第47話:お城の遠征と、お着替え部屋のラグジュアリー報告会
白亜の城と称される姉妹校「聖華学園」での、大狂乱の交流会二日目。
すべての日程をパーフェクト(うたた寝含む)に終えた明恭学園の代表メンバーたちは、学校が手配した本革シート仕様の最高級ラグジュアリーバスに乗り込み、帰路に就いていた。
車内では、聖華学園に「都姫ファンクラブ聖華支部」という巨大な利権を打ち立ててきた幹部たちが、「今日の都姫ちゃんのマドレーヌ姿、見たか?」「居眠りしてる時のGカップの揺れ、完全に国宝だったな……」と、網膜に焼き付いた女神の残像を小声で称え合っていた。
当の本人である如月 都姫は、高級ソファのような座席に長身の体を深く預け、ウルフカットの濃い銀髪を窓ガラスに預けて、早くもすやすやと眠りの中にいた。
移動の振動に合わせて、薄手のブラウスをパツパツに押し上げるB99のGカップが健気に揺れていたが、本人はお家に着くまで完全に省エネモードである。
バスが明恭学園に到着し、そこからさらに、父親の玲司が裏から手配した専用の送迎車に乗り換えて、都内の一等地にある如月家の大豪邸へと帰宅した。
「ただいまー……。あー、疲れたぁ」
大きな玄関扉を開け、リビングへとトボトボと歩いていく都姫。
リビングの隣にある、今やハイブランドの私服やコンセプト衣装で埋め尽くされた都姫専用の衣装部屋――通っている通称『如月コレクションルーム(お着替え部屋)』からは、すでに楽しげな声が漏れていた。
「あ、都姫ちゃんお帰りなさーい! 待ってたわよ!」
「ちょっと都姫! 聖華学園の遠征はどうだったのよ! うちの店の絶対的エースとしての偵察はバッチリだったでしょうね!?」
待ち構えていたのは、元トップモデルの天然母親・美夜と、メイド喫茶『ル・ロワイヤル』の店長兼しっかり者の姉・天音だった。
都姫が「うん、すっごく綺麗なお城みたいな学校だったよー」とソファーに倒れ込もうとした瞬間、美夜と天音のプロフェッショナルな血が騒いだ。
「はいはい、お疲れ様! でもゴロゴロする前に、まずは美夜ママが仕入れてきた新作のイタリアンブランドのワンピース、着てみて頂戴!」
「あ、ずるいお母さん! 私が買ってきた『聖華学園の女子制服』が先よ! 都姫にこれ着せて、お祭りぶりに撮影会するんだから!」
「えー……。動きたくないんだけどなぁ。……ま、いっか。いーよー」
気分屋でゆるふわな都姫は、二人の勢いに逆らうことなく、されるがままに「お着替え人形状態」へと突入した。
数分後、まずは天音のリクエストである、名門・聖華学園の女子制服に身を包んだ都姫が姿を現した。
自校の制服よりもさらにクラシカルで、上品なボレロ風のジャケットとプリーツスカート。しかし、都姫の規格外のプロポーションのせいで、お嬢様向けの厳格な制服は完全に悲鳴を上げていた。
B99の豊満なバストが生地を極限まで押し広げ、胸元がはち切れそうなほどパツパツに主張している。逆にW60のウエストラインは美しくくびれ、H71のヒップから伸びるすらりとした白い生脚が、普段とは違う高貴な色気を放っていた。アップにまとめた銀髪ウルフカットと、左目のすぐ下のホクロが、白亜の校舎の背景を思い出させるほどに神々しい。
「……ッッッ、ちょっとお母さんカメラ!! カメラ持ってきて!!」
「まぁぁ! なんて気品があってセクシーなの! 聖華学園の生徒会長も裸足で逃げ出す美しさだわ!」
天音と美夜はリビングを極上のファッションショー会場へと変え、スマホのシャッターを連写し始めた。都姫はフラッシュを浴びながら、コテンと首を傾げてゆるふわに報告を始める。
「あのね、聖華学園の家庭科部でマドレーヌとスープを作ったの。みんな、美味しいって言って喜んで食べてくれたよ」
「ちょっと待って、あんた他校の女子の胃袋まで掴んできたの!?」と天音が目を見開く。
「あとね、午後の発表会がすっごく難しくて……ちょっとうたた寝しちゃったんだけど、終わったあとにみんなが『素晴らしかった』って拍手してくれたんだよね。聖華学園の人たち、みんな優しくて大人っぽかったなぁ」
都姫は何食わぬ顔で、自分が最前列で胸を揺らしながら居眠りし、他校の生徒たちを無言の「静かなる大狂乱」に陥れてきた事実をゆるふわに語った。
「(……それ、絶対に優しさじゃなくて、都姫の寝顔の破壊力に全員ノックアウトされてただけでしょ……!)」
天音は心の中で激しいツッコミを入れつつも、ファインダーに映る妹(元・弟)の可愛さに負け、ついつい「よし、じゃあ次はママのワンピースね! 時給上げるから頑張って!」と、甘やかして撮影を続けるのだった。
その夜、父親の玲司が帰宅し、二段階認証付きの「最高密フォルダ」に、この日撮影された『聖華学園制服姿の都姫』のデータが最優先で格納されたのは言うまでもない。
他校のコミュニティだけでなく、我が家のリビングをも完全支配した都姫。彼女の気ままなゆるふわ無双ライフは、二日目の夜も平和に、そして過熱しながら更けていくのだった。




