第67話:朝霧のカフェと、偶然のロイヤルファミリー合流
早朝の大きな公園と川の自然に癒やされ、お洒落な近くのカフェでモーニングを楽しんでいた如月 都姫。
サクッ、じゅわっ、と香ばしい厚切りバタートーストを美味しそうに頬張り、甘いホットココアをふーふーと冷ましながら、贅沢なひとり時間をのんびりと満喫していた。
すると、ガラス窓の向こうのランニングコースを、早朝とは思えないほどの圧倒的なオーラを放ちながら並んで走ってくる男女の姿が目に入った。
濃い銀髪をオールバックにしたスーツの似合うイケオジだが、今日はお洒落な高級スポーツウェアに身を包んだ父親の如月 玲司。
そして、同じく長くて濃い銀髪をポニーテールにまとめ、現役時代と変わらない抜群のスレンダープロポーションで走る、二十代にしか見えない母親の如月 美夜だった。
「あ、お父さん、お母さんだ。おーい」
都姫がテラス席に向けて、鈴を転がしたような美声でゆるふわに手を振る。
日課の早朝ランニングを楽しんでいた二人は、まさかこんな朝早くにお洒落カフェの窓際に、天使のような実の娘が座っているとは思わず、同時にピタリと足を止めて驚愕した。
「お父さんーお母さんー、一緒にワッフル食べよー」
都姫が手招きすると、二人は一瞬で顔を輝かせて店内へと入ってきた。
「まぁぁ! 都姫ちゃんじゃない! こんな朝早くからお外にいるなんて、お散歩する妖精さんみたいに可愛いのよ!」
美夜が天然100%の親バカ笑顔で都姫の隣に滑り込み、ハーフアップにもしていない無造作な銀髪ウルフカットを愛おしそうに撫で回す。スウェットパーカーの上からでも分かる、都姫のB99のGカップという規格外のボリュームに、美夜ママの遺伝子が改めて大爆発の喜びを見せていた。
「ふむ……まさか日課のランニング中に、都姫と遭遇して朝食を共にできるとはな。今日という日は我が如月家、いやKMH(如月ホールディングス)の歴史において記念碑的な朝に指定せざるを得ないな」
玲司は完璧超人なイケオジの表情を一切崩さないまま、内心は大歓喜の嵐。すぐさま追加のコーヒーと、都姫が頼んでいた生クリーム添えのワッフルを、追加で大量に笑顔(顔は冷静)で注文した。
「はい、お父さんあーん。このワッフル、すっごくサクサクで美味しいよ」
都姫が何の気なしに、フォークで小さく切った生クリームたっぷりのワッフルを玲司の口元へと差し出した。
「な……っ!?」
玲司の脳内に凄まじい衝撃が走った。目の前には、朝の光を浴びて神々しく輝く娘の超絶美貌と、左目のすぐ下のホクロから漂うお姉さん系の色気、そして無自覚な「あーん」である。
「……うむ。美味だ」
玲司は限界突破した内心の尊さを必死に抑え込み、冷静な顔のままワッフルを口に収めた。
そしてポケットからマッハの速度でスマホを取り出すと、ワッフルを美味しそうにあぐあぐと頬張る都姫の写真をパシャリと撮影。裏で一瞬にして『最高機密フォルダ(二段階認証つき)』へと格納し、本日のノルマを完璧に達成したのだった。
「もう、玲司さんばっかりずるいのよ! お母さんにもあーんして、都姫ちゃん!」
「うん、いーよー。はい、お母さんもあーん」
早朝の静かなカフェの窓際で、文字通り絵画のような美しさと圧倒的な気品を放ちながら、ゆるふわにワッフルを分け合う如月家のロイヤルファミリー。
昨夜天音から送られた写真のせいで白鳥薫がベッドでのたうち回りながら一睡もできずに悶絶の夜を明かしていたとも知らず、都姫の贅沢な早朝散歩は、最高にアットホームで幸せな空気の中に溶けていくのだった。




