5 - 2
* * *
国道をしばらく走ると、高速のインターがあった。ETC搭載車なので、すんなり通過できた。
ほかの車がいないので、本線への合流も問題なかった。
片側三車線の真ん中に入り、陽祐はアクセルを踏み込んだ。
「お兄ちゃん、安全運転」
「わかってる。制限速度は百キロだろ」
「百キロ?」
美沙は眼を丸くした。
「高速って、そんなに飛ばしていいの? 嘘ついてないよね?」
「オヤジもいつもそれくらい出してただろ」
「パパはスピード違反してるもんだと思ってた」
「娘に信用ねーな、オヤジのやつ。営業だから免停が怖いんで、道交法厳守だぞ、うちのオヤジは」
ほかに一台の車もいないところを走っているとスピード感がなくなる。
陽祐はときどきメーターに眼をやって、いまの速度を確かめた。
美沙が何も気づかないようなので、こっそり百十キロまで上げていたけど。
やがて、周囲が田園風景に変わった。
青々とした水田を見やって、陽祐は言った。
「これ、誰も刈り取りに来ないんじゃ、もったいねーな」
「秋になったら二人で日本中、稲刈りして回る?」
美沙が真顔で言って、陽祐もうなずき、
「俺たちが食う分だけでも刈り入れたいな。肉や魚がなくなれば、米と野菜で腹いっぱいにするしかねーし」
目的地まで半分来たところのサービスエリアで、休憩することにした。
車を降りてサングラスを外し、「んーっ」と伸びをした陽祐は、
「便所行って来るから、待っててくれるか」
「……美沙、ついて行っていい?」
「は?」
あきれてきき返す陽祐に、サングラスを手に握った美沙は、恥ずかしそうにうつむき、
「入口のところで待って、お兄ちゃんのほうは見ないようにするから」
「勘弁しろよ。家ではそんなこと言わねーじゃん」
「家とは違うよ。こんな遠いところに来たんだもん。それに……」
美沙は泣きだしそうに、顔を赤くした。
「本当は、家にいるときも、一秒だって離れていたくないんだよ」
「…………」
陽祐は、ため息をついた。
「わかった。ついて来い。その代わり、俺がションベンしてる間、うしろ向いてろよ」
「……うん」
美沙は、うなずいた。




