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世界の黄昏に愛する人と  作者: 白紙撤回
第七章  夏花(真)
56/90

7 - 11

 

 

 

     *     *     *

 

 

 

 あたしの両親、別居してるんですよねぇ。

 どっちもバリバリの仕事人間で、似た者夫婦でしたけど、いろいろ、すれ違っちゃったっていうかぁ。

 とどめを刺しちゃったのが、おばあちゃん。父方の、つまりお姑さん。

 よく訪ねて来ては、母に代わって、料理とか掃除とか、家のことやってくれてたんですけどぉ。

 あたしはクラブで毎日、夜遅くまで練習してたんでぇ。

 家に帰って、手作りのごはんがラップかけて置いてあるのは、ありがたかったんですけどぉ。

 おばあちゃんが来ないときは、コンビニ弁当かハンバーガーでしたからねぇ。

 でも、母には、勝手に家の中であれこれされるのが、気に入らなかったみたいでぇ。

 自分が家のことやらないのに、なに言ってんだとは思うんですけど、話はそんな単純じゃなくてぇ。

 あたしは気にしてない、というか、バカな子すぎて理解してなかったんですけどぉ。

 おばあちゃん、ひとこと多い人だったんですよねぇ。

 よく週刊誌の記事にある、嫁イビリってやつですかぁ?

 陽祐センパイ、美容室で女性週刊誌、読まないですかぁ?

 行くのは床屋さんなんですかぁ? まぁ、それはともかくですねぇ。

 とうとう、母がキレちゃいましてぇ。

 会社に願い出て、一年間の期限付きですけど、一人で海外赴任しちゃってぇ。

 だけど、あたしバカな子だったんで、母が家を出ても一週間くらい、気づかなかったんですよねぇ。

 もともと出張とか泊まり込みの仕事が多い人ではあったんですけどぉ。

 そういう我が家の事情を知ったのが、JOCで四位に終わったあとだったんですよぉ。

 あたし、六つ違いの姉がいるんですけど、そっちは父から全部、聞かされていてぇ。

 でも、あたしに話すのは、大会が終わったあとにしようって、父と姉が勝手に決めちゃってぇ。

 だから、あたし、話を聞いて、自分がバカな子だなぁって、思ったんです。

 おばあちゃんの嫁イビリも。

 母が家を出て行っちゃったことも。

 父と姉の勝手な相談も、何ひとつ、気づいてなかったんですからねぇ。

 だから、あたし水泳バカは、小学校までで卒業しようと思ったんですよぉ。

 いまは母も日本に帰って来ましたけど、別居状態は続いてますよぉ。

 ときどき、父とは会ってるみたいですけどぉ。

 おばあちゃんが相変わらず出入りしてる我が家には、戻る気はないみたいですねぇ──


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