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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
3章 スケルトンの冒険者(Dランク)
56/60

54 Cランク昇格試験⑤

お待たせしました。

生きてます。ちまちま書いてました。

ただ、先の展開は既に決まってるんですけど、それを文章にする事がなかなか出来ないでいます。

作者の不甲斐なさをお許しください……。

『とーさま? 何してるの?』

「悪い。起こしたか?」


 テントの中で荷物の整理をしていると、寝ていたマシロが起きてしまったようで、俺に念話を飛ばしてくる。

 出来れば、このまま皆が寝てる間に終わらせたかったんだが。


『ん。平気。どこか行くの?』

「あ、あぁ。ちょっと急用がな。少し森に入ってくるよ」

『森に行くの? じゃあ、一緒に行く!』


 その言葉に俺は一瞬迷った。

 確かにマシロが一緒に来てくれると心強い。

 だけど今回は……。

 最悪の場合を考えると、マシロを守りきれる自信がない。


「悪いマシロ。シルビア達がまだ寝てるから、出来ればここで留守番しててほしいんだ。俺が居ない間に二人を守れるのはお前だけだからな。まぁ、そう滅多な事は無いと思うけど、それでも用心するのは必要だし。だから、不審な人間が入って来たりしたら、死なない程度に撃退して欲しいんだが……」

『私、留守番?』

「悪いな。マシロだけが頼りなんだ。頼めるか?」


 置いて行かれる事が不満なのか、マシロが少し不機嫌そうな感じで俺を見つめてくるが、俺が折れる気がない事を察したのかしぶしぶながら了承してたくれた。

 だだし、


『……ちゃんと帰って来てね?』

「心配するな。すぐ戻るから」

『ん、約束』


 という約束をさせられた。

 これは……是が非でも帰らないとな。


 マシロの頭を一撫でして、俺は森に入った冒険者達を追う為に駆けだした。



 ◆


 森に入ると同時に周囲に人が居ないのを確認し、人化の術を解除。

 ナイト・スカルリッチの姿に戻る。

 更に生命探知を発動して先行している冒険者達の気配を探す。

 多分まだそこまで遠くには言ってないと思うけど……いた。


 夜の森の中は昼よりも警戒が必要なためか、進行するペースはあまり早くないようだ。

 これならすぐに追いつけそうだな。


 俺は足に魔力を送り、思いっきり踏み込み跳躍すると、近場の樹の枝へと飛び上がる。

 そのまま、枝を飛び移ながら冒険者達の後を追う。


 そのまま進むこと数分。

 特に邪魔するものもいなかったため、冒険者達の背後まで無事に追いつく事が出来た。


 さて、問題はこの後どうやってあの小瓶を回収するかなんだが。


 このまま奇襲をかけて力づくで無理矢理奪うという選択肢もあるんだが、当然抵抗されるよな。

 仮に俺なら正面から戦っても負けることはないと思うが、戦闘時に何かの拍子であの小瓶が割れでもしたら意味がない。

 いい案が思いつくまで、このまま少し様子を見るか。


 そうと決まれば、俺は魔法の袋から緑色の外套を取り出すとそれを羽織る。

 これは幻影の外套。

 幻影影豹(インビジブルパンサー)と呼ばれる魔物の毛皮で作られた代物で、着用者の姿を周囲の風景に溶け込ませる効果があるらしい。

 立川から貰ったアイテムの内の1つだ。

 実際に使うのは初めてだから、これで本当に周囲から見えてないのか少し不安なんだが、そこは立川から貰った物だし信じるとしよう。

 これで、気休め程度かもしれないが、このまま尾行を続けても俺の存在がバレる可能性が減るだろう。


 なぜ、こんな事までするのか。

 それは恐らくだが、あの中の誰かが探知系スキルを持ってる可能性が高いからだ。


 その根拠は、生命探知の反応を見ていて気が付いた。


 今更の話だが、現在俺たちは魔物の楽園である魔の大樹海の中にいるのだ。

 こんな場所だと、いつどこから魔物に襲われてもおかしくない状態であり、俺もまた魔物との不意の遭遇を避けるために、魔力が惜しいと思いつつも生命探知を常に発動している状態なのだ。

 そんな中、あの冒険者達は、一度も(・・・)戦闘を行う事無く(・・・・・・・・)、此処まで来ている。


 この森の中で、都合よく彼らの進路に魔物が全く存在していない……なんて都合の良い事などあるはずも無い。

 実際に今も彼らの近くには、数匹の魔物の反応がある。

 だが、冒険者達はまたしても、上手い事魔物の反応を避けて、更に森の奥へと進んで行く。

 これが一度や二度ならば偶然も考えたんだが、こんな事が毎回起こっているのだと話が変わる。

 おそらく俺の生命探知みたいな能力を持ってる人間が、先導しているのだろう。

 なので、彼らは一度も戦闘することなく、こうして森の奥を目指せている。

 彼らからしたら、実に順調そのものだろう。



 ――ただ、それももうすぐ終わりそうだけどな。


 そう思うのもまた、俺が生命探の反応をずっと見ての事だ。

 知程から彼らは上手い具合に魔物との戦闘を避けているのだが、どうも精度は俺の生命探知程高いという事でもないらしく、この先に存在する魔物の反応に気づいていない。

 その反応が他と違う所があるとしたら、他の魔物の反応よりも色が薄い事だ。

 これは、気配遮断系のスキルを持っている相手で、現在そのスキルを使用している事を表している。


 こうした気配遮断スキル持ちを探知系スキルで探すのは、実は結構難易度が高いのだ。

 そもそも俺も全てを把握できるわけではないが、この前のグリーンウルフの一件があり、生命探知をこういった場所で使うときは普段よりも探知精度を上げるために余分に魔力を使う事にしたのだ。

 本来このスキルは、自分以外のすべての生ある物に反応するという非常に強力な探知スキルだ。


 ただし、普段からこの性能をフルに使ってしまうと、俺の少ないMPなんてすぐに底を尽きてしまう。

 なので、普段は用途に合わせて少ない魔力で人か魔物かの判断がわかる程度でしか使っていなかったのだ。

 しかし、進化し能力が少しづつ上がってきた今でなら、多少多めに回したところで直ぐにMPが無くなる事はなくなった。

 なので、今回もいつもより多めの魔力を使い発動させていたからこそ、こうして隠れている魔物の反応まで探知できたのだ。


 さて、このまま行けば、いよいよ戦闘って所だな。数は3匹か。

 なんの魔物かはわからないが、この辺に生息してるってことはCランク位の強さはあるだろう。

 このまま行けば、戦闘は避けられそうにないが、果たしてどうなるか。



 ◆


「なんだよ、ギルドの奴ら、散々脅かしやがって。全然余裕じゃねーか」

「拍子抜けだよな。こんなに楽に奥まで来れるなら昼間にあんなに苦労する必要もなかったんじゃないか? 人数を頼りにこの辺の魔物を一匹でも狩れればかなりの儲けがでたんじゃないか?」

「あんた達、うっさい。気が散るから静かにしてよ。気配探知って結構魔力使うんだからねっ!」

「へいへい。先導ご苦労様ですスカウト様」

「なぁ、この試験が終わったら俺と組まないか? 探知系スキル持ちが欲しかったんだよ」

「残念。私は今のパーティから出る気はないの。それにむさい男はお呼びじゃないのよ」


 そんな掛け合いをしつつ進む、陽気な冒険者達に対して、冷ややかな視線を向ける男が一人いる。


「ふん。馬鹿共が。騒いで魔物に気づかれたら意味がないだろうに。……しかし、あの女の能力はなかなかのものだな。想像してたよりもかなり順調に進んでいる。やはり昼間に使えそうな奴に声を掛けたのは正解だったか」


 そう呟いたのは今回の騒動を引き起こした男。

 ウィリアム・フォン・バウルマイスである。


 ウィリアムはバウルマイス家に生まれた次男であり、このバウルマイス家は、キグナス王国の歴史の中でも多くの優秀な騎士が誕生している事で知られる貴族である。


 ウィリアムもまた、そうした騎士の一員になるべく、幼い頃より厳しい訓練を、兄のハインズと共に受け続けており、その剣の腕前はかなりの物である。

 しかし、その精神は騎士に必要とされる高潔さとは無縁の物であった。


 一方兄であるハインズは、剣の腕でこそウィリアムに一歩劣るものの、相手の事を思いやる性格の持ち主であり、父であるバウルマイス家当主からの信頼も厚かった。


 ウィリアムの剣の腕は確かな物であったが、ウィリアム自身がその剣の腕を過信し過ぎている節があり、また弱者を見下す性格も相まって、度々人と争いごとを起こす問題児でもあったのだ。

 実際、バウルマイス家当主としては非常に困った存在であり頭を痛めていた。


 そんなウィリアムが家を追い出されるのは時間の問題であり、自業自得なのだが、ウィリアムはそれが理解できなかった。

 納得がいかないと食いつくウィリアムに対して、バウルマイス家の当主は告げる。


「お前の剣の腕は確かに認めよう。だが、お前には足りないものが余りにも多すぎる。一度家を出て、世界がなんたるかを見てくるのだ。帰ってきた時に、お前の口から出た答えによっては、今回の結果を考え直すことを約束しよう」


 それは、父としての激励の言葉であり、実際に彼はウィリアムの内面が成長して帰ってくる事を期待もしていた。

 しかし、ウィリアムの肥大した自尊心では、それを正しく受け止める事ができなかった。


 剣の腕だけでは、父は認めてくれない。

 ならば、自分という存在を認めざるを得ない結果を残せば変わるのでは?

 父に自分を追い出した事が間違いだったのだと、そう認めさせたい。


 その為には自分の活躍を広める必要がある。

 誰の目から見ても明らかな成果が必要なのだと。

 そして、ウィリアムがたどり着いた答えが冒険者だった。


 優れた結果を残した冒険者は貴族からも一目置かれる存在であり、また、過去には実際に領地を王家に与えられ貴族となったた者も少なくない。

 ウィリアムには戦う力があった。

 自分の剣の腕ならば、すぐに冒険者として有名になれるだろう。

 そしていつか、自分を追い出した父親と兄に対して、その判断が間違いだった事を認めさせてやる。

 そうしてウィリアムは冒険者になった。


 しかし、それから数年。

 剣の腕が良かったのもあり彼はDランクではなかなかの強さを持つ冒険者と言われるもの、それまでだった。

 元々自分よりも劣る人間を見下す傾向のあるウィリアムは、ギルドでも度々他の冒険者と問題を起こす人物として認知されており、そういった普段からの行動に問題が多い冒険者には、なかなか昇格の話が来る事が無いのだ。


 だが、そんな彼にも、ようやく昇格試験の誘いが来た。


 この時ウィリアムは、念願の上へと進めるチャンスを、どんな手段を使ってでも掴み取ると決心し、彼少しでも何か有利になる方法が無いかと、ライムダールの西区にある闇市を訪れた。

 大抵の大きな街にはスラムがあり、そこに闇市がある。

 このライムダールにも、それは存在しており、こうした闇市には盗品や危険な効果を持つ品が多く、表には出せないような物が出回るのだ。

 何か、イザと言う時の切り札になりそうな物でもないかと、闇市を回っていると、一人の男が目についた。


 その男は、黒のローブを来た犬耳の獣人であり、気だるそうな感じで、敷物の上に並べられた品を見ていた。

 ウィリアムがなんとなく見ていると、視線に気づいたその男がウィリアムの方へと振り向く。

 その鋭い眼光は商人というよりは戦士のものであり、ウィリアムもかなり印象に残た。


 とても商人に見えないその男が、何を扱っているのかに興味がわいたウィリアムは、その店の品を見てみることにした。

 どうやらこの獣人の男は、魔物の素材や、それで作られた武器等を売っているらしく、これらの魔物もまた自分で仕留めた物だという。

 その中で特に目を引いたのが、この小瓶だ。

 値段は金貨5枚と非常に高く、中身が何かを聞いたところ、マナフェザー・ピーコックのフェロモンだと教えられた。


 こうした魔物寄せのアイテムは実際に存在し、またその効果も非常に高い事で知られる。

 ただし、使用に関してはギルドや国が禁止している事が殆どだ。

 理由は、不用意に使うと、その場所での生態系を狂わせかねないからだ。

 また、極度の魔物の大移動は、最悪そのままスタンピードに発展する可能性も指摘されてもいて市場で見る事はまず無いだろう。

 そんな貴重な物を、なぜこの男が売ってるのかと疑問に思い訪ねたが、男は一言、もう必要がなくなったからだとだけ言い。

 それ以上は語らなかった。


 ウィリアムは悩んだ。

 正直、これが本物かは、かなり怪しい。

 不通に考えて、本物とはとても思えなかったが……もし仮にコレが本物だったとしたら……。


 その後ウィリアムは悩んだ末に、その小瓶を購入することを決める。

 最後に、この辺でもしマナフェザー・ピーコックが生息してるとしたら、南の樹海位だとも教えてもらった。


 それが1週間前の出来事だ。


 今回の試験説明を受けた時、実にまどろっこしい試験であり、面倒であると感じたが、ウィリアムはこの小瓶を試す機会が訪れた事にも内心感謝していた。


 あの日闇市に出たのは正解だったな。


「やはり、私は幸運だな」


 そう一人呟き、懐から例の小瓶を取り出す。

 まぁ、これが本物ならば……だがな。 


 その保険を兼ねて、今回他の受験者達に声を掛けたのだ。

 彼らは皆、最初こそ疑っていたが、こちらの分け前を渡す約束をすると、面白いように話に乗ってきた。

 Dランクの少ない稼ぎしか出来ない彼らが、こちらの話の利益を考えると、飛びつきたくなるのもうなづける。

 最もそれも、最後まで生き残れたらの話になるがな。

 こいつらは、自分達が最後まで生き残れると本気で信じているのだろうか?

 万が一この小瓶の中身が偽物だった場合、何が出るかわかったものではない。


 もしもの時は、他の冒険者を餌にして逃げ延びるしかないな。

 皆、金に釣られて自分の意志でやってきた者ばかり。

 死んだとして、それは自己責任であり、私には一切責任がない。

 それに、彼らが死ぬとしたら、それはそれでチャンスだ。


 なにせ、国から独立しているとはいえ、ギルドだって一つの組織なのだ。

 魔物と常に戦う冒険者は、入れ替わりが激しく、ギルドはいつも人材不足を抱えているのは有名な話だ。

 確かに私は今回ギルドマスターに対して嫌われた可能性が高いが、他の受験者が減れば減る程、実力主義の冒険者という役柄、剣の腕が立つ自分が選ばれる可能性が高くなるだろう。


 一番ベストなのはこのまま何事もなくマナフェザー・ピーコックを仕留められる事であるが、手に負えないような魔物だったとしても、私が生き残りさえすればまだまだ挽回のチャンスはある。

 ふふ。精々彼らには私が再び栄光を取り戻す為に存分に働いてもらうとしよう。



 そう内心ほくそ笑んでいた時だ。


「きゃぁぁっ!?」


 先行していた女の冒険者の一人が突然叫び出し、続けて血を流して倒れた。

 一瞬何が起こったのか理解できなかったが、そのすぐ後に3体の魔物が木々の間から飛び出して来て、こいつらの仕業だと分かった。


 それは、細い植物の蔦が絡まりあったような姿で、蜥蜴のような姿をしている。

 茨のように全身にびっしりと棘が生えている。

 開かれた口からは赤い舌がチロチロと除いており、内1匹の口からは血が滴っている。

 おそらく、先程悲鳴を上げて倒れた冒険者の物だろう。


「な、なんだこいつらは! 探知スキルで魔物の位置が分かるのではなかったのか!?」

「そ、そんな、だって私のスキルには、なんの反応も!」

「おい、あいつはCランクのプラントリザードだ! 確か、気配遮断スキル持ちだ!」

「ちっ。気配を消してずっとここで待ち伏せしてやがったのか!」

「全員武器を構えろっ!」


 魔物に出現に冒険者達が己の武器を手に殺気立つ。

 たいしてプラントリザード達は余裕そうだ。

 特に焦る様子もなく、時折首を掲げてこちらを品定めするかのような目で見ている。


「この森には、探知を掻い潜る魔物もいるのか。厄介だな……」


 そうつぶやき、ウィリアムもまた剣を抜く。

 ここで逃げる選択肢もあるが、たった3匹の魔物が相手だ。

 それに対して私たちは20人以上いる。

 いくら、相手がCランクの魔物といえど、この数で相手をすればそうそう負けることはないだろう。


 実際に数で優位を取る、この方法は多くの冒険者が行っている有効な戦い方の一つである。

 他者とパーティを組み、一人では打ち倒せないような強力な魔物をパーティで協力仕合仕留める。


 冒険者として基本中の基本だ。

 幸いこちらの数は十分であり、後は囲んてしまえば勝負にもならないだろうと思ったのだ。


 ウィリアムのこの考えは半分正解であり、残り半分が間違っていた。

 確かに冒険者がパーティを組むのは、強力な魔物を相手にする時に勝てる可能性が高まるからであり、また生存率が大きく変わるからだ。

 ギルドも無駄な死者を増やさないようにするために、このパーティ制度を進めているくらいだ。


 そもそも人と魔物では、種としての強さが違いすぎる。

 故に人は、余程の特出した実力者でない限り、数と知恵でその差を補うのが基本だ。


 しかし何事にも限度がある。

 確かに、今回数は解決できていても、それだけでプラントリザードを倒せるかというと、そう甘くはないのだ。


 そもそも、ここに集まっている者は、皆まだ冒険者として未熟者であり、その場でパーティを組んで協力し合い、更に各々の実力を出し切っての連携をするなど、そんな事は不可能だった。


 当然、慣れない地形に視界の悪い夜の時間帯。

 そこからの不意打ちで強力な魔物が襲来したとあっては、パニックになるのは避けられなかった。


 先程まで落胆していた冒険者たちの集まりは、今や地獄絵図となっている。


 半狂乱でプラントリザードを近寄らせまいと斧を振るう男の脇を抜けたプラントリザードの一匹が、その爪で背後から襲い掛かり一撃で仕留める。

 それを見て逃げ出そうとした剣士は、走り出した途端、その足に食らいつかれ、片足を食いちぎられる。

 このままでは全滅すると冷静になった何人かは、どうにか連携してプラントリザードを仕留めようと、していたが、周囲の木々が邪魔をして禄に武器を振り回す事も出来ず、また人がこうも密集してる状況だと思うような立ち回りができないでいる。


 阿鼻叫喚の人間側に対し、プラントリザード達の方は、時に木々を這うように上り、跳び、目についた冒険者たちに片っ端から食らいついていく。

 その度に悲鳴が上がり、鮮血が舞い、一人、また一人と数を減らしていく。

 冒険者の体を守る、皮鎧や鉄で作られた胸当ても、プラントリザードの爪牙の前では意味がなかった。

 最早、プラントリザード達にとって、相手は烏合の衆であり、数が多いだけの餌でしかないのだ。



 元々の強さの差もあるが、パニックにより正常な判断ができない彼らが、上位の魔物を相手にできるはずがなかった。

 数分もせずに大半の物が死ぬか戦闘不能の重傷を負い、動けるものがウィリアムを含む数人にまで減った。


「ば、馬鹿なっ! 私たちの方が数は圧倒的なのだぞ! それをたった3匹の魔物相手に……こんな、こんな筈では……!」


 ウィリアムはプラントリザード達との実力差に恐怖を覚えた。

 今まで、父以外の自分より実力が上の相手を見たことがなかった事と、格下相手でしか戦った事がなかった事により、ウィリアムの判断を狂わせたのだ。

 彼が最初の予定通り行動するとしたら、ここは真っ先に逃げていればまた結果も変わったのかもしれない。

 しかし、最早それも叶いそうもない。


 絶望したウィリアム達に、ゆっくりとした足取りでプラントリザード達が近づいてくる。

 間近に迫る死の恐怖に奥歯が鳴り、体が震えだす。


 そんなウィリアムを嘲笑うかのように、大口を開けてプラントリザードが突進してくる。


「な、なめるなよ魔物風情が! 私はウィリアム・フォン・バウルマイスだぞ! こんな場所で死んでいい人間ではないのだあぁぁ!」


 震える体を鼓舞し、剣を握り直す。

 迫りくるプラントリザード達に対し、ウィリアムは剣を構えて咆哮と共に地を蹴った。


 プラントリザードとウィリアムが激突するかという正にその瞬間、その間に飛び込むように、上空から黒い何かが降ってきた。

気づいたら累計10万PV行ってました!

皆さん本当にありがとうございます。

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