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BLACK EATER ―色を喰らう魔王と、四色の英雄―  作者: まーサンタ
第六部 魔獣決戦

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第四十二話 灰色の群狼


 黒の森。


 四人の英雄は、立ち止まっていた。


 目の前にいるのは、一匹の狼。


 灰色の毛並み。


 鋭い牙。


 赤く光る目。


 だが、その背後には――


 無数の狼がいた。


「……多いな」


 赤の武闘家が呟く。


「数える気にもならない」


 緑の弓使いが弓を構える。


 青の槍使いは静かに周囲を見渡した。


「囲まれている」


 白の剣士が剣を抜く。


「なら、囲まれる前に突破する」


 その瞬間。


「グルルル……」


 一匹の狼が低く唸った。


 群れが一斉に走り出す。


「来る!」


 緑の弓使いが矢を放つ。


 ヒュッ!


 一匹が倒れる。


 その横から別の狼。


 白の剣士が斬り払う。


「右!」


 青の槍使いが叫ぶ。


 赤の武闘家が振り向く。


「任せろ!」


 拳を突き出す。


 ドンッ!


 狼が吹き飛ぶ。


 しかし、次から次へと押し寄せてくる。


「キリがない!」


 青の槍使いが槍を回転させる。


 狼たちを退ける。


 だが、その隙に別の群れが背後へ回った。


「後ろだ!」


 白の剣士が駆ける。


 剣を横薙ぎに振る。


 灰色の狼が散る。


「ありがとう!」


「気にするな!」


 白の剣士が答える。


 四人は背中を合わせた。


「こうしておけば、分断されない」


 赤の武闘家が笑う。


「昨日とは違うな」


 緑の弓使いが頷く。


「今度は四人いる」


 青の槍使いが槍を構える。


「そして、互いの動きも分かってきた」


 四人の色が輝いた。


 白。


 緑。


 青。


 赤。


 灰色の群れが再び迫る。


「行くぞ!」


 白の剣士が飛び出した。


 その直後、緑の矢が頭上を飛ぶ。


 ヒュッ!


 白の剣士の前にいた狼が倒れる。


「道を開けた!」


「助かる!」


 白の剣士が走る。


 左右から狼。


 青の槍がそれを弾く。


「白、前だけ見ろ!」


「分かった!」


 前方の群れへ白の剣士が突っ込む。


 そこへ赤の武闘家。


「まとめて吹き飛ばす!」


 赤いチャクラが全身を包む。


「はあああっ!」


 拳が地面を打つ。


 衝撃が走る。


 狼たちが一斉に後退した。


「今だ!」


 四人が駆け抜ける。


 だが――


 その先に、巨大な影が立っていた。


 四人が足を止める。


「……こいつは」


 青の槍使いが呟く。


 群れの中央。


 ひときわ大きな灰色の狼。


 他の狼たちとは明らかに違う。


 鋭い牙。


 巨大な爪。


 そして、全身から立ち上る灰色の霧。


 白の剣士が剣を握る。


「ワーグ……」


 以前、赤の武闘家が戦った魔獣。


 群れを率いる灰色の狼。


 ワーグがゆっくりと歩き出した。


「ようやく揃ったな」


 低い声が響く。


「四つの色」


 緑の弓使いが眉をひそめる。


「喋るのか……」


「当然だ」


 ワーグが牙を見せる。


「俺は他の獣とは違う」


 赤の武闘家が一歩前へ出る。


「俺は、お前と一度戦っている」


「覚えている」


 ワーグの目が赤く光る。


「赤の武闘家」


「なら話は早い」


 赤の武闘家が拳を構える。


「今度こそ倒す」


 ワーグが笑った。


「一人ではな」


 赤の武闘家の表情が変わる。


「だが――」


 ワーグが四人を見渡す。


「四人ならどうだ?」


 群れが一斉に唸る。


 グルルルル……。


 ワーグの背後には、まだ無数の狼。


「俺は群れの王」


 ワーグが地面を踏みしめる。


「数も、速さも、すべて俺たちの武器だ」


 四人が構える。


「だったら――」


 白の剣士が言った。


「俺たちは四人で戦う」


 緑の弓使いが続く。


「一人ではない」


 青の槍使いが槍を構える。


「互いの背中を預ける」


 赤の武闘家が拳を握る。


「そして、四人で勝つ!」


 ワーグが吠えた。


「ならば見せてみろ!」


 次の瞬間。


 ワーグを中心に、狼の群れが一斉に走り出した。


 大地を揺らすほどの群れ。


 四人の英雄は、逃げなかった。


 白の剣士が前へ。


 緑の弓使いが後方へ。


 青の槍使いが中央。


 赤の武闘家が白の隣へ。


「行くぞ!」


 四色の光が輝く。


 白。


 緑。


 青。


 赤。


 対するは――


 灰色の群狼。


 ワーグが牙を剥く。


「喰らえ!」


 巨大な群れが押し寄せる。


 四色と灰色。


 ついに――


 ワーグとの決戦が始まった。

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