7 - 7
* * *
顧問の浜田という教師の立ち会いの下、片瀬たち二年生と夏花は、話し合いをした。
浜田は、夏花には今後の練習態度を改めること、片瀬たちには夏花に再度チャンスを与えることを求めた。
片瀬たちも、夏花が謝罪するなら受け入れようという流れになった。
だが、夏花は悪びれもせずに言ってのけた。
「謝れって、誰に対してですかぁ? あたしのマネして一年が練習サボっても、それ本人の問題ですよぉ?」
それで片瀬たちも態度を硬化させた。
不真面目な部員が所属し続けることは許しがたい。
夏花が水泳部に残ることを許すなら、主将を辞任させてもらうと、片瀬は主張した。
やむを得ず、浜田が顧問としての仲裁案を提示した。
「まあ、待て、おまえら。そもそも水泳部の活動は、ちょっと特殊なんだ」
スイミングクラブに所属する選手は、学校での水泳部の活動には基本的に参加しない。
大会の直前に一日、二日ばかり学校のプールに顔を出して、リレーの引継ぎの練習をする程度である。
それが慣例である以上、スイミングクラブに籍を置く夏花を、退部させることはしない。
ただし、これまでの夏花自身の態度を考慮して、今後は学校での練習に参加することは認めない。
練習はクラブでのみ行なってもらいたい。
大会については、個人種目での出場登録は認めるが、リレーのメンバーからは除外する。
もしも再び、学校での水泳部の活動に参加を希望するときは、部員全員への謝罪を条件とする。
それが、学校のプールで真剣に練習している部員たちへのけじめであると、水泳部顧問として考える──
片瀬たちは、その案で同意した。
夏花も承知した。
「全中だけは出たいんでぇ、その方向で、お願いしまぁす」
そして、にっこりと浜田に向かって笑い、ぺこりと頭を下げた。
「お手間をかけましてぇ、ありがとうございましたぁ」
最後まで悪びれない夏花に、浜田も、片瀬たち二年生部員も、あきれるほかなかった──
* * *
「──でも、新人戦もエントリーが間に合わなくて結局、個人種目も含めて出場しないことになったんッス」
「…………」
水嶋の話に、陽祐は、黙り込む。
どうして、それほどの重大事を、夏花は陽祐に告げなかったのか。
彼氏としてつき合っていても、真面目な相談をするには値しない、頼りない先輩と思われていたのか?
陽祐は、重い口を開いた。
「……落としどころとしては、それが妥当だろうな」
「オレも、そう思うッス。だけど、ここまで揉める前に、オレらでどうにかするべきだったッスよね」
水嶋は、苦い顔で笑って、
「先代の主将として、責任を感じるッス。ただ、陽祐先輩の立場では、どう思ってるのか聞いてみたくなって」
「俺は……ごめん。そのへんの話は全然、麻生から聞いてなかった……」
「そうッスか……。なんか余計なこと言ったみたいで、申しわけなかったッス……」
頭を下げる水嶋に、陽祐は、返す言葉が見つからなかった。




