第49話:お土産話と最強の家族、そして最高機密の更新
大興奮の球技大会と、両校の胃袋を完全に掌握した大バーベキューパーティーを終え、3日間にわたる姉妹校「聖華学園」との交流会は無事に幕を閉じた。
明恭学園の敷地を出た都姫は、父親の玲司が手配したお馴染みの最高級送迎車に揺られ、ラグジュアリーなプライベート空間で完全に省エネモードの仮眠をとりながら、都内の一等地にある如月家の大豪邸へと帰宅した。
ガチャン、と重厚な玄関扉を開けてリビングへとトボトボ歩いていく。
「ただいまー……。あー、お肉いっぱい焼いて疲れたぁ……」
リビングに入ると、そこにはすでに如月家の頼もしい面々が揃い踏みしていた。
ソファーには、大企業の社長でありながら家では愛妻家のイケオジ父・玲司、その隣には二十代にしか見えないスタイル抜群の天然元トップモデル母・美夜、そして大学の課題を片手に冷たいハーブティーを飲んでいたメイド喫茶『ル・ロワイヤル』の店長兼姉・天音である。
「おかえり、都姫ちゃん! 3日間の交流会、本当にお疲れ様!」
美夜が真っ先に飛びついてきて、都姫のウルフカットの銀髪を優しく撫でまわした。
「よく無事に帰ってきたな、都姫。何かトラブルに巻き込まれなかったか? 傘下のセキュリティチームはいつでも動かせるようにしていたが」
玲司が完璧超人なイケオジの顔のまま、冷静かつ凄まじい親バカ発言で出迎える。
「ちょっとお父さん、大袈裟よ。それより都姫、最終日の『学園対抗球技大会』と『バーベキュー』はどうだったのよ? うちの店の絶対的エースとして、他校の生徒たちをきっちりリピーター(信者)にしてきたでしょうね?」
天音も身を乗り出して、興味津々で尋ねてきた。
都姫は長身の体をソファーにふにゃりと預け、B99のGカップという凶悪なプロポーションで体操着をパツパツに押し上げながら、いつも通りの鈴を転がしたような美声でゆるふわに報告を始めた。
「うん、午前中はバレーとバスケをやったんだよ。ジャンプすると胸がすっごく重くて痛かったけど、ブロックとかシュートをポンポン決めたら、明恭が全勝しちゃった」
「……あんた、またあの運動神経で大無双してきたのね」
天音があきれつつも、嬉しそうにニヤリとする。
「それでね、午後はお外でバーベキューをしたの。私がお肉をいっぱい切って、特製のソースを作って焼いてあげたら、聖華学園の人たちがみんな『美味すぎる』って泣きながら食べてくれたんだよ。お外で食べるお肉って、やっぱり美味しいね」
コテンと小首を傾げ、左目のすぐ下のホクロを覗かせながら微笑む都姫。
その手料理の破壊力をよく知るリビングの面々は、一瞬だけ遠い目をした。
「まぁぁ! 都姫ちゃん、他校の子たちまで胃袋で調教しちゃったのね! さすがはお母さんの自慢の娘、男除けのプレッシャーを敷く間もないくらい完璧だわ!」
美夜が天然100%の笑顔で大喜びする。
すると、これまで静かに話を聞いていた父親の玲司が、スッとスマホを取り出した。画面には、都姫のクラスの隠れファンクラブ幹部から、KMH(如月ホールディングス)の超一流リーガルチーム経由で密かに流れてきた、本日の『ポニーテール体操着姿の都姫』および『フリルエプロンでお肉を焼く若奥様風の都姫』の超高画質写真が映し出されていた。
「玲司さん、それって……!」
美夜が画面を覗き込む。
「ふむ……非常に素晴らしい出来だ。都姫、よく頑張ったな」
玲司はクールなイケオジの表情を一切崩さないまま、顔を少し赤らめて「最高機密フォルダ(二段階認証つき)」への格納手続きを裏で一瞬にして完了させた。会社では恐れられる天才社長の、これが自宅限定の「親バカの極み」であった。
「ちょっとお父さん、ずるい! 私にもその写真共有してよ! お店の限定チェキの参考にするんだから!」
天音の抗議の声がリビングに響くなか、都姫は「んー、お腹いっぱいだから、ちょっとお昼寝しよーっと」と、自分の部屋へと気ままに引き上げていく。
姉妹校のコミュニティをパンデミックに陥れ、支部まで設立させてきたとは露ほども思っていない都姫。
最強の家族からの溺愛とバックアップを背に、彼女の気ままなゆるふわ無双ライフは、二学期の始まりとともにさらにスケールを広げ、優雅に続いていくのだった。




