第21話:女神の約束と限界突破の男たち(テスト一週間前)
挿絵を追加しました。
都姫先生の特別授業が始まってから数週間が経ち、ついに中間テストまであと一週間に迫った。
生徒たちの実力は確実に底上げされていたが、さすがに直前ともなると疲れと焦りが見え始め、再び教室にピリピリとした空気が漂い始める。
そんな日の放課後の補習終わり、都姫はチョークを置くと、みんなの方を振り返ってコテンと首を傾げた。
「みんな、毎日すっごく頑張ってて偉いね。……だからね、私から提案があるんだ」
生徒たちが「提案?」と顔を上げる。
「もし、今回のテストでみんなが赤点を回避して、平均点以上の高得点を取れたら……。お祝いに、私がみんなのために『特製の手作り料理』をたくさん作って、またここでパーティーしてあげる」
一瞬、教室が静まり返った。
そして、都姫がかつての調理実習で見せた、あのプロ級のハンバーグの味と、エプロン姿の若奥様のような破壊的な美貌が、全員の脳裏に鮮烈にフラッシュバックした。
(お、都姫ちゃんの手作り料理……!?)
(それって実質、都姫ちゃんとの新婚生活の疑似体験じゃねえか……!?)
「あっ、もちろん、もし学年10位以内とかに入った人がいたら、その人のリクエストしたメニューを個別に作ってあげるね」
都姫が長い睫毛を揺らし、悪戯っぽくウインクしながら、ゆるふわな爆弾を追加で投下した。
ドゴーーーン!!!
教室内で、目に見えない巨大な爆発が起きたような衝撃が走った。
特に男子たちの目が、球技大会の時すら遥かに凌駕する、見たこともないようなギラギラとした「捕食者の目」へと変わる。
「おい……聞いたか……? 高得点を取れば、都姫ちゃんの手料理が食える……」
「学年10位以内に入れば……俺のためだけの特製メニューだと……!?」
「うおおお全教科満点取ってやるウウウウウウ!!!」
「睡眠時間なんかドブに捨ててやる! 死ぬ気で勉強だあああ!!」
限界を突破した凄まじい雄叫びが空き教室に響き渡った。
女子たちも「都姫ちゃんのお弁当(仮)なんて、何が何でも食べたい!」と狂喜乱舞し、教科書を握りしめる手に血がにじむほどの気合いを入れる。
手料理という最強のご褒美を提示され、文字通り「鬼神」と化したクラスメイトたち。
その凄まじい熱量を前に、都姫は「わぁ、みんな急に元気になったね。よかった」と、どこまでもマイペースに、ゆるふわな笑顔を浮かべているのだった。




