22-懐が膨れたら、胃も膨らましたい
ルドでのクエスト報告と戦利品の売却を終え、ボクたち三人は帝都の賑やかな通りを歩いていた。魔石や伝説級の聖草のおかげで、懐はパンパン。胃袋もいい感じに空いてきて、なんだか無性に美味しいものが食べたくなってきた。
「ねえ、ルフィス! ヨーコ! せっかく大金入ったんだし、美味しいご飯食べに行こうよ!」エリザが目をキラキラさせて提案する。彼女の金色の髪が陽光に揺れ、活発な笑顔がまぶしい。胸元の冒険者装備がちょっと目立つけど、本人はそんなこと気にしてないみたい。
「ふむ、わらわも賛成なのじゃ! 魚がいいのじゃ! 魚!」ヨーコがちっちゃな体でぴょんぴょん飛び跳ねながら言う。銀色の尾がふわっと揺れて、通りすがりの人たちが「可愛い!」と振り返ってる。
「いいね、じゃあどこ行く? エリザ、なんかいい店知ってる?」ボクが聞くと、エリザがニヤッと笑って胸を張った。
「ふふん、任せて! 帝都の隠れた名店、知ってるんだから! 王宮から抜け出して城下町散策してた時に見つけた定食屋なんだけど、めっちゃ美味しいの!」
「ほほう、王女様のオススメなら期待できるのじゃ!」ヨーコが目を輝かせ、ボクも「エリザのセンス、信じるよ!」と笑う。こうして、ボクたちはエリザの案内で、帝都の少し裏路地に入ったところにある定食屋「海の幸亭」へと向かった。
「海の幸亭」は、木造の素朴な外観ながら、店内は活気にあふれていた。帝都グランディールは世界の貿易の超大型拠点であり、さまざまな文化や食材が集まる中継地だ。この店もその恩恵を受け、世界各地の海の幸を使った料理が自慢らしい。店に入ると、魚の焼ける香ばしい匂いが鼻をくすぐり、ボクたちの空腹をさらに刺激した。
「いらっしゃい! へい、らっしゃい!」カウンターの向こうから、江戸っ子口調の板前さんが威勢よく声をかけてくる。浅黒い肌に白い鉢巻き、腕っ節の良さそうな男だ。店の奥には、美人で巨乳の看板娘が笑顔で客の注文をさばいている。エリザが「ここ、ほんと最高なんだから!」と得意げに言うのも納得の雰囲気だ。
メニューを見ると、名物の「39㎝の超特大アジフライ」が目を引く。ヨーコが「こ、これは……! 魚の王者なのじゃ!」と興 Wurden。エリザも「これ食べなきゃ来た意味ないよ!」とニコニコ。ボクも「じゃあ、3つで!」と注文を決めた。
運ばれてきたアジフライは、噂以上の迫力だった。39㎝の巨大なフライは、皿からはみ出しそうなサイズ。衣はカリッと黄金色で、揚げたての香りがたまらない。ヨーコが「うおお、でかいのじゃ!」と目を輝かせ、エリザは「ルフィス、早く食べよ!」とナイフとフォークを手に準備万端だ。
ボクは一口かじって、思わず唸った。「うわ、めっちゃ美味しい……! 身がふわっとした中に、しっかり旨味があって……!」
「でしょ! この店のアジフライ、帝都一だよ!」エリザがドヤ顔で言う。ヨーコも「むぐむぐ、魚の神に感謝なのじゃ!」と頬張りながら尾をブンブン振ってる。
でも、食べながら、ボクの頭にふと現代知識がよぎった。――タルタルソース。このアジフライ、タルタルソースがあったらもっと最高じゃない? マヨネーズは卵と油と酸味のある果汁で作れる。帝都にはレモンに似た「シトラン」って果物があるし、卵も手に入る。よし、ちょっとやってみるか。
「ねえ、板前さん。ちょっと厨房借りてもいい? 面白いもの作ってみせるよ」
ボクがそう言うと、板前さんが「ほお? やるじゃねえか、お前さん! いいぜ、使ってみな!」と豪快に笑った。エリザとヨーコも「ルフィス、何するの?」と興味津々でついてくる。
厨房で、ボクは手早くシトランの果汁と卵、油を混ぜ合わせ、マヨネーズっぽいクリームを作り上げた。さらに、細かく刻んだピクルス代わりの地元野菜とハーブを加え、即席のタルタルソースを完成させた。板前さんがその手際を見て、目を丸くする。
「てやんでい! なんでぇその白ぇモンは!? 見たこたぁねえぞ!」
「ふふ、食べてみてよ。絶対合うから」ボクは自信満々にアジフライにタルタルソースをかけて、板前さんに差し出した。
板前さんが一口食べて、ガタッと箸を落としそうになった。「こ、これは……!? 酸っぱくてクリーミーで、魚の旨味が倍増しやがる! てやんでい! やるじゃねーか、お前さん!」
その声に、看板娘も飛んできて試食。「うわ、ほんと美味しい! ルフィスさん、天才じゃないですか!?」と、彼女の豊満な胸が揺れるほど興奮してる。エリザは「ルフィス、ほんと聖女の手本みたい! 何でもできちゃう!」と目をキラキラさせ、ヨーコも「ルフィスは料理の神すら超えるのじゃ!」と尾をふりふり。ボク、めっちゃ褒められてちょっと照れるんだけど。
店内は「なんだそのソース!?」「俺にも食わせろ!」と大盛り上がり。看板娘が「ルフィスさん、このソース、メニューに加えてもいいですか!?」とまで言い出す始末。ボクは「いいよ、みんなで楽しんで!」と笑って答えた。
だが、その和やかな雰囲気は、突然の乱入者によってぶち壊された。定食屋の扉がバン!と開き、甲冑の音を響かせながら、女騎士がずかずかと入ってきた。背が高く、鋭い目つきの彼女は、明らかにただ者じゃない。
「エリザヴェート様! またこちらにいらしたんですね! さっ、王宮に帰りますよ!!」
女騎士の声が店内に響き、エリザが「うわっ、ミリア!? なんでここに!?」と慌てて立ち上がる。ヨーコは「むむ、こやつは誰なのじゃ!?」と毛を逆立て、ボクも「え、ちょっと、状況が……?」と困惑。
店内の客たちがざわつき、板前さんが「てやんでい、なんでぇこの騒ぎは!」と叫ぶ中、エリザは「ルフィス、ヨーコ、ごめん! ちょっと待ってて!」と苦笑い。どうやら、ボクたちの楽しい食事タイムは、思わぬ展開を迎えそうだった。
マアジ・・・どこ・・・ここ?




