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「──病院のベッドの上で、美沙は半分、夢の中だったけど、みんなの声は聞こえてた」
美沙は泣き笑いのまま、言った。
「美沙のことで喧嘩してるんだと思って、悲しかった。目が覚めかけてたけど、目覚めたくなかった」
「…………」
陽祐は、黙って美沙を見つめる。
幼い日の自分の一言が、美沙を、ずっと縛りつけることになっていたとは──
美沙は微笑んだ。
頬を濡らしたまま、輝くような笑顔を見せた。
「そのとき、お兄ちゃんが言ってくれたんだよ。ぼくが美沙をお嫁さんにするから、大丈夫だよって」
* * *
そうだった。
おそらくはテレビのドラマか何かで観た結婚式の風景を思い出して。
一生大事にするとか、一生幸せにすると夫婦が誓い合っていたことから連想して。
幼いなりに精一杯、考えた末の言葉。
家族愛からのものだった。
罪のない言葉であった、はずなのだ。
それが、美沙の枷となっていた──




