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地元の夏祭りは、夏休みの最後の週末にあった。
陽祐は土曜日の練習後の夕方、夏花と待ち合わせた。
神社の鳥居の前である。屋台が並ぶ参道は、すでに賑わい始めている。
夏花は浴衣姿で現れた。紺色で赤い金魚が描かれている。
髪はアップにまとめ、かんざしを挿している。
「浴衣、可愛いでしょ? おばあちゃんに作ってもらったんですよぉ」
得意げな夏花に、陽祐は笑って頷き、
「おばあさん、そういうの得意なんだな。金魚が夏っぽくて、いいじゃんか」
「かんざしの飾りも金魚鉢のかたちのトンボ玉ですよぉ、浴衣に合わせて選んだんです」
「ああ、うん、可愛いんじゃね」
「似合ってます?」
「うん……ああ、似合ってる似合ってる」
陽祐は苦笑いするほかない。
確かに、かんざしも浴衣も可愛いし、よく似合っている。
それはつまり、夏花自身が可愛らしいということだ。惚れた贔屓目も込みで。
「混んできたから……はぐれないようにしないとな」
そう言って陽祐は、夏花と手をつないだ。
照れ隠しの台詞が、わざとらしいと自分でも思った。
とはいえ、陽祐にとって夏花は初めて作った彼女で、デートの回数もまだ片手で数えられる程度だ。
格好つけるには経験値が足りない。
「もしはぐれちゃっても、ちゃんと見つけて下さいねぇ? 金魚鉢のかんざしが目印ですよ?」
夏花は笑って言いながら、ほんの少し力を込めて手を握り返してきた。




