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車に乗り込み、二人が卒業した中学校まで出かけた。
すでに日が暮れていたので、陽祐は安全運転厳守を言い渡された。
校門の前に車を停め、先に陽祐が門扉を乗り越えて中に入り、美沙のために門を開けてやった。
浴衣姿で門扉を乗り越えるのは無理だろう。
家から持って来たバケツに、水飲み場で水を汲んで用意したのは美沙の指示だ。
火の不始末で自分の出身中学を燃やしたくないのは陽祐も同じなので、素直に従った。
この世界では消防車も来てくれないことだし。
ロウソクを地面に立てて、火をつけた。
まずは手持ち花火だった。
最初は一本ずつ楽しんでいたが、スーパーからたくさん持ち出したので、なかなか減らない。
面倒なので、陽祐は四本まとめて火をつけることにした。
「危ないよ」
後ずさる美沙に、陽祐は笑って、
「怖がりだな、おまえ」
ロウソクに近づけて点火した。
派手に飛び散る火花が綺麗だった。だがすぐに、
「──アチッ!」
火の粉が腕に飛んできて、陽祐は花火を地面に投げ出した。
「大丈夫?」
「だいじょぶ……。無理して全部遊ばないで、余った花火は、持って帰ればいいな」
そのあとは、あしたの風呂掃除を賭けて、どちらが線香花火を長持ちさせられるか十本勝負で対決した。
結果は陽祐の六敗だった。
そして最後は校庭に並べた噴き出し花火とロケット花火に、陽祐が小走りに駆けながら連続して点火した。
噴き出し花火で色とりどりの鮮やかな光の壁が出来上がった。
校舎の窓にも、きらきらと光が反射している。
ロケット花火は炎の尾を引いて飛び、上空でパンパンと乾いた音を立てる。
「綺麗……」
美沙がつぶやいた。
その横顔をちらりと見て、陽祐も満足して微笑んだ。
すっかり子供に戻ったように二人で遊んでいるけど、悪いことじゃないと思った。
両親も、ほかの誰かもみんな消えて、二人きりで、この世界に取り残された。
まともに考えたら泣き叫びたくなる。
それよりは、いまを楽しんで生きたほうが、よほど前向きな態度ではないだろうか?




