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スパルティア〜未来から来た鬼教官に世界の命運を背負わされました〜  作者: けやきっこ


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8/9

任務

「アタシが…殺される?」


スパルティアの発言を受けて、眉をひそめる神楽。


「ハハ…やだなぁ、アタシ、人様の恨み買うようなマネしたことないよ?そりゃあたまに男子に恥かかせちゃったりとかはあったけどさ…」

「どこまで覚えている」

「え?」

「ここに来るまでだ。記憶の欠如はいつからだ」

「え…と、早く寝ようと思って布団に入ったとこまでは覚えてて…ただ、色々考え事しちゃって…全然眠れなくて…」


うーん、と指を口元に当てつつ答える神楽。


「でも結局…寝ちゃったのかな?あんまり覚えてないや」

「……寝るときに携帯でも見ていたんだろう」

「え?あー、うん。見てたかも…」

「よこせ」

「あ!」


〈シュパッ!〉


スパルティアは目にも止まらぬ速さで、神楽のジャージのサイドポケットに入っていたスマホをかすめとる。


「あ、ちょっと!」


スパルティアは神楽の控えめな抵抗に目もくれず、奪取したスマホをポチポチ操作している。


「……これか」

「キミ…何を…」


〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜


スマホから、オルゴールの音が流れる。

安らかゆえに少し不気味、そんな音色。


「オルゴール…?」


聡汰はキョトンとした顔をしている。


「なるほどな」

「!」

「夜を眠れぬ者には効果てきめんというわけだ」

「何を言って…」


聡汰がいいかけたところで————


「う、うぅ……」

「!?」


見ると、神楽が苦しそうにこめかみのあたりを押さえている。


「八代さん!?」


とっさに神楽の元へ駆け寄る聡汰。


〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜


「うぅ…う…頭が…ぅぅう…」

「音…!?スパルティア、止めてくれ!彼女、苦しそうだ!」


〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜


「ぅぅぅ”…うぅぅぅぅ”」


〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜♫〜〜〜〜〜〜〜


スパルティアは再生を止めない。


「スパルティア!!」

確定きまりだな」


「……もう…にたい」

「!?」


〈ドンッ〉


突如、神楽が聡汰をはねのける。

そして、柵の方へと近づいていく。


「や、八代さ…」


止めなければ、と聡汰が慌てて立ち上がろうとしたところ————


「ッ……!?」


身体中に、今までに感じたことがないほどの激痛が走り、再び膝をつく。

どうやら先のスパルティアによる強制操縦コントロールのツケが回ってきたらしかった。


「なん…で…」


神楽はすでに柵に脚をかけている。


「聡汰」

「!」

「まずひとつ、答えをくれてやる」


見ると、スパルティアが想像ガムを練っていた。


〈ぷくーーーーーー〉


今度のそれは、銃の形を成していく。

そして、あいかわらず細部ディティールにこだわりを感じさせる仕様である。


人を殺すための、無機質(直線的)なデザインではない————どこか曲線的で、まるい、平和のピストル。

そんな銃を、スパルティアは構えた。


「これが、吾輩オレ任務しごとだ」


〈パァン!!〉


神楽が柵を乗り越え、まさに飛び降りようとしたとき、高らかに銃声が鳴った。


放たれた弾は、実に柔軟である。

たちまち縄のようにしなり、神楽の身体全体を捕縛する。


「あッ」


さらにその縄はまるで生き物のように、神楽と鉄柵を結びつけ、神楽をバンジージャンプの要領で屋上に引き戻した。

不思議の縄はクッションの役割も果たしているらしく、神楽が屋上に落下する際はポヨヨンという安全な音がした。


「死なせて…死なせてよぉ…」


神楽は為すすべなく、子供のように泣きじゃくっている。


「一体…どうして…」


聡汰は、神楽の豹変ぶりに混乱している。


「ほんの芽生えだ」


スパルティアはゆっくりと神楽に近づいていく。


「だがやがて、巨悪になる」


〈ビリビリッ〉


スパルティアはそう言って、電気ショックで神楽を寝かしつけた。


「聡汰」


そして、聡汰に向き直る。


「吾輩は、未来から来た」


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