第8話:狙い撃ち、萌え萌えきゅん(バイト先の女難)
挿絵を追加しました。
「ねえ、都市伝説かと思ってたけど、あのメイド喫茶『ル・ロワイヤル』の新人さん、マジでうちのクラスの如月さん(都姫)じゃない……!?」
「嘘、行ってみようよ!」
放課後、都姫が働くメイド喫茶『ル・ロワイヤル』の前に、同じ学校の女子グループがやってきていた。
噂を聞きつけた彼女たちは、好奇心半分で店の扉を叩いた。
カランカラン。
「お帰りなさいませ、お嬢様方」
扉を開けた瞬間に彼女たちを迎えたのは、クラシカルなメイド服を完璧に着こなした都姫だった。
Gカップの圧倒的な美バストと驚異的な曲線美が、フリルの中でこれでもかと主張している。ウルフカットの銀髪と涼しげな目元、そしてホクロが放つお姉さん系の色気は、学校の制服姿の何倍も強烈だった。
「あ、いらっしゃい。本当に来てくれたんだね」
都姫がいつものゆるふわな声で微笑む。
「「「(……ッッッ、キュン!!!)」」」
女子高生3人は、あまりの美貌と距離の近さに一瞬で顔を真っ赤にし、心臓を爆音で高鳴らせた。学校での都姫も可愛いが、お洒落な間接照明の店内で見る「メイドの都姫」は、もはや次元が違った。
テーブル席に案内され、完全に挙動不審になる女子たち。
「あ、あの、都姫ちゃん……じゃなくて、如月さん、おすすめのメニューは……?」
「うーん、やっぱりオムライスかな。おまじない、かけるよ?」
都姫は慣れた手付きでケチャップを使い、オムライスの上に可愛いウサギの絵をササッと描いた。そして、女子たちの目の前で、両手をハートの形にする。
「美味しくなぁれ、萌え萌え、きゅんっ」
小首を傾げ、うるうるとした瞳で完璧なウインクを放つ都姫。
普段は男性客をバタバタと悶絶させているその必殺技が、至近距離で女子高生たちに向けて炸裂した。
「う、うっ……!!」
女子の一人が胸を押さえてテーブルに突っ伏した。
「尊死する……! 女子だけど、本気で結婚したい……!」
「何そのウインク! 破壊力が世界を滅ぼすレベルなんだけど!?」
ハートを完璧に撃ち抜かれ、完全に都姫のガチ恋勢と化した女子グループ。彼女たちはその後もチェキを限界まで注文し、都姫が他の男性客に微笑むたびに「キーッ!」と嫉妬の炎を燃やすほどに調教されてしまった。
バックヤードに戻った都姫は、ドリンクを作りながら「みんな楽しんでくれたみたいでよかった」と、のんびり呟く。
隣にいた天音は、女子高生たちをメロメロにした妹(元・弟)の姿を見て、遠い目をしながら「あんた、そのうち性別関係なくファンクラブを合併させる気?」と、ため息をつくのだった。




