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ノワール・ガールズ・パニック  作者: 一二三四ョウオウ


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13/14

発狂する蒼龍 クレイジーネッシー

 工藤「て、テメェが前川陽子っ!?」


 前川「ここまでやるなんて、クレイジーね」


会社の屋上では車が突撃し、前川陽子本人が現れるという、謎の現象が起こっていた。ドラマや映画ではなく今ここ、ノンフィクションで。あまりの出来事に戸惑う工藤だったが、気を取り直して首輪を出した。


工藤「ここにお前がいるなら話が早い。ちょうどお前と話したかったんだ」


前川「貴方、以前パパの会社にいた人よね?何してるの?」


工藤「この俺様をコケにしたこの会社を乗っ取ったのさ。俺は普通の奴らと違ってちょっといい出の生まれなのによー、上から責められるなんて可笑しいじゃねぇか!?俺は部長の息子で東大卒のカリスマエリートだぞ!!」


前川「復讐か?まさにクレイジーね。でも考えてみなさいよ。大学出たばっかの奴が会社経営なんて出来る訳ないでしょ?大層な事言ってそうだけど、社会のあれこれ知らないあんたなんか、我儘なガキが駄々をこねているようにしか見えないわよ」


工藤「それがどうした!?俺様に反論するなど100万年は早いんだよ!!女の癖に出しゃばるんじゃねぇ!!」


前川「女だから出しゃばるな?ふざけんじゃねぇよ!!今時そんな考え持ってんのか!?それじゃあ時代遅れのガキじゃねぇか!!!今は令和、昭和のそんな考えなんか、ゴミ箱に捨てちまえよ!!」


工藤「俺を、俺を舐めるなーっ!!!」


工藤は怒りに任せて、首輪を投げた。首輪は前川の首に付き、ガッチリと固定されてしまった。


工藤「フハハハハハハハッ!!!!!この首輪は絶対外れねぇ!!大人しく俺の奴隷となれぇー!!!!」


松木「このくそ男!!瀬戸ちゃん!!」


瀬戸「分かった!!アームド、デス・ライム」


瀬戸はデス・ライムを出して、黒い衣装へ姿を変えた。能力者にはこれが適性であるのは間違いない。ただ、今見た首輪を付ける能力なら、不意に近づくのは危険すぎる。ここは相手の出方を伺うしかない。一方でベルと村上は前川の首輪を外そうとしていた。


ベル「く、魔力で作られた首輪は簡単に外しにくいか。硬すぎる!!」


村上「く、痛いな。それにしても、よぅあんな事言いだせたな」


前川「ああいう相手にはガツンと言った方がいいのよ。まさにクレイジーね」


ベル「まさにクレイジーって奴だな」


どうやらこの首輪は能力者自身が解除しない限り、外す事も壊す事も難しい。だが、あの男が素直に外すとは思えない。あの男をどうやって倒すかが問題だ。厄介な能力を持った男だ。


村上「なぁ、ところであいつ、能力者なんやろ?どうやって身につけたんや?」


ベル「考えられるのは1つ、プレシャスファミリアだけだ。奴らはまた能力者を生み出したのか」


前川「なら、この状況をどうにかしないとね」


村上「首輪が外れないのにどうすんねん!?」


前川「私をただのクレイジーなお嬢様と思わない事ね。私は如何なる痛みも困難も乗り越えてきたのよ。今更こんな首輪程度に負ける私じゃないわー!!!」


工藤「馬鹿め!!その首輪は簡単には外れねぇよ!!」


前川「なら、私は初めてこの首輪を壊した女として歴史に刻むわっ!!!私はいつでも、クレイジーよ!!!!!」


その時だった。前川のペンダントが突如黒く光り始めた。前川はそのペンダントを首につけると、背後から何かが浮かび上がった。それはここにいる人達よりも大きく、この世にいる動物の姿ではなかった。あれはまるで海龍、白亜紀に存在した首長竜みたいな姿だった。体は青と黒が混じった色をしていて、4枚のひらに長い尻尾、顔に兜をつけた大きな首長竜が現れた。


瀬戸「う、嘘!?」


アカゴン「まじか!?あのペンダントが!?」


ベル「あんなのは見た事ないぞ!?」


プチモン「プチプチ!!」


松木「うわ!?」


村上「な、あれは!?」


クロノス「覚醒したのか!?」


工藤「な、何が起きやがった!?」


みんな唖然とし、誰もが釘付けになっていた。そして、前川は悶え始め、頭から黒い液体が流れ出した。その後、首長竜は前川に話しかけてきた。


前川「な、何なの、これ!?」


???『随分と待たせたものね。貴方がいつ私を解放してくれるのか、ずっと待ってたわよ』


前川「ま、待ってたって?」


???『あなたがあの時、ペンダントを拾った時からずっとね。そして、私は貴方を選んだ』


前川「う、選んだ?どうして?」


???『貴方が気に入ったから。力が欲しいのでしょ?なら契約よ。悪魔と相乗りする勇気、貴方にある?』


前川「悪魔?まさにクレイジーね」


???『貴方は望んでいる、この退屈な世界を。なら、その世界をぶち壊す覚悟はあるかしら?』


前川「クレイジー。もう覚悟なんて決まってるわよ!!私はこういうのを望んでいたから!!」


???『では契約ね。この日常をクレイジーに変えてみせて』


前川「まさにクレイジー、あーはっはっはっはっ!!!」


首長竜は口から黒い液体を出すと、前川は全身被ってしまい、黒い液体まみれになった。その後、青い炎が現れて、それを振り払うように動くと中から出たのは青い髪に黒い服と短パン、黒いロングコートと黒い手袋とブーツ、トリコーンを被り、腕に首長竜の顔をもした姿の前川が現れた。両目は青くなり、青い口紅をつけていた。


工藤「な、なんだ、それは?」


前川「これが私、解放された私か。名前は"クレイジークイーン"、スピリットは"クレイジーネッシー"とでも呼んでね」


§


一方で別のビルの屋上から誰かが覗いていた。


???「この反応はっ!!」


???「この世界にいるのか!?だが、この力は何か違う、我々の知らない未知なる力だと言うのか!?」


???「とりあえず、観察をする」


???「そうだな。その力がどんなものか、少し見てみようか」


§


クレイジークイーン「さて、おっ始めるわよ!!」


工藤「馬鹿め!!首輪を忘れたのか!?俺が命令すれば・・・」


クレイジークイーン「あ、忘れてた。てかこれ邪魔。ふんっ!!!」


クレイジークイーンは首輪を思いっきり引っ張った。すると、首輪にひびが生じ、いとも容易く簡単に壊れてしまった。彼女にこんな普通な攻撃など意味がなかった。彼女に効くのは自分以上の最高でクレイジーな攻撃しかないからだ。彼女の前でチンケな技は意味をなさなかった。


工藤「ば、馬鹿な!?グググググ・・・・」


ノワールガール「嘘!!壊れちゃった!?」


ベル「やはり未知なる力か!!だが、これは一体!?」


クレイジークイーン「感じるわ、この力。まさにクレイジーだわ!!」


クレイジーネッシー『まだ暴れたりないのでは?更に楽しくさせましょうか?』


クレイジークイーン「いいね。ここは1つ、体を動かしたくなったわ」


クレイジーネッシー『ではここ一面を水浸しにしましょう』


クレイジーネッシーは何やら雄叫びをあげた後、床にいつの間にか水が浸水していた。ノワールガール達は迷っていたが、前川は1人喜んでいた。そして、水の中を素早く走り、工藤の顔に蹴りを入れた。


工藤「ふご!?」


工藤はモロに喰らってしまい、壁を貫通して、そのまま遠くへ飛ばされていった。幸いなことに前川父はこの場にいなく、最上階にはノワールガール達と工藤以外誰もいなかった。


クレイジーガール「すごい、すごすぎるわ!!!」


ベル「まさか、あのペンダントにこんな力が隠されていたとは・・・」


村上「つか、水浸しやんけ!!どうすねん!!!」


松木「あれ?でも濡れてない?どう言う事?」


クロノス「おそらく、彼女の魔力で作られた水、いわば偽物の水だ。水から大量に魔力を感知している」


アカゴン「だが、何故あんな化け物が現れたのだ?あのペンダントにそんな化け物がいたという話は聞いてないぞ」


ベル「未知のスピリットか。だが、スピリットは本体である者の心に反響する事でその姿になって現れると聞く。彼女の中であのネッシーとか言う生き物が特別な存在だったと言う事だろう」


ノワールガール「となれば、私はどうして?」


そんな時だった。工藤がボロボロになりながらも、こっちへ歩いてきた。とはいえ、足元がもたつき、震えが止まらず、足を引きずって、壁伝いしながら歩いてきた。


工藤「く、なかなかやるな。俺の肋骨と膝の骨が数本折れかけている」


クレイジークイーン「そっちもよく無事でいられたね。普通なら伸びて倒れてるのに」


工藤「俺は・・・こんな場所で・・・終わる、人間、ではない。俺は、俺は更に、上へ・・・目指す・・・んだ。もう、誰の・・・言いなり、にも・・・ならねぇ。俺は、頂点に、立つんだーっ!!!!」


クレイジークイーン「大層なことを言っててあれなんだけど、あなたのそれは机上の空論って奴じゃない?上へ目指したいなら、地道にコツコツやればいいじゃない。パパもそうやって今の地位にいたのよ」


工藤「うるさい、うるさーーーーーーーーーーいっ!!!!!」


工藤は再び首輪を幾つも出し始めた。彼は自暴自棄になったようだ。ノワールガールも首輪をかわし、ベル達はワルドリアンの中に入った。クレイジークイーンはただ1人真っ向から走っていき、首輪を全て薙ぎ払った。そして、直前へ近づいた時に高く飛び、そのまま足を上げ始めた。


クレイジークイーン「私の足にキスしなさーいっ!!!」


クレイジークイーンは工藤の額へ踵落としをし、工藤は逃げる間もなく、モロに喰らってしまった。流石にダメージを負ったのか、工藤はそのまま伸びてしまった。工藤がやられた事により、会社にいた社員達の首輪が崩れ始めた。久しぶりの自由を手にした事により、社員一同歓喜に包まれ始めた。そして、工藤の方はと言うと。


村上「こいつ、警察に突き出すか?」


松木「でも、彼は全てを話すかな?」


瀬戸「あれだけプライドが高かったのですから、話すのは無理かと」


クレイジークイーン「何言ってるの?全部話してもらうに決まってるでしょ?ちょっと痛い目を見てもらうけどね」


クレイジークイーンはクレイジーネッシーを呼び出した。するとクレイジーネッシーは工藤を咥えると床の方へ潜り始めた。一方で何か異変を感じ、目覚めてしまった工藤。気づけば、自分が何か分からない化け物に咥えられながら、どこかへ潜っていってる事に気づいた。水の中ではない為、息は出来るが口と鼻からは何故か泡が出ていた。自分がどこに行くのか、どこまで沈まれていくのか、その恐怖心と焦りが徐々に現れて、次第に発狂し始めてしまった。光のない世界でただ1人、心が壊れそうになった男は次第に視界が消えていく事に気づいた。男は逃げ出そうにも逃げ場がない上、この化け物に強く咥えられている為、ただただ底まで潜るのをジッとしているようになった。そして、視界は黒くなり、死んだ・・・かと思われた。気が付けば、会社の近くのベンチで横になっていた。天気は明るく、会社員達は何事もなかったかのように会社を行き来していた。とはいえ、ネットニュースには前川コーポレーションの不正に関する記事が載ってあり、それを見た工藤はただただ壊れたおもちゃのように体勢が崩れ、ただただ1人笑っていた。


工藤「ふ、ふふ、ふはははははははは・・・」


その時、警察が2人現れて、礼状を出してきた。容疑はもちろん、横領に恐喝等もろもろである。社員達が告発したのだ。工藤は能力を失われたようで、それと同時に自分の人生も失われた。何も出来ない工藤はただ1人笑っていて、手錠をかけられた後もパトカーでずっと笑っていた。彼の転落人生が今、始まろうとしていたのであった。


§


ネクシース「あらら、折角金がこっちに大量に来るかと思ったら、横領していたなんて」


キンピアス「自業自得だな。首輪をつける側からつけられる側になるとはな。皮肉なものだ」


ドン・リングル「こうなりゃ、投資でも株でもやって金をガッポリ稼がねえとな。こっちから動いた方が溜まりやすいぜ」


プレシャスファミリアでは新たにお金を稼ぐプロジェクトが始動し始めた。しかし、彼らはクレイジークイーンの存在について、そして新たな異世界からの脅威の存在など、まだ知る由もなかったのであった。

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