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21話:噂の噴水少女


私は大鎌の宣伝の為に首に看板をぶら下げながらアゴンと共に中央広場へと向かっていた。


『先ほどから視線が痛いのですが何故でしょうか…』

「何だい、まだ気が付かないのかよ」

『と言われましても…私、歩くだけでも必死なんですからね…歩き方が変なのかな?』


子供の体には合わないサイズの看板が歩く度に膝へと当たり、看板が飛び跳ねているのだ。まるで紐に繋いだボールをリフティングする様に。


ボンボンボンボン

『ンもう!!歩くのが嫌になってきますよ!!それに何やらヒソヒソ話まで聞こえてきますよ…』

「目立ってしょうがないんだろうな。まぁヘイソンの企み通りなんだがな!ガッハッハ!!」

「ちょ、どういう事ですか~!!」


ヒソヒソ

「子供が何か持ち歩いてるわよ…何かしら…」

「不思議と目が映るわね…それにあの服は何かしら」

「あの子あれに似ているわよね」

「確かに最近噂のあの子かしら」

「あの子めちゃくちゃ可愛いブヒィ。ボキが連れて帰りたいブヒィ」

「なんだぁありゃ奴隷が宣伝でもしてんのか?お前見えるか?」

「あぁ何やらヴィンテーニの宣伝っぽいな」

「なになにヴィンテーニですって?」


道行く人たちがヒソヒソと話し始め中央広場に着くころにはヒソヒソはザワザワへと変わっていた。


『なんか途中ヤバい人居たような気がしたんですが、この街大丈夫ですかね…』

「ヤバいヤツ?なんだそりゃ、こんな兵士だらけの辺境地に公の場で犯罪する奴なんか普通いねーぞ」

『あぁはぁ…そうですか…』


…気のせいで有ってほしいですが私の鳥肌センサーには確かに反応しましたがね…


「さて、取りあえずこの辺一帯に張り紙でも貼るか。掲示板と近くのお店に手分けてチラシ貼るか?」

『え、嫌ですよ!!一緒に行きます!!』

「ガハハ!!そうだな、また逸れん様にしないとだったな!!」


…わざとなのか気が抜けてるのかドッチか分からないオヤジだな!!…


「まずはあの屋台の壁にでも貼ってもらうか」

『掲示板なら分かりますが、簡単にお店に貼ってもらえるもの物ですかね?』

「それなら問題ないさ」


そう言ってアゴンさんは広場の周りの屋台のお兄さんに話しかけた


「おうアンちゃん、早速で悪いんだがまたチラシを貼らしてもらってもいいかね」

「これはこれは…良いですよ、私達も宣伝に強力してもらっていますしね。それにアゴンさんの所で鉄板だって用意してくれましたし」

「ガッハッハ!!お互いさまよ!!暫く店前に新しお店開くから良かったら寄ってくれよ!詳しくはこのチラシに書いて有るからよ」

「ほぉこれは…それとそこのお嬢ちゃんって最近噂の噴水少女じゃないか?」

「なんだそりゃ、そんな噂になってるのかよ」

「最近主婦達から話題でさ、12時頃から広場の噴水ベンチに一人で座る女の子が居るって噂よ。しかも1時間程立つと裏路地へと消えて行くらしいぞ。そのお嬢ちゃんじゃないのかい?」

「ガッハッハ!!そんな事になってるのかよ!!悪いが俺は知らないな」

「何だよ違うのか!?俺も遠くからいつも見てたんだがな…まぁいいか、了解したよ!」

「おうまたな!!」


…それ明らかに私だね!?でも何そのあだ名…噴水少女ぉ!!?なんだそりゃ…


私達は広場の周りにあるお店にチラシを配り終わり真ん中で看板を持ち休憩しながらも宣伝をしていた。

チラシの許可を貰えたのはお互いに宣伝し合っているからだそうで、しかもヴィンティーニ商会と言うブランド的な価値のお店なのも大きい様だった。


『凄いんですねこのお店って』

「まぁな、代々やってるらしいからな。よそでも知名度は折り紙付きよ。」

『それと前来てた時より人が居るような…女性が多いですね…』

「早速宣伝の効果でもでかな」

『流石に早すぎるのでは…』

「主婦をなめちゃ~いかんぞ?奴らは暇だからな!!!ガッハッハ!!」


すると其処へ女性達が話しかけて来た。


「あらあら私達が暇で悪かったわね!!これでも男達の炊事洗濯で大変なのよ?」

「何だよ聞こえてたのかよ。冗談さ冗談!!」

「本当かしらね!!だから奥さんにも子供を連れて逃げられるのよ!!」

「おいおい、頼むからそれは言わないでくれって…」


アゴンは私をチラチラと見ながら苦しい顔で話していた。


「あら、ごめんなさいね…そちらの子ってアゴンの隠し子だったのかしら?」

「な訳ないだろうが!!」

「ですわよね!!こんな可愛い子がアゴンの娘な訳無かったわね!!どこも似てませんもの」ホホホ!!!

「お前等な!!寄ってたかって男を虐めるなよ!!これだから主婦共は」

「それにしてもお嬢ちゃん今日は変わった格好してるのね。でも凄く可愛いわよ」

「迷子じゃなければ持ち帰りたいわ」

「ウチのバカ息子には飽きて来たのよ。お人形みたいな娘も欲しいわ」

「早く作ればいいのに!!?」

「そう簡単に言わないでよね!!それに私と夫からじゃこうも可愛い子は生まれないわ!!」


…主婦トーク恐るべし、入る隙も無くひたすらしゃべり続けるなんて、しかも子供が居る前で話す内容なのだろうか…


「おいおい何勝手に盛り上がってるんだよ、この子はかなり天才児だぞ…お前たちの会話の内容くらい多分わかってるぞ…」

「あらま!!嘘でしょ!!?」

「これは恥ずかしいわぁ!!でも本当かしら…」


…まぁ確かに分かってますね…元16歳ですからね私。流石にそれくらい知ってますよ…


「ヘイソンの旦那が言うにはこの歳で数字も読めて計算できて文字も読めるらしいぞ」

「まぁ!!それは!!」

「それが本当なら益々恥ずかしいわ!!」

「それでよ、今日からお嬢ちゃんのお店が暫くウチで開くから良かったら来てやってくれよ。因みにこの子がお支払をしてくれるぞ?ほら看板みせてあげな」


…ぇえ!?私そんな事聞いてませんよ!!レジ当番ですかい!!…


『は、はい…これです…』

「変わったお店ですわね!!なんでも斬れるッて所が逆に気になってきますわね!!」

「まぁ自分の目で見て確かめてくれ。金は取るがな!!ガッハッハ!!」


こんな調子で主婦達と話しているとあれよあれよと主婦が集まりちょっとした人だかりに成っていた。

私が話題の噴水少女であるらしく話しかけたい人達が次から次へと集まって来たのだ。

そのついでにお店の宣伝をしているうちにお昼が近くなったので私達は開店の準備をすべく戻る事にした。


「すまないな、そろそろお店に戻らなくちゃいかん。この子を愛でたいならお店にでも寄ってくれよな!!暫くは働いてるからよ!!」

『あはは…良かったら来てくださいね…』


このもみくちゃにされながら触られ、抱かれ、声をあげ、散々な状況から解放されたラキュアの精神はすっかり消沈していたのでった。


…出来れば来ないで欲しいですよ…


私達はお店に戻る。

「あらやだ髪がサラサラだわ!!」

「肌なんてスベスベでいて柔らかいわよ!!それに白くて綺麗!!」

「あーんもう!!なんて可愛いのかしら!!お着換えでも持って来れば良かったわ!!」

「私はこの柔らかいホッペに甘いお菓子を詰め込んであげたいわ~!!」

「見てほら!!本当に可愛いわよ!!あの子が噴水少女なの!?」

「そうなの!!可愛いわよね~将来有望ですわよキット!!」


むぎゅぎゅー むぎゅぎゅー ぎちぎち ぎちぎち


…だれか~だずげでぐれぇぇぇ~~!!!…


ラキュアは帰るまで終始この調子であった。

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