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先ほどのコンビニまで戻って、当面の食料と必要な物資を調達することにした。
もったいないので賞味期限寸前の弁当は昼食に充てる。
さらに夕食以降の食材としてカット野菜と冷凍肉を手に入れる。
ガスや水道が止まったときに備えてミネラルウォーターと缶詰も確保した。
バンソウコウや薬は家にあるはずだが、予備があってもいいだろう。
ほかに入用のものはないか探して、買い物カゴを手に店内を回る陽祐のそばから、
「ちょっとだけ待ってて」
と、美沙が離れて行き、棚から何かの商品をとってレジに向かった。
「どうした?」
「ごめん、ちょっと……」
美沙はカウンターの向こうに回り、手にした商品をレジ袋に入れている。
陽祐にも何となく理解できた。つまりは女の事情だ。
考えたら、美沙もいちおう女なのだ。実の妹だから意識しなかったけど。
世界中の人間が消えて、自分以外でたった一人残った相手が妹だったというのも色気のない話である。
この世界のアダムとイブにはなれねーな、俺たちじゃ。
いっぱいにふくらんだレジ袋をそれぞれの自転車のカゴに押し込み、陽祐と美沙はコンビニをあとにした。
結局、金は置いてこなかったが、美沙は何も言わなかった。
バス通りを家に向かって走りながら、美沙が言う。
「もし、世界がずっとこのままなら、どこか田舎に引っ越して農業を始めるのもいいんじゃない?」
「農業?」
「だって、コンビニやスーパーの食料なんて、すぐになくなっちゃうだろうし」
「そっか……。コメは長持ちするから当分は米屋の倉庫を漁るにしても、野菜がな……」
陽祐は、ふと気がついて、
「この世界って、俺たちのほかに動物もいないのか?」
「えっ……?」
「向かいの家の犬は消えてたし、鳥が空を飛んでる様子もないだろ? それに、蝉の声もしないし……」
「そういえば……」
「人間だけが消えて、牧場の牛や豚とかペットの犬や猫が取り残されてたら悲惨なことになるけど」
「そうだね、その点は救われてるみたい……」
うなずく美沙に、陽祐は眉をひそめて、
「でも、それじゃ俺たち、肉も魚も食えねーじゃん。せめてニワトリを飼って卵くらい食いたかったけど」
「そうだね……」
美沙は苦笑いする。




