第6話:お姉ちゃん、これどう着るの?(初めてのショッピング)
挿絵を追加しました。
週末。都姫は天音に連れられて、都内のファッションビルにいた。
理由は明確。女子としての私服が1着もないからだ。
「ちょっと都姫、あんたいつまでも私の古いパーカーとか、お父さんのジャージ着てんじゃないわよ。宝の持ち腐れでしょ!」
「えー、楽だからいいじゃん」
「よくない! その神がかったスタイルにド派手な部屋着とか、私の目が耐えられないの!」
天音に手を引かれ、お洒落なレディースブランドのショップに入る。
だが、都姫は並んでいる服を見ても、さっぱりピンとこない。
「お姉ちゃん、これ、布が少なすぎない? お腹出ちゃうよ?」
「それはクロップド丈って言って、今のトレンドなの! あんたのそのW60のウエストなら大勝利確定だから、つべこべ言わずに試着室に入りなさい!」
天音に両手いっぱいの服を押し付けられ、都姫は試着室へ。
数分後、「お姉ちゃん、着たよー」とカーテンが開く。
「……っ!!」
試着室から出てきた都姫を見て、姉だけでなく、近くにいたショップ店員まで呼吸を止めた。
着ていたのは、タイトな黒のシースルートップスに、ハイウエストのタイトスカート。
ウルフカットの濃い銀髪と、左目のホクロが持つ妖艶な魅力が、大人っぽいコーデによって限界突破している。Gカップの立体感と、そこから一気に絞られるウエストライン、そしてすらりと伸びた長い脚。
「……完璧。完璧すぎるわ。我が妹ながら、ちょっと嫉妬を通り越してひれ伏したいレベルね」
「なんか、胸のところがパツパツで、ちょっとスースーするんだけど……」
「それがいいのよ!! 店員さん、これと、あっちのワンピースと、それから……とにかく全部一式買います!」
テンションが上がった姉の手によって、次から次へと服を着せ替えさせられる都姫。
可愛い系からクール系、地雷系から清楚系まで、驚異的なビジュアルスペックであらゆるジャンルの服を着こなし、ショップ内はさながら都姫の単独ファッションショー状態に。
「ふぅ……。バイト代、結構服代に消えちゃった」
大量のショッパーを抱え、のんびり歩く都姫。
「いいじゃない、これでどこから見ても完璧な超絶美女よ。あ、次は下着屋さんね。体育で暴れないやつ、ガッツリ買い込むわよ!」
「あ、それは助かる……」
天音の頼もしさに感謝しつつ、都姫は新しく手に入れたお洒落な服の数々に、少しだけ胸を躍らせるのだった。
その夜、母の美夜は新しい服を一着ずつ眺め、小さな家庭内ファッションショーを始めようとした。
都姫はお茶を飲みながら「一着だけならね」と交渉した。




