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昼食のあとは、駅とは反対の方向を自転車で探索することにした。
「何も発見はないと思うけど、家に閉じこもってるより気が晴れるだろ?」
住宅地を抜け、国道を越えて、その向こう側の団地も抜けた先には大きな川の堤防がそびえていた。
一面、緑の草に覆われているのが鮮やかだ。
自転車を停めて、堤防の斜面を登っていく。
離れた場所に階段もあったが、そこまで行くのが面倒だし、草を踏みしめていくほうが心地いい。
陽祐と美沙は、並んで堤防の上に立った。
眼下には河川敷のグラウンド。その向こうに、夏の日差しに輝く水面。
対岸には、こちらと同じような堤防。その奥に、どこまでも広がる町並み。
何でもないような風景を眺めて、陽祐は、ため息をついた。
「川の向こうが世界の果てだったりしないかと思ったんだけどな……」
「世界の果て……?」
「そんなものが見つかれば、この世界がニセモノだって確信できるだろ?」
美沙はそれには答えず、
「あした……」
「ん?」
「お昼、ここに食べに来ようよ。サンドイッチ作るよ」
そう言って、美沙は微笑んだ。
陽祐も笑って、
「じゃあ、どこかでパンを仕入れねーとな」
自転車を停めた場所まで戻り、帰りに団地を抜けるときは先ほどと違う道を通ることにした。
国道との交差点の角にレンタルビデオ屋があった。
入口のシャッターが半分下りた状態で、ガラス戸が開いている。
「閉店直後だったみたいだな。何か借りていくか?」
「お兄ちゃんが観たいものがあるなら……」
自転車を停め、シャッターをくぐって店内に入った。
明かりはついているが、営業時間中なら流れているはずのBGMは止まっている。
陽祐は新作のスパイ映画と刑事アクション映画と戦争アクション映画のDVDを借りることにした。
返しに来ることがあるのかは、わからない。
「おまえも何か選んでおけよ」
美沙に声をかけると、動物のキャラクターが主人公のアメリカ製CGアニメを一本だけ選んできた。
陽祐は見本のパッケージを手に貸出カウンターの向こうに回った。
後ろの棚に並んだDVDの整理番号と、パッケージに記された番号を照らし合わせて目当ての作品を探す。
美沙が感心したように、
「お兄ちゃん、ビデオ屋でバイトしたことあったっけ?」
「いや……でも、いつも店員がやってるの見てるから」
DVDを手に入れて、店の外に出た。
ふと思いついて、陽祐は言う。
「駅前のスーパーって、通用口に回れば開いてないかな?」
「そうだね……。できればお野菜とか、ちゃんとしたの欲しいし」
「あした、買い出しに行ってみようぜ。買うと言っても、金は払わねーけど」
国道を挟んでビデオ屋の斜め向かいにコンビニがあった。
二人はそこで八枚切りの食パンとハムとスライスチーズを手に入れてから、家に帰った。




