15-ギルドマスターとの対面
ギルドマスターの登場
試験場で魔力測定器を破壊してしまったルフィスは、不安そうにその場で待っていた。壊れた水晶の破片が地面に散らばる中、遠くから地響きのような足音が近づいてきた。
「…何…!?」
ルフィスが顔を上げると、ギルドの建物の上から巨大な影が現れた。身長4.5メートルもある巨漢が、2階の窓から顔を覗かせていた。それは人間というにはあまりにも大きすぎ、まさに鉄塊のような男だった。筋骨隆々とした身体は、まるで岩石を削り出したかのように硬く、両腕は大木のように太い。顔は無骨で、顎には無精ひげが生え、鋭い金色の瞳がギラリと光っていた。
彼の背中には、鱗のような突起が並び、肩から腕にかけては龍の鱗を思わせる模様が刻まれていた。ギルドマスターは、人間とドラゴンのハーフであることが一目で分かる異様な存在だった。ギルドの室内にはとても入れない体躯のため、2階の窓から試験場を見下ろし、ルフィスに声をかけた。
「うむ。」
その声は低く、まるで雷鳴のように響いた。ルフィスは思わず後ずさりし、驚愕の声を上げた。
「ひっ…!?な、なんですか…この人…!人間…じゃない…!?」
ギルドマスターのあまりの大雑把な存在感に、ルフィスは目を丸くした。本当に人間なのだろうか?その疑問が頭をよぎったが、彼がギルドマスターであることは間違いなかった。
受付嬢の説明とギルドマスターの反応
受付嬢がギルドマスターの横に駆け寄り、2階の窓から試験場を見下ろしながら状況を説明し始めた。彼女の声は緊張で震えていた。
「ギルドマスター!大変な事態です!新人のルフィスが…魔力測定試験を受けたところ、魔力測定器が…壊れてしまいました!絶対に割れないはずの水晶が…粉々に…!」
受付嬢は慌てながらも状況を詳細に伝え、壊れた水晶の破片を指差した。ギルドマスターは試験場を見下ろし、砕けた水晶とルフィスを交互に見つめた。
「うむ。」
ギルドマスターはそれだけを言い、表情を変えずに頷いた。無口な男として知られる彼は、普段から「うむ」としか喋らない。だが、その一言にはどこか重みがあり、受付嬢はさらに緊張した様子で続けた。
「どうしたらいいでしょうか…?こんなこと、今まで一度も…!ルフィスの魔力が異常だったとしか…!」
ギルドマスターは再び試験場を見下ろし、ルフィスをじっと見つめた。
「うむ。」
再び短い一言だけを発し、ギルドマスターは窓から顔を引っ込めた。受付嬢は少し困惑しながらも、ルフィスに向き直った。
「ルフィス…ギルドマスターが詳しく話を聞きたいって。ギルド長室に来てくれるかな…?」
ルフィスは不安そうに頷いたが、心の中ではますます焦りが募っていた。
「ボク…本当にまずいことになっちゃった…!」
ギルド長室での尋問
受付嬢に連れられ、ルフィスはギルドの2階にあるギルド長室へと向かった。ギルド長室は広々とした部屋だったが、ギルドマスターの巨大な体躯が入れるよう、天井が高く設計されていた。部屋の中央には頑丈な木製の机があり、その上に地図や書類が山積みになっていた。壁には龍の鱗や巨大な剣が飾られ、ギルドマスターの威厳を感じさせる空間だった。
ギルドマスターはすでに部屋の中に立っており、ルフィスが入ると再び「うむ」と呟いた。ルフィスは彼の巨大な姿に圧倒されながら、受付嬢の隣に立った。
受付嬢は緊張した面持ちで、ルフィスに質問を始めた。
「ルフィス…一体どうして魔力測定器が壊れてしまったのか、詳しく教えてくれる?あんなこと…普通じゃありえないんだよ。君、どんな魔力を送り込んだの…?」
ルフィスは目を泳がせながら、焦った声で答えた。
「ボ、ボク…ただ魔力を送り込んだだけなんだ…!でも…ボク、昔…ちょっと特別な力を持っていて…その力が関係してるのかも…。」
ルフィスはセレフィスとしての過去や「大聖女の癒し」の力を明かすわけにはいかず、言葉を濁した。だが、内心では不安が募っていた。
「せっかく冒険者になれたのに…こんなことでクビになったらどうしよう…!ボク、新しい人生を始めたばかりなのに…!」
ギルドマスターは黙って話を聞き、時折「うむ」と呟くだけだった。受付嬢はさらに詳しく尋問を続ける中、ルフィスの緊張はピークに達していた。
うむ




