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世界の黄昏に愛する人と  作者: 白紙撤回
第九章  美沙(狼)
72/90

9 - 2

 

 

 

     *     *     *

 

 

 

 美沙は、本当に麻生さんが嫌い。

 中一の頃から仲良しでもないのに、お兄ちゃんのことを質問するときだけ、馴れ馴れしくして。

 二年になって、お兄ちゃんとつき合い始めたら、よそのクラスにまで言いふらして。

 きのうはどこでデートしたとか、何をごちそうになったとか。

 年上の彼氏とつき合ってることが、よほど自慢だったんだろうね。

 でも、どうせ相手はお兄ちゃんじゃなくても、よかったんだよ。

 麻生さんと仲がいいギャルみたいな子が、二、三人いて。

 お兄ちゃんとは別の高校の男子と合コンした話、麻生さんとよくしてたもの。

 妹の美沙に聞こえるようにだよ?

 美沙がお兄ちゃんに言いつけたら、どうするつもりだったんだろ。

 ナメられてたんだね、お兄ちゃんも美沙も。

 どうして、あんなイヤな子がお兄ちゃんの彼女なのか、すごく悔しかった。

 だから、お兄ちゃんと別れたと聞いたときは、すごく嬉しかった。

 それなのに、お兄ちゃんと同じ高校に入って。

 水泳部で、またお兄ちゃんの後輩になって。

 お兄ちゃんの携帯の電話帳で、美沙よりも先に名前があって。

 お兄ちゃんと同じ空間にいて、同じ空気を吸って、同じプールで泳いでいたことが、美沙には悔しい。


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