第四十三話 喰らう牙
灰色の群狼が、一斉に襲いかかった。
「来るぞ!」
白の剣士が叫ぶ。
四人が、それぞれの位置についた。
白の剣士は剣を構える。
緑の弓使いは弓を引く。
青の槍使いは槍を低く構える。
赤の武闘家は拳を握る。
四つの色が、同時に輝いた。
白い光。
緑の光。
青い光。
赤い光。
「行け!」
緑の弓使いが矢を放つ。
ヒュッ!
矢が狼の群れを抜ける。
一本。
二本。
三本。
灰色の狼たちの動きが止まる。
「道ができた!」
白の剣士が駆ける。
白い光をまとった剣が閃く。
灰色の狼が飛びかかる。
斬撃。
別の狼が迫る。
横薙ぎ。
さらに一匹。
白の剣士は止まらない。
「まだ来るか!」
背後から狼。
「白!」
青の槍使いが叫ぶ。
槍が伸びる。
狼を弾き飛ばした。
「助かった!」
「気にするな!」
青の槍使いの身体から、青い光が溢れる。
槍を握る手に力が集まる。
その動きは、まるで水の流れ。
止まらない。
途切れない。
次々と狼を押し返していく。
「これなら!」
赤の武闘家が駆ける。
全身に赤いチャクラ。
拳が光る。
「はああっ!」
拳を振り抜く。
ドンッ!
衝撃が走り、数匹の狼が吹き飛ぶ。
赤の武闘家はそのまま群れの中央へ突っ込んだ。
「俺が道を開く!」
拳。
蹴り。
回転。
赤い光が次々と弾ける。
しかし――
その動きを、ワーグはじっと見ていた。
「……なるほど」
赤の武闘家が振り返る。
「何だ?」
「これが四色の力か」
ワーグの目が赤く輝く。
「ならば――」
灰色の霧が、ワーグの身体から噴き出した。
「俺にも寄越せ」
「何……?」
霧が赤の武闘家へ伸びる。
「赤!」
白の剣士が叫ぶ。
赤の武闘家が横へ飛ぶ。
しかし、灰色の霧が腕をかすめた。
「ぐっ……!」
赤い光が一瞬だけ弱まる。
「チャクラが……!」
赤の武闘家が腕を見る。
赤い光の一部が灰色へ変わっていた。
「色を喰らったのか!」
緑の弓使いが叫ぶ。
ワーグが笑う。
「そうだ」
灰色の霧がさらに広がる。
「俺は色を喰らう獣」
ワーグの身体に、赤い光が浮かび始める。
「喰らった色は、俺の力になる」
赤の武闘家が目を見開く。
「俺の赤を……使っている?」
「その通りだ」
ワーグの身体が赤く輝く。
次の瞬間――
ワーグが跳んだ。
「速い!」
白の剣士が剣を構える。
ワーグの爪が迫る。
ガキィン!
剣と爪がぶつかった。
「ぐっ!」
白の剣士が押される。
「白!」
青の槍使いが助けに入る。
ワーグが振り払う。
「くっ!」
青の槍使いが後退する。
緑の弓使いが矢を放つ。
しかし――
ワーグの身体から赤い光が爆発した。
矢が弾かれる。
「そんな……!」
赤の武闘家が拳を握る。
「俺の力を使っているせいか……!」
ワーグが笑う。
「どうした?」
赤い光をまとった牙が輝く。
「自分の色に負ける気分は?」
ワーグが突進する。
赤の武闘家が迎え撃つ。
「返してもらうぞ!」
拳と牙が激突する。
ドォン!
赤い衝撃が広がる。
赤の武闘家が押される。
「ぐあっ!」
その身体が地面を転がる。
「赤!」
白の剣士が駆け寄ろうとする。
だが、狼の群れが行く手を阻む。
「邪魔だ!」
白い光をまとった剣が走る。
狼を退ける。
その横から緑の矢が飛ぶ。
青の槍が続く。
三人が一気に群れを押し返す。
そして――
「赤!」
白の剣士が手を伸ばす。
赤の武闘家が立ち上がる。
「……まだやれる」
「なら、作戦を変える」
白の剣士がワーグを見る。
「ワーグは色そのものを喰らっている」
緑の弓使いが頷く。
「なら、一つずつ使えば奪われる」
青の槍使いが続ける。
「四人の力を重ねる必要がある」
赤の武闘家が笑った。
「つまり――」
四人が互いを見る。
「四つ同時にぶつける」
ワーグが牙を剥く。
「できるものなら、やってみろ!」
四人が構える。
白の剣士の剣が輝く。
緑の弓使いが矢をつがえる。
青の槍使いが槍を構える。
赤の武闘家がチャクラを高める。
四つの色が、徐々に強くなる。
「行くぞ!」
四色の光が、一斉にワーグへ向かって走り出した。
ワーグもまた、喰らった赤の力を全身に集める。
「俺が――」
巨大な牙を開く。
「全部喰らってやる!」
灰色の霧と四色の光が――
正面から激突した。




