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ホテルが入っている建物は、新幹線の駅の周りに建ち並ぶ一群のビルの中で、駅に一番近い便利な立地だ。
駐車場は地下にあるが、陽祐は一階の玄関口の前に車を横付けした。誰の迷惑になるわけでもない。
玄関は、よく見ると左右二つに分かれている。
左手の玄関は明かりが消えていて、どうやらオフィスフロアの入口らしい。
午前一時の時点では閉館していたということだろう。
右手はホテルの玄関で、明かりはともっているが、当然ながらベルボーイはいない。
二人でバッグを手に、ホテルの玄関をくぐった。
一階のエントランスはエレベーターホールの役割しかないようで、あまり広くない。
エレベーターに乗り込み、ロビーのある二十六階のボタンを押す。
それより上の客室階へは、二十六階でエレベーターを乗り換えるようだ。
二十五階から下のオフィスフロアのボタンはない。ホテルへの直通エレベーターなのだろう。
やがて二十六階に着き、エレベーターのドアが開くと、写真で見たロビーが広がっていた。
「わあ……」
美沙は声を上げる。
吹き抜けの大空間だった。天井はガラス張りで、青空が望める。
各階のロビーに面した側は廊下のようで、吹き抜けの空間とはガラス窓で仕切られている。
客室はその廊下を取り巻いて配置されているはずだ。
ロビーの中央はレストラン兼カフェである。
エレベーターホールからそちらへは、水中照明で彩られた池を越えて、ガラス張りの橋を渡って行く。
レストランの厨房もガラス張りで、調理風景を眺めながら料理を味わえるようになっている。
もちろん、いまは無人である。
レストランの隅にはバーカウンターがあり、背後の棚にグラスや洋酒のボトルが大量に収められている。
高級ホテルとはこういうものかと、陽祐は感心した。
高校生の日常生活とは縁遠い場所だ。
「ごはんはロビーで食べようね。いつも以上においしいはずだよ」
美沙が言って、陽祐は笑い、
「オリジナルカクテル作りにも挑戦してみようぜ」
その前に、まずは今晩泊まる部屋を決めなければ。




