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家に帰ったが、まだ昼食には早かった。
陽祐と美沙は、プリンター用のA4の白紙を三枚、ダイニングのテーブルに広げて、
1・いま現在わかっていること
2・考えられる原因
3・今後の対策
を、思いつく限り書き出した。
わかっているのは、世界中の人間がきょうの午前一時前後に消えた「らしい」こと。
この町も調べた限りでは無人である「らしい」こと。
動物も全て消えた「らしい」が植物は残っていること。
いまのところ、世界のどことも連絡がつかないこと。
「『らしい』ってのは、この世界に残って途方に暮れてる人間が俺たちのほかにいないと言いきれないから」
「そうだね……」
そのほか、先ほど見て来た町の状況についても一枚目の紙に書き足した。
・コンビニ △(品揃えに限りあり)
・スーパー ?(ガラスを割って押し入れば?)
・ガソリンスタンド ○(車一台なら在庫充分?)
「これは今後の対策に絡んでくるけど、もし野生動物まで全部消えてたら、自然の生態系はどうなるんだ?」
シャープペンを置き、腕組みをして言った陽祐に、美沙がきき返す。
「食物連鎖とか、そういう話?」
「植物の中には昆虫が花粉を運んで育つのもあるだろ? 農業やるにしても、そこをきちんと考えないと」
「そうだね……」
二枚目の「考えられる原因」は、全てが想像でしかなかった。推理といえるほどの根拠もない。
陽祐は最初に『パラレルワールド』と書いた。
「でも、普通はパラレルワールドって歴史のIFの世界だよな? 信長が桶狭間で負けたとか」
クエスチョンマークを書き加えながら、
「人間が誰ひとり存在しないのに家や車があるこの世界は、それとは違う気がするんだ」
「そうだね……」
うなずいている美沙に、陽祐は苦笑いして、
「おまえって、さっきから『そうだね』ばかりだな」
「えっ? ……ごめんなさい」
美沙がうつむいてしまい、陽祐はあわてた。
「いや、悪いってわけじゃなくて。こんな状況じゃ、ほかに言葉が出てこなくても仕方ねーよな」
書いたばかりの文字を棒線で消しながら、
「俺が適当に思いつく限りのことを書くから、おまえも何か気づいたら意見を言ってくれ」




