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第八章 美沙(夢)
外が明るくなっていた。陽祐は、目を覚ました。
隣の布団を見る。美沙はいない。
だが、枕の上にメモが置いてあった。手にとって読んでみた。
『先に起きて朝ごはん作るね。心配しないようにメモを置きました』
ダイニングへ行くと、エプロン姿の美沙が料理中だった。
「おはよう、お兄ちゃん」
振り向いた美沙の、屈託のない笑み。
美沙が自らの精神もろとも、この世界を崩壊させてしまうなんて、ありえないことだと思えてきた。
「手伝うことあるか?」
「それなら洗濯機を回してきて。ごはん食べ終わったら、二人でお掃除ね」
悪戯っぽく笑って、
「お兄ちゃん、花火のとき約束したお風呂掃除、まだしてないでしょ?」
「覚えてたか」
陽祐は苦笑いする。
美沙は、にっこりとして、
「そのあとは、連れて行ってほしいところがあるんだ」
「どこ? 図書館か?」
「せっかく二人きりの世界だから、普段は行けないようなところ。高級ホテルとか」
「行っても誰も出迎えてくれないし、レストランも営業してねーぞ」
「でもいいの。ロビーとか部屋とか綺麗でしょ? せっかくだから泊まってみようよ」
「まあ、いいけど……」
《アーティファクト》捜しからは、ますます遠のきそうだけど。




