第13話:女神を巡る争奪戦(球技大会の種目決め)
挿絵を追加しました。
「えー、みんな席について。今から来月の球技大会の種目と、出場メンバーを決めていきまーす」
ホームルームの時間、クラス委員の女子生徒が黒板の前に立ち、チョークを片手に司会を始めた。
黒板には、今回の種目である【バレーボール】【バスケットボール】【サッカー】【ドッジボール】の4つの文字が大きく書かれている。
「女子の種目は全部で4つね。一人が出場できるのは、原則として1種目だけ。みんな出たい種目に手を挙げて……」
クラス委員がそう言いかけた瞬間、教室内の一部の男女――すなわち、都姫の圧倒的な身体能力(と、体育の授業で見せたGカップの揺れ)を目撃している面々の目が、一斉に鋭く光った。
全員の視線が、窓際の席で「球技大会かぁ、お弁当何かなぁ」とのんびり考えている如月都姫へと集中する。
「はい! 委員長!」
真っ先に手を挙げたのは、体育の授業で一緒にバスケをした女子だった。
「バスケには絶対、都姫ちゃんが必要です! 前の授業でも一人で3Pシュート量産して大無双だったから、都姫ちゃんがいれば我がクラスの優勝は確実です!」
「ちょっと待って!」
今度は別の女子が立ち上がる。
「バレーボールこそ都姫ちゃんの手足の長さと、あの長身が活きるでしょ! 高い打点からのスパイクが見たい!」
「いやいや、ドッジボールで都姫ちゃんに無双してもらうのが一番手っ取り早くない!?」
早くも教室内で「都姫争奪戦」が勃発した。
元々、男子高校生(細マッチョ)だった頃の天才的な運動神経をそのまま引き継いでいる都姫は、どの種目に出てもチート級の活躍をすることが目に見えている。クラスを勝利に導くための最強のジョーカーとして、すべての種目の責任者たちが都姫を欲しがったのだ。
「え、えーっと……当の本人の都姫ちゃんは、どれに出たい?」
クラス委員が困り顔で、ゆるふわな当人に話を振る。
「うーん……」
都姫はウルフカットの銀髪を指先でくるくると弄びながら、コテンと首を傾げた。
「バスケは前やったし……。サッカーは走る距離が長くて疲れそうだし……。バレーはジャンプするたびに、その……胸がすっごく重くて痛いんだよね」
「「「(胸が、重くて痛い……っ!!!)」」」
都姫がB99のGカップを少しだけ手で支えるような仕草をすると、クラスの男子全員、そして一部の女子までもが、その破壊的なセリフと視覚情報に胸を撃ち抜かれて無言で悶絶した。
「じゃあ……あんまり走らなくてよくて、ジャンプもしないドッジボールにしよっかな。ボール避けるの、得意だし」
都姫のゆるふわな一言で、彼女の出場種目は【ドッジボール】に決定した。
「よ、よし! 女子ドッジボールに如月都姫ちゃん決定! ……っていうか、他クラスの女子たち、都姫ちゃんの剛速球に耐えられるのかな……?」
クラス委員が黒板に都姫の名前を書き込みながら、他クラスの未来の犠牲者たち(同級生)を思って、少しだけ遠い目をする。
当の都姫は「ドッジボールかぁ。お姉ちゃんに、当たりに強いスポーツブラ、やっぱりもう1枚買ってもらおうっと」と、どこまでもマイペースに球技大会を楽しみにするのだった。




