大手不動産会社〔Kスマイル不動産〕
東京に存在する大手不動産会社、Kスマイル不動産。
しかし、その正体は土地を扱う企業ではなく、怪異と境界を監視する組織だった。
新たに集められた5人の新人たちは、担当官ホーククローから組織の仕組み、怪異への対応、境界に関する基礎知識を叩き込まれる。
人間は怪異をどのように理解し、どう向き合っているのか。
カロンとは異なる、人間側から見た境界の物語が始まる。
東京某所。
大手不動産会社〔Kスマイル不動産〕。
新人らしき男女5人。スーツを身にまとっている。ただし、面構えが違う。ここは不動産会社のはずだが緊張とはまた違った顔つき。長身の筋肉質の男の後ろを歩いていく。
エレベーターで12階へ向かう。綺麗に手入れされたホコリひとつない会議室。全員が着席した。
長身の男「いいか。今日から怪異現象管理局、基礎研修を始める。質問は全て終わった後にしろ。まず、第1にだ。自分の本名は忘れろ。名前を標的にする怪異もいる。全員コードネームを与えられたはずだ。俺はお前らの担当になるホーククローだ。何かあれば俺に言え。」
ホーククロー「まずはこの建物の説明だ。図面を見ろ。地上12階、地下3階の15階建て。 表向きは不動産会社だ。1階では一般客が出入りし、賃貸や土地管理の窓口、一般社員が通勤している。
2階から4階では営業管理や物件管理、土地調査の不動産部門がある。
ここまでは完全に表向きだ。」
「5階から7階。この各階では古文書や過去のデータを扱う情報管理部。東京を中心とした異常反応を確認し監視をする観測部。怪異の性質研究、封印具や境界鑑賞技術の開発を行う研究部がある。お前らの所属は基本ここのどれかになる。建物外にも部署はあるからな。所属外部署の内容も把握しとけ。」
「8階から10階は秘匿エリア。回収班や装備保管、訓練施設がある。説明が終わったらこのまま訓練施設へ行く。適正を見て部署が決まり次第装備を渡す。」
「11階は幹部の会議室。12階は今いる場所。表向きの社長室、会議室や経営エリアだ。」
「特に危険なのは地下だ。地下一階はただの駐車場だが2階からは回収した残留物や危険な怪異、境界の監視だ。内容なだけ間取りは広い。まぁ、お前らにはしばらくは関係ないだろう。」
一般社員では無い者。いわゆる怪異関連の従業員は全て訓練された人間だ。世界中の怪異や現象などの知識を叩き込まれている。怪異感知のデバイスや対怪異装備を常備している。
ホーククロー「後は怪異の等級だ。等級は3つの条件を見て決められる。長いからよく聞け。」
「1つ目。存在状態だ。目視・接触・残留物から判断しろ。肉体あり、依代あり、現象のみ、不明。」
「2つ目。意思状態だ。接触記録から判断しろ。反応なし、獣性、簡単な意思あり、会話可能、判定不能。」
「3つ目。境界影響度だ。周囲への影響で判断しろ。局所、周辺、地域、広域、判定不能。」
「必ず報告書にはこの3つを揃えて提出しろ。これは絶対だ。自分らの命だけでなく他人の命も脅かすことになる。慎重に見極めろ。報告書を見て上が等級を判断する。研修が終わる頃には自分で判断してもらう。」
「最後に1つ。境界についてだ。これは部屋の窓か壁だと思っておけ。怪異の瘴気などで傷つくこともあるが研究班が塞いでいるから見つけ次第報告だけでいい。以上だ。質問あるか。」
研修生が手を上げる。
「等級というのは幾つありますか。」
ホーククロー「いい質問だ。等級は基本5つだ。規格外か測定不能だが6つ目もある。念の為の等級だ。過去に記録はないから気にするな。」
もう1人の研修生も手を上げる。
「怪異はどう対処するんでしょうか。排除のみですか?」
ホーククロー「必要なものは排除。存在だけの無害なものには手を出すな。ただし研究部からの要請があれば確保する。」
3人目の挙手。
「あ、あの。部署が決まるのはいつなんでしょうか…?」
ホーククロー「今から行く訓練施設で適性を見る。それからだ。俺は戦闘向きだったから制圧部になった。このビルに部署はないがな。各所で待機だ。他はいいな。9階へ行く。適性検査だ。」
ホーククローを含めた6人がエレベーターへ乗る。適性検査。特殊な緊張感が走る。




