも…」

「誰がどうやってアレを持ち帰るだ。それをするなら先に持ち主を洗い出す必要が出てくるだろうな。だがそんな厄介な事を名乗り出る者などこの都市には居らんよ」

「持ち主が兵士で有れば可能性は…」

「無駄だと思うがな。お前が1人で兵舎でも回って来い。ワシは手を引くから勝手にやってくれ」

「そ、そんな…なら私成りに探してみます…」


しかし、ニコラスの努力は実る事は無かったと言う。


「だから無駄だと言ったのに…」


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