第45話:可憐なる巡礼と、完璧な包丁捌き(聖華学園の部活体験)
裏でファンクラブが驚異的な勢いで拡大しているとも知らず、如月都姫は聖華学園の部活や教室、図書室など、目新しい場所をウキウキとした様子で見て回っていた。
「わぁ、図書室がまるでお城の書庫みたい……! 本がたくさんあって、すごく落ち着くなぁ」
長身を少し丸めて本棚を眺めるだけで、B99のGカップがブラウスをパツパツに押し上げ、W60の細いウエストのラインが美しく際立つ。ウルフカットの銀髪を揺らしながら、体験や見学にと、楽しそうに校内を巡っていく。
その後、様々な部活の見学や体験にも参加することになり、都姫は「聖華学園の家庭科部」へと足を運んだ。
「こんにちは。お邪魔します」
エプロンを身にまとい、鈴を転がしたような美声で挨拶する都姫。
ウルフカットの銀髪を後ろで緩くまとめ、フリル付きのエプロンを着たその姿は、相変わらず新婚の若奥様のような破壊力抜群のオーラを放っている。
聖華学園の家庭科部員たちは、そのあまりの神々しさに一瞬で言葉を失った。
「あの……如月さん、もしよかったら、一緒にマドレーヌとスープを作ってみませんか?」
部員の女子生徒が緊張しながら提案すると、都姫は「うん、楽しそう! ぜひやらせて」とゆるふわに微笑んだ。
トントントントントントン……!
次の瞬間、調理室に驚異的なリズムの包丁捌きが響き渡った。
都姫の手元で、スープの具材がミリ単位の狂いもなく一瞬でみじん切りにされていく。
流れるような手付きで無駄なく生地を捏ね、オーブンへ入れる成形までを優雅にこなす姿は、プロのシェフそのものだった。
「す、すごすぎる……手際が良すぎて、見てるだけでウットリしちゃう……!」
焼き上がったマドレーヌと、極上の香りを漂わせる特製スープが完成すると、調理室の外には匂いと噂に釣られた他部の生徒たちが大勢集まっていた。
「はい、できたよ。みんなで食べよ」
完成した手料理を口に入れた瞬間、聖華学園の部員たちはその本格的な味わいに雷に打たれたような衝撃を受けた。
あまりの美味しさと尊さに、周囲の男子生徒も女子生徒も「都姫ちゃんの手料理が食べたい!」と完全に理性を失い、裏で熾烈な「手料理争奪戦」が繰り広げられたのはここだけの内緒の話である。
当の本人は「みんなで料理すると、やっぱり楽しいね」とのんびり紅茶を飲みながら、他校の胃袋とハートをも完璧に掌握し、なかなかに二日目の遠征を満喫しているのだった。




