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翌日の水曜日。
陽祐は、いつも利用しているカラオケ屋の前で、夏花と待ち合わせた。
「──セ・ン・パイッ♪」
現れた夏花は、にこにこ笑顔で、屈託のない様子。
「……おう」
陽祐は、ぎこちなく笑ってみせ、
「ドリンクバー付きでいいよな?」
「フリータイムには、しないんですかぁ?」
「二時間も歌えば腹が減って、あとは何か食いに行きたくなるだろ」
「センパイのおごりですかぁ? ごちそうさまでぇす♪」
夏花は嬉しそうに笑っている。
受付で手続きを済ませ、ドリンクバーで飲み物を手に入れてから、部屋に入った。
さっそくソファに腰かけて、慣れた手つきでリモコンを操作する夏花に、陽祐は言った。
「……あのさ、ちょっと話、いいか?」
「なんですかぁ? マジメな話っぽいですねぇ」
くすくす笑って、夏花は選曲をキャンセルし、リモコンをテーブルの上に置いて、姿勢を正す。
「はい、お聞きしまぁす」
「……片瀬たちと、揉めたらしいな」
陽祐が言うと、夏花は、僅かに表情を強ばらせた。
だが、誤魔化すように、すぐにまた、くすくすと笑い出し、
「揉めたっていうか、一方的に絡まれたんですよねぇ。センパイ、心配してくれちゃいましたぁ?」
「俺が心配する前に、話が全部、終わったんだろ。おまえが何も言わないうちに」
「だって、カッコ悪いじゃないですかぁ。一人で全中に出てるの嫉妬されて、退部を迫られちゃうなんてぇ」
「……おまえ、それ本気で言ってんの?」
陽祐は眉をしかめた。
「片瀬たちが、そんなしょーもない理由で、おまえを退部させようとしたと本気で思ってんの?」
「ほかに何があるんですかぁ? 片瀬さんが、あたしを追い出そうとする理由?」
夏花は小首をかしげてみせ、
「学校のプールで泳いだあとにクラブで練習するとか、あり得ないことしてる人に、嫉妬されてもねぇ?」
「それの何が、わりーんだよ? 部活もクラブも一生懸命で、人一倍、練習してるってことじゃねーか」
陽祐は夏花を睨んだが、夏花は「だって……」と、冷ややかに笑い、
「本気で全中、目指すなら、専任のコーチもいない学校のプールで、いくら泳いでも無駄ですよぉ?」




