6 - 4
* * *
陽祐はたずねた。
「おまえは、その《アーティファクト》を集めて何をする気だ?」
「特には何も。コレクションは、それ自体が目的みたいなものでしょう?」
相手は夏花の姿で、にっこりとする。
くそっ、やりづれー。
「いまの麻生の姿は、この世界にいる俺と話すためのスピーカーみたいなもんだろ?」
陽祐は仏頂面で言う。
「だったら、本物のおまえは何者だ? 男か女か、普段は何をしてるんだ?」
「いちおう女ですから、安心してください。それ以上のことは答えられません」
夏花の姿の女は、悪戯っぽく笑った。
本当に「女」であるかどうか、陽祐に確かめるすべはないが。
「そろそろ、おしゃべりは終わりにしないと、美沙さんに負担がかかります」
「こっちは混乱したままだけどな。そもそも、どうして美沙が俺と二人きりの世界を望む?」
「それは私の口から言うべきではないと思います。デリカシーの問題として」
「美沙にきけっていうのか?」
「美沙さんにそれをたずねたら、途端に世界が崩壊するかもしれませんよ? それが罪悪感の源ですから」
「意味わかんねーぞ、くそっ」
陽祐は舌打ちする。
「やっぱり宝探しなんて無理だぞ。美沙が俺から離れたがらないのに」
「いまなら探せますよ。美沙さんは朝まで目を覚まさないと言いましたでしょう?」
「この世界自体が美沙の夢なのに、その中で美沙が眠ってるってのは、どういう状況だ?」
「現実世界で無限小の時間しか過ぎていなくても、あなたがたの体感では確実に時間が経過しています」
夏花の姿の女は、微笑む。
「つまり、意識はそれだけ活動しているのですから、記憶を整理するために睡眠も必要というわけです」
「《アーティファクト》はどんな格好をしてるんだ? 俺が見てもわかるもんなのか?」
「見た目は平凡ですが、すぐに違和感を覚えるはずです。存在するはずないのに存在するモノですから……」
夏花の姿が、すっと薄らいだ。
背後の夜の家並みが透けて見える。
「それでは、健闘を祈ってます……」
言い残して、夏花の姿は消えた。




