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7話:戻る馬車 戻る命 戻らない瞳


『カイン!!ねぇカイン!!』


…どうしよう…カインが動かない!!…


ラキュア達は暗闇での野宿の中、逃げる商人の馬車を追う9人以上の盗賊を擦り付けられ、なんとか生き残った。しかしカインが刺され、ラキュアは必死に声をかけていた。

 

《ラキュア!!カインは息がある。無事だ、寝かせてやれ》

『本当に!!?だってカインこんなに怪我が…』

《君が揺らしたらもっと酷くなるぞ?ほら、落ち着きなさい》

「カイン心配だけど、ラキュにゃんも心配だにゃ…」

『私が?』


何となく自分を見渡す。特に傷は無い、返り血を浴びている位だ。しかし手には


『私なんでこんなモノ持ってるの…』

「ラキュにゃん…なんでそれ持ってるにゃ…それは…」

《ラキュア!!記憶は有るか?》

『記憶…記憶は…ある…』


無意識で真っ白で何も考えてなくて只忘れていた。人を斬った事を自分が何をしたのかを。

でも何故そうなったか分からない。


《有るのか。それなら良い。私達の事もちゃんと覚えて居るんだね?何か変わった事はないか?》

『うん、皆覚えてる…』


…変わった事?…分からない…


《痛みは無いかい?》


…痛み…?何だろう…どこも怪我してないし…分からないよ…


《ラキュア…私達がどう見えている?》


…見えている?質問の意味が分からない…


『普通に…?言ってる意味分からないよメイビス…』

《…ふむ…》

「本当かにゃ大丈夫かにゃ?」

《ラキュア、自分の左目に手を当てなさい》


…自分…左目…ヌチャ…


『なにこれ…』


《もう一度聞くよ。何処か痛く無いかい?》


質問の意図が分かった。だがラキュアの眼から痛みは無かった。


『無い…です…』

《ならいい》

「ラキュにゃん…心配だにゃ…」

『私よりカインが…これ良く無い気がします…』

《そうだね、此所で朝を待つか…だが持つか…》

「メイにゃん…どうしよう、また馬車の音がするにゃ…」

『ぇえ!!そんなぁ!!』

《本当かソマリ!!どっちからだ!》

「ハーバルへの街道かにゃ…数台来るにゃぁああ!!」

『!!?』

《この暗さでか!!糞っ!!カインを置いて…》


ラキュアはその途端、メイビスに怒った泣顔を向けた。


「メイにゃんなに言ってるにゃ、そんなのダメに決まってるにゃ」

《だが!!》

「ラキュにゃんはそんな気ないにゃ!!逃げるならメイビスだけ逃げれば良いにゃ!!」

『私…やるよ…まだコレもあるっ…』カシャン

《……カイン…すまんな、少し借りるぞ》


メイビスがカインの精霊剣を手に取り、ソマリもラキュアも構えていた。


ガラガラガラガラガラ!!

荷車を引く音が馬の足音を誤魔化しやって来る。

ガラガラと五月蝿い音に紛れ声が聞こえた。


「おーーい無事かー!!!」


「にゃにゃ!?」

《敵じゃ…無い》

『ふぇ!?』


ラキュアはメイビス達と馬車を交互に見ていた。

暗い道の中、焚き火に向かい数台の馬車が到着する。


「先程の冒険者であろう!!すまない…命拾いをした。」

《ッチ、さっきの商人!!?貴様!!!何しに来た!!》

「メイにゃん堪えるにゃ!!アタシもぶっ飛ばしたいのにゃ!!」

「すまない!!応援を呼んできた…だが…」


彼は転がる盗賊を見回してた


『メイビス、この人達のせいだけど、カインが助かるかも…お願い、落ち着こ?』

《ラキュア…》

「先程は助かった!すまない…」

「君達…連れがご迷惑を…私達は商人です」


《だろうな》


メイビスは嫌な顔して短く言葉を切った。

そんな事は分かっている。だが追われて、荷物を捨てず走る商人。終いには盗賊を擦り付け。何故か今、戻ってきた。商人とは思えない行動にメイビスは苛ついている。


「ワシ等は奴等から逃げ仰せ、途中で合流したキャラバンの一行じゃ。だが有ろう事か冒険者に盗賊を擦り付けたバカ者が居たと聞いてな…」

「この若いろくでなしが…」


『…そんな事もういいよ…オジサン達、誇りと私達の身を案じて来てくれたんでしょ!?』

「うむ…だがもう…」

『ならお願い…!!カインを乗せてって!!』

「にゃにゃぁ…」


ラキュアが商人達の思いを理解し言葉を割った。それに同じてソマリは血まみれのカインを連れてきた。


「あぁっぁ!!?何て事だ!!このろくでなしが!!!!」

「その方は君達の仲間で良いのだな?」

『大事な仲間!!お願い!!』

《ラキュア…》

「メイにゃん、あのまま怒鳴るだけじゃどうにもならないにゃ…ラキュにゃんに任せよ」

《そうだったね…少し頭を冷す…》

「お前達、ワシの荷馬車に乗せる。少し手伝ってくれ」


連れて来た商人達は仕切ってるオジサンの幌馬車の荷物を積み降ろしスペースを開け、カインを労る様に沢山で運んで行った。ろくでなしと言われた最初の商人の荷馬車にも拘束した盗賊と死体を乗せていく。


「すまないな若いのがバカな真似を…君達も乗って行きなさい」


そう言ってカインと同じ幌馬車に乗せて貰った。


「ヘイソン、アレを持ってこい。彼の傷を癒す」

「っな!!しかし隊長、アレは貴族への商品ですよ!!」

「バカか、彼らは命の恩人じゃぞ。ろくでなしとは言えワシの孫じゃ」

「隊長…」

「賊も捕らえた。話せば何とか成るだろう」

「分かりました…持ってきます」


ヘイソンと呼ばれる男が別の荷台から何かを取り出してきた。


「それでは向かうぞ、摑まっておれ」


荷馬車の群れが動き出す。


「隊長、コレを…」

「良いから彼にやっておくれ。暗いんだ、これ以上話しかけるな」


そう言って手綱を握る隊長は中年の男を払い、男はビンを持ちこちらに寄って来る。

彼の持つビンはメイビスに手渡された。


「コレを彼に」

《…!!?ポーションだと!?》

『ポーション?』

「ポーションってあの凄い高い薬かにゃ?」

「コレは普通のポーションに世界樹の若葉を混ぜた貴重なポーションです…」

《世界樹の若葉だと!?規制しているはずだぞ!!》

「えぇ、ですから躊躇ったのです。気が変わらない内に使ってあげてください…」

『…凄いの?…』

《あぁ、凄い。我等エルフが守る長寿の源の1つだからな》

「は、早くカインに使ってあげるにゃ…苦しいはずにゃ…」

《ラキュア、カインの口を開け支えてやってくれ》


メイビスはカインの口に色の濃い緑色の液体を流し込む。

時間は少し掛かったが、効果が現れた始めた。目に見える傷が身体を作り治し繋がって行った。

しかし傷痕までは戻らなかった。


『す、凄いっ!!』

「にゃぁぁ!!」


馬車が揺れる中、歓喜の声が響いていた。


《やはり本物なのか…》


するとカインが口から血を吹き出し目を覚ました。


「…ぅ…メイビス様、ラキュアさん…ソm……無事ですか!?」

『カイン!!!』

《心配自分の身体にしろ…全く…本当によかった》

「カイーン!!無事だにゃ!!それとアタシの名前無かったにゃぁ!!どういう事にゃ!!」

《言わないと分からないのか…悲しい奴だなー》

「にゃにゃー!」

『カイン…』


全員ホットしたのだろう、カインは視界に大事な人達が映り安心し、冗談を交え、メイビスとソマリは和ませるようにド突き合い、ラキュアはカインお腹にのし掛かかった。


「メイビス様…また僕は…」

《よせ、それに私も助けられた。ソマリとラキュアにな…」

「メイビスなに余所見してるにゃー食らうにゃ!!」ドガーン

《グハッ!!》

「っな!ラキュアさんが…」

《…痛てて…ラキュア!!礼がまだだったな》

『!!?』

「そうにゃ、どちらかと言えばアタシも助けられたにゃ。ラキュにゃんありがとにゃん」

《ありがとうラキュア》

「ラキュア…さん…ありがとう…」

『ふぇぇ…急にそんな困っちゃいますよ私…』


ラキュアは慣れないお礼に戸惑い両手を付だして居た。

上半身が起き上がるカインはそんな彼女の眼を見てしまった。


「ラキュアさん…その眼…」

「あっ…まだ血が出てますか?」

「…んにゃ…」

《…。そうだな…余り人前に出れないかもな…》

『え?』


好奇の目と不安の目と悲しい目がラキュアの瞳に突き刺さった。

「ぐっふぅ!!こんな狭い場所で騒がないでぐふぅ!!」

「待つにゃー!!メイにゃん!!」ダダダダ、グニャ!!

《フハハハ、待つと言われて待つものか!!》ダダ グニャ!! ダダ グニャ!!

「も、もう足を踏まないでグレェェ!!」

『カインのお腹柔らかーい!!』ポヨーン グシャ ポヨーン グシャ


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