第31話:聖地に降臨したマーメイド(衝撃の水着メイドイベント)
「みんな、今日のイベントは絶対に生き残るぞ……。ハンカチと、万が一のための救急用ティッシュは持ったな?」
「ああ。だが、俺たちの理性は開店5分で消し飛ぶ自信がある」
夏休みの終盤、都姫が働くメイド喫茶『ル・ロワイヤル』の前には、開店前からこれまでで最も異様な殺気を放つ男たちの行列ができていた。それもそのはず、今日のイベントは、店長の天音が満を持して企画した伝説の特別日――『真夏の水着メイドお給仕』だったからだ。
カランカラン。
「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様!」
扉が開いた瞬間、店内に足を踏み入れた常連客は、光の速さでその場に消し飛んだ。
店内は貝殻や青いリボンで飾られ、海辺の洋館を思わせる雰囲気になっている。
そこに立っていたのは、水着のデザインを取り入れた上品なマリン風メイド衣装。白いエプロンと小さなヘッドドレスが、涼しげな夏の装いを引き立てた都姫の姿だった。
隠しきれるはずのないB99のGカップが、水着の布地とエプロンを限界まで押し上げ、眩しすぎる谷間を主張している。W60の驚異的に細いウエストと、そこから伸びる長身のすらりとした生脚が、薄暗い店内の照明に照らされて、海で見た時よりも何倍も妖艶で、かつ可憐に輝いていた。
ウルフカットの銀髪をゆるくサイドで結び、左目のホクロを覗かせて微笑む姿は、もはやメイドの域を超えた、深海から迷い込んだ本物の人魚姫だった。
「みんな、いらっしゃい。……やっぱりこの格好、お給仕するにはちょっとスースーして落ち着かないなぁ」
都姫が少し照れくさそうに、豊満な胸元を隠すように腕を組む。その仕草だけで、周囲の男たちの心拍数は限界を突破した。
「お、都姫ちゃん……オムライス、オムライスを頼む……! おまじないを……!」
客の一人が、息も絶え絶えに注文を絞り出す。
「うん、分かった。美味しくなぁれ、萌え萌え、きゅんっ!」
超絶水着メイド姿の都姫が、至近距離でコテンと首を傾げて放つ、渾身のウインク。
その瞬間、店内のあちこちで「ぶふっ!!」と盛大に鼻血を噴き出して天を仰ぐ男たちが続出した。殺傷能力はもはや天災レベル。チェキの注文は文字通り無限に増殖し、カメラのフラッシュが途切れることはなかった。
「ちょっと都姫、あんた今日だけで店の年間売上記録を更新する気!?」
バックヤードで、普段は強気な姉すら戦慄しながら悲鳴を上げていた。
当の都姫は「ふぅ、やっぱり夏は水着が一番涼しくていいね」と、どこまでもマイペースに、ゆるふわな笑顔で聖地を完全に支配し続ける。
閉店後、天音は記録的な売上に目を丸くする。
「来年も企画しようかしら」。
都姫は「今度はかき氷もいいね」と答え、皆で次の夏を想像して笑い合った。




