第58話:編集部の地獄の格闘と、新たなる神話の幕開け
都姫が渋谷の高級デザイナーズカフェで、白鳥薫の奢りによる生クリームチョコバナナパンケーキやいちごパフェを「はぐはぐ」と美味しそうに平らげていた、まさにその頃。
都内某所にある有名ファッション雑誌の編集部では、文字通り「地獄の格闘」が幕を開けていた。
「おい、嘘だろ……。これ、本当に素人の女子高生なのか……!?」
「選べない……! どれをボツにして、どれを本誌に載せればいいんだ!!」
大型モニターを囲む編集長、アートディレクター、そしてチーフエディターたちの目は完全に血走り、楽屋から上がってきた都姫の撮影データの山を前に頭を抱えていた。
天音の予言通り、カメラマンが狂喜乱舞してシャッターを切りまくった写真の数々は、どれもが表紙級のクオリティ。タイトな黒のシースルードレスをはち切れんばかりに押し上げるB99のGカップの質量、そこから一気に絞られるW60の驚異的な曲線美。
そして、伝説のトップモデル・如月美夜の遺伝子を完全に引き継いだ、指先まで美しい完璧な所作と、左目の下のホクロから放たれる妖艶な視線。
「このペアショットは絶対外せない! だが、この都姫ちゃんのソロカットの破壊力は今月号のキラーコンテンツになる!」
「ページ数を倍に増やせ! 予算の枠なんてKMH(如月ホールディングス)のバックアップがあるんだ、いくらでも通る!!」
徹夜に次ぐ徹夜、文字通り地獄の編集作業という格闘の末、その雑誌は完成した。
そして迎えた、雑誌の発売日。
全国の書店やコンビニ、そしてデジタル配信で一斉にその最新号がリリースされた瞬間、世間は未だかつてない大狂乱に包まれた。
表紙を飾ったのは、白鳥薫のクールなポージングの隣で、コテンと小首を傾げて気怠げなウインクを放つ、ウルフカットの濃い銀髪の超絶美女――如月都姫。
「な、なんだこの異次元の美少女は……! 新人のモデルか!?」
「スタイルがバグり散らかしてる!! CGじゃないのこれ!?」
ネット上のトレンドワードは一瞬にして「如月都姫」「銀髪の天使」「Gカップドレス」で埋め尽くされ、サーバーが一時クラッシュするほどの反響を呼んだ。
そして、その反響が最も爆発的なパンデミックを引き起こしたのは、当然ながら彼女の地元である明恭学園、そして姉妹校の聖華学園であった。
「う、うおおおおおおおおおおっ!!! 都姫ちゃんが、都姫ちゃんが全国区の雑誌の表紙になってるううううっ!!!」




