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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
3章 スケルトンの冒険者(Dランク)
28/60

26 はじめての依頼 

7/12 加筆修正

 冒険者登録を終えた翌日、俺は朝一で冒険者ギルドに来ていた。

 昨日目を付けていた依頼を受けるためだ。

 1階の酒場は朝早い時間もあり人が殆どいない。

 料理の仕込みをしているマスターと数人のウェイトレスがいるだけだ。

 そんな彼らに軽く会釈をし上の階へと上がる。

 


 掲示板の前でルミナが依頼を張り出していた。

 俺に気づいた彼女は微笑んで挨拶をしてくれる。


「あら。おはようございます。早いですねジェイド君」


 窓から差し込む朝日の光が、彼女のプラチナブロンドの髪に反射して、とても幻想的に思える。

 そして相変わらず笑顔が眩しい。


「ええ。おはようルミナさん」


「依頼の確認ですか? 今張り出しが終わりましたのでどうぞ」


「じゃあ。失礼して……」


 場所を譲ってくれたので俺は目的の依頼を探す。

 確か昨日はこの辺に……あった。

 やはりまだ誰も受けていないようだな。

 まぁ内容が内容だしな……。

 俺は目的の依頼を見つけると、その依頼書を掲示板から剥がした。


「え? ジェイド君この依頼受けるんですか……? かなり危険ですよこれ……?」


 俺が依頼書を剥がすのを見て、ルミナは驚いたように確認してきた。

 まぁ、そう思うよな普通。


「Dランク。オキシア湿原のポイズンクロウラー討伐。報酬は銀貨50枚。うん。間違いないよ」


 ポイズンクロウラー

 通称 毒牙大蜘蛛 ランクDの魔物だ。

 3メートル位の体長をした蜘蛛型の魔物で、その牙には致死性の毒を持つ危険な魔物だ。

 強力な毒と鉤爪を持ち、それを使って獲物を仕留める事に特化しているらしい。

 昨日の夜、魔力操作の鍛錬をしながら立川から貰った魔物の生態が記された本(以降は魔物図鑑と呼ぶ事にする)。

 それを読みながら、この討伐対象である蜘蛛を調べていたのだ。

 かなり素早くその毒は非情に強力な物なのだが、反面耐久力自体はそこまで無いらしい。

 しかも魔法に非情に弱く、魔法を扱える冒険者ならば、毒牙が届かない距離から火炎球ファイヤー・ボールなどで楽に処理することも可能らしい。

 なので本来は魔法が使える者が受ける討伐依頼だ。

 一応近接戦闘専門の冒険者でも、高価な解毒ポーションを使えばこいつの毒にも対抗できるようだが、Dランクの依頼にそんな高価なポーションを準備する事がすでにマイナスだ。

 しかも今回は指定された場所が悪い。

 オキシア湿原。

 この湿原はポイズンクロウラー以外にも、毒を持つ魔物が非常に多く生息している地域で、冒険者達からは特に嫌われている場所だ。

 こんな場所にわざわざこの蜘蛛を倒しに行くとしたら、一体どれだけの量の解毒ポーションが必要になるか分からない。

 当然、大量に解毒ポーションを準備すると、依頼を達成できても、ポーションの金額が銀貨50枚を遥かに超える事になるだろう。

 ただオキシア湿原はそういう理由で冒険者達が寄り付かない。

 なので、そこに生息する魔物の素材は、買い取り金額がななかの高価らしい。

 だがそれも、そこで狩りをするために必要になる解毒ポーションの値段が高いため、結局は皆二の足を踏む事に繋がってるらしい。

 仮に解毒ポーションを使わずに成功させられたら、かなりのプラスになるだろうが、普通の人間が準備不足でそんな場所に踏み込んだら死ぬに決まっている。

 そんな依頼を受けるくらいなら、上位の冒険者はCランク以上の依頼を受けるし、Dランクの冒険者達も命の危険を冒してまで、こいつの討伐で銀貨50枚を得ようとは思わない。

 地道に他の依頼をこなしてランクを上げたほうが安全だからな。

 しっかり準備して行くとマイナス。

 そのまま行くともはや自殺。

 完全に受けるだけ損な依頼となっている。

 

 正直ギルドも何故こんな無理難題ともいえる依頼を掲載してるのだろうと思ったが、どうやら依頼者はギルドに掲載料を払えば、犯罪にかかわる物以外どんな依頼でも張り出してくれるらしい。

 そして、それを受けるかどうかは、最終的に全て冒険者の自己責任となる。

 まぁ、当然ギルドとしても、こんな危険な依頼で冒険者を失いたくはない。

 もし受けようとする新人冒険者等がいたら、しっかり受付嬢達が注意をしてくれるので、今のところ皆この依頼を受ける事は無いようだが。

 流石に何の説明も無しにこんな依頼受けさせるのは詐欺も良い所だからな。

 

 まぁ、もっともそれは、あくまで普通の人間の場合だ。

 なにせ俺には毒無効のスキルがある。

 オキシア湿原のような毒まみれな場所でも、このスキルを所持してる俺ならば普通に戦えるからな。

 


「えっと……。随分簡単に言うけど、ジェイド君この依頼の意味わかってますか? それに君は魔法が使えないですよね?」


 ルミナの言葉がやや崩れてきた。

 これは俺もお説教されるパターンだな。


「確かに魔法は使えないけど、魔法剣ならありますよ?」


「でも接近戦は危険じゃないかしら? ポイズンクロウラーの毒牙に噛まれたらそれだけで死にかねないのよ? それにオキシア湿原には他の魔物の多くが毒を持ってるし……。正直、私達としてもこの場所に行くのはおすすめしないわ」


「あー。まぁ普通はそうですよね」


「確かにDランク依頼だから、規則的に受ける事は可能なんだけど、ジェイド君1人でってなると……。ちょっと許可できないかな。この依頼ってそもそも最初から無理に近い内容だし……。一応掲載料を頂いてるからギルドとしても張ってるんだけど、正直条件が厳しすぎると思うわ。こんな明らかに危険と分かってる依頼を冒険者に受けさせないのも私達の仕事だからね。もしジェイド君1人ではなく、他の人とパーティを組んでから。後は解毒ポーションをしっかり準備するって事なら当然許可できるんだけど……」


 ルミナのこの反応は確かにわかる。

 普通に考えると、毒持ちの魔物の生息地へ一人で挑むのは自殺行為だろう。

 解毒ポーションだって安い物ではないしな。

 だが、毒の問題は俺には当てはまらないからまだいい。

 しかし俺はパーティを組む訳にはいかないからな。

 この体の秘密を抱えている以上は、多少危険でもこういう依頼を一人でやらなければ冒険者として活動するのは難しいだろう。

 

 さて。どう彼女を説得したものか。

 俺は一度辺りを見回し、他に冒険者がいないのを確認する。

 まだ朝早い時間の為、ギルドの中には俺とルミナ。あとは少数のギルド員たちが奥で書類の整理をしてる位だった。


 仕方ない。

 全部は教えられないが、ある程度安心できる事を見せて納得してもらうしかないか。

 再び視線を正面のルミナに戻し小声でささやく。


「ルミナさん。ちょっと今から見せる事、黙っててもらっていいですか?」


「何をする気なの?」


「俺が一人でも大丈夫だっていう証明。マシロ」


「シャア?」


「この手。噛んで」


「えっ? ちょ、ちょっとジェイド君!?」


 マシロは俺の言葉を聞いて一度こちらを見た後に、差し出した手をがぶりと噛み付く。

 マシロの牙を突き立てられて肉が裂け、血が流れる。

 

 この変幻の指輪は見た目だけでなく、魔力を使うことで、本物にかなり近い体が再現されてるようだ。

 どういう原理なのかわからないが、こうして血だって流れるし痛みだって感じる。

 人化の術を解除したら、流れてるその血も綺麗に消えるから本当に謎だ。

 案外幻術系の魔術かもしれないって立川は言ってたが、それも確実とは言えないだろう。

 なにせこれは魔王フリードの作りだし物だ。

 魔王は一体この指輪を作るのにどれだけの技術を注ぎ込んだのだろうか。


「た、大変! すぐに解毒しないと!」


「ルミナさん。落ち着いて。大丈夫だから」


「で、でも小竜蛇の毒ってけっこう強力なのよ!?」


「これ位なら今まで何度も噛まれてますから」


「な、何度も? え? でも毒が……?」


 ルミナは俺が全然慌てず、むしろ今までも何度もこういう事があったと聞いて混乱している。

 まぁ普通毒蛇に噛まれてここまで落ち着いてるのを見るのは異常だろうしな。


「あまり知られたくないんだ。俺はちょっと特殊な体質で毒物が効かないんだよ。スキルの毒無効を持ってるから」


「毒無効……ですか……? あれって人間が獲得できるスキルなんですか? 魔物の一部は持ってるって聞いたことありますけど……」


「さぁ? 実際に持ってるんだし、ひょっとしたら一部の人間は持ってるのかもしれないよ? それを知らないだけでさ」


「う、うーん……。ナーシャ先輩達の紹介だから間違いは無いと思うんだけど、私は少しジェイド君の今後に不安を覚えます」


「別に危険な仕事とかはしないよ?」


「いえ、そういう意味では……」


「とにかく、これで俺に毒は効かないって分かってもらえましたよね? オキシア湿原が危険なのは毒持ちの魔物が多いため。でもそれが効かないとなると、俺がそこに向かっても問題ないでしょう? ギルドとしてもここの魔物の在庫は欲しいだろうし、俺もみすみす死にに行くつもりはないから。最低限の戦闘だけして、ヤバそうならさっさと逃げますし」



「……わかりました。冒険者には訳有の方も沢山いますし犯罪さえ犯さなければ私達ギルド員には冒険者の経歴等に守秘義務が発生しますので。ジェイド君のスキルについては、私が責任を持って黙っています。でも本当に危険だと思ったらちゃんと逃げてくるのよ? お姉さん本気で心配してるんだからね?」


「わかってますよ。ありがとうルミナさん」


「……ポイズンクロウラーの毒はやっぱりダメでしたって事になったら嫌よ私?」


「心配しなくても平気ですから。マシロより強い毒の魔物にも噛まれた事ありますから」


 もちろんこれは嘘だ。

 だが俺には毒無効スキルがあるのはステータス閲覧で確認済み。

 マシロの毒牙に今まで何度も噛まれてるしその効果は保証してある。

 他の毒も俺には効果が無いはずだ。

 なにせ俺の体は、アンデットだがらな。


「はぁー……。わかりました。ではこの依頼はジェイド君にお願いします。正直誰も行きたがらないから、この依頼はずっと塩漬け状態でしたし……。

 期限も明後日までなので、正直もう無理だろうなって思ってましたけど。私達ギルドとしても、オキシア湿原の魔物素材は在庫がほぼ無いので、これを受けてくれるのは助かります」


「なら倒した他の魔物の死体も、持って帰ってきたほうがいいよね?」


「ええ。ジェイド君は自分の魔法の袋を持ってるようですが、今回はこれをお貸しします。ギルドが貸出している回収用の魔法の袋です。討伐した魔物はこっちの袋に入れて来てください。期限も近いから大変な依頼です。でも、無理はしないで? もし間に合わなくなってもジェイド君の命を優先してください」


「てっきり、ギルドとしては死んでも依頼を達成しろなんて言われるのかと思った」


「そんな事有る訳無いじゃないですかっ! 怒りますよ? いいですか? 冒険者は私達ギルドにとっても大切なパートナーなんです。数が減ればその分ギルドに入る素材の量も減ってしまうし、依頼だってどんどん溜まってしまいます。だから私達としては、ゆっくりと自分にあった仕事をしてもらって徐々に実力を伸ばしてもらうのが理想なんですから。みすみす死ににい行くような依頼は受けさせません。そのためのランク制度でもあるんですし……。今回のこの依頼だって、ジェイド君のスキルの話が無かったら絶対受けさせませんよ? 私も個人的には君みたいな若い子を、こんな危険な依頼に送り出したくはないんです。それに毒が効かなくても、油断しちゃけません。常に自分の身を優先してくれて構わないので、必ず無事に帰ってきてね?」


 もちろん俺も悪戯に危険な場所に行って死ぬ気は無い。

 というより既に半分死んでるんだが、それは今はどうでもいいか。

 だが、俺が戦う時は、人化の術をとかなければ全力で戦う事が出来ない。

 多少のリスクがある依頼でもなければ、すぐに俺の事はこの街の人間達に知られてしまうだろう。

 そうなったら、ここまでやってきた事が無駄になってしまう。

 ゆえに、ここは俺も譲れない。

 だが、ルミナもここまで親身になって心配してるんだ、無事に終わらせて早めに帰って来ようか。


「分かった。心配してくれてありがとうルミナさん。行ってきます」


「……ご武運を」



 こうして無事ルミナからのお許しを貰えて、俺は依頼を受ける事が出来た。

 色々準備する事があるな。

 まずは必要な物を買ってから、目的地へと向かうとするか。





 ライムダールの街を出ると、その周囲には比較的安全な平原地帯が広がっている。

 この平原を東に進んだ場所に、オキシア湿原があるらしい。


 ライムダールを出て草原を東へ歩く事20分。

 周囲に人がいないのを確認すると俺は人化の術を解除し、スカルウォーカーの体で全力疾走。

 そのままオキシア湿原まで駆けだす。

 魔闘法を使い全力で走った俺のスピードは、その辺の馬車なんかよりもよっぽど早い。

 高速で流れる景色を見ながらひたすらオキシア湿原をめざし突き進む。

 だが、立川は俺の倍以上の速度で走れたな。

 つくづく化け物だな。やっぱあいつ人間辞めてるわ。


 ライムダールへの道中では、マシロがかなりレべリングの成果を出したからな。

 俺もこの依頼で経験値を稼いでおかないと、置いて行かれてしまう。

 なので、今日は俺も本気でレべリングをさせてもらおうかと思う。

 依頼を終える頃にお互いどれくらい強くなってるか楽しみだな。



 そして全力で走り始めて1時間。無事に誰にも見られる事も無く、俺達はオキシア湿原まで辿り着いた。

 ターゲットであるポイズンクロウラーは、このオキシア湿地の奥に生息しているらしい。

 そこまではまだ距離もあるし、今回は探索に時間を使うだろうから野営に必要な道具も準備している。

 このオキシア湿原の探索するにあたり、、マシロ用に解毒ポーション少し購入した。

 たった2本で銀貨が6枚も飛んだ。

 なかなか手痛い出費だな。

 マシロは毒に強い魔物みたいだが、毒無効スキルは所持していない。

 だから、もしもの為にこういう保険は必要だろう。

 余ったら余ったで魔法の袋に入れたままにしてればいつか役に立つだろう。


 人化の術を解除し生命探知を発動。

 前方に見えるは赤い丸。その数およそ50以上。

 うわー……。

 冒険者もほとんど来ない場所だからか、魔物の数が凄いな。

 こんな入口のすぐ傍にもいるのかよ。

 流石にこれを全部相手にするのは無理そうなので、とりあえず奥へまっすぐ進み、道中で遭遇した魔物を倒していく事にしたほうがいいか。


 

 今回の俺の武器は右手にククリを、左手には昨日の道具整理中に発見した魔法剣であるダガーを握っている。 

 ククリは愛刀である風刃のククリだ

 ここに来る前に、久しぶりに風刃付与『ウィンド・エンチャント』を試してみたのだが、どうやらLvアップによる魔力上昇、更には魔力操作のスキルのおかげで以前使った時よりも威力が上昇し発動時間もやや伸びたようだ。

 これを見ると、やはり魔力操作を鍛えれば、やれることがどんどん増えそうだな。

 魔闘法を使い続けるうえでも必要な事だし、日々の鍛練を欠かさないようにしないと。


 次に新武器である魔法剣のダガー。

 このダガーは、魔物の牙を加工して作られた物のようで、柄には紫の魔石が装着されている。

 鉄製と違って錆を心配しなくていいのは嬉しいが、手入れはしっかりしないとな。

 付与能力は雷の力を持つようだ。

 立川からのメモによると、これに刻まれた術式は第四階級雷魔法の光雷放射ライトニング・ブラスト

 本来は放射状に雷を飛ばす遠距離型の魔法だが、これを敢えてその場に留める事により、ダガーの刃に雷を纏わせてるらしい。

 ククリの風刃付与ウィンド・エンチャントは、武器に属性を付与するエンチャントの為の魔法だが、本来の光雷放射ライトニング・ブラストはただの攻撃魔法だ。

 それを魔石に施すことで、エンチャントの様に武器に属性を付与して戦える事こそが、立川曰く、魔法剣の強みらしい。

 一応魔力のコントロールをすることにより従来通り刃の先から雷を放つことも可能ではあるが、これは魔力の消費がさらに多い。

 残念ながら、今の俺では使えない手だ。

 だが別にそれでもかまわない。

 今使えなくとも、今後魔力が増えれば戦略が広がる可能性があると、素直に喜んでおけばいいのさ。


 今回は魔法剣2刀流スタイルだが、流石に魔闘法を使いながら2つのエンチャントを同時使用するのは厳しい。

 片方ならなんとかという感じだな。

 まだまだ俺には魔力が足りない。

 この依頼で少しでもLvが上がってくれるといいんだかな。

 


「ゲコゲコ!」


 湿地を進む俺達の前に、突如目の前の水場から、そんな鳴き声と共に何かが飛び出してきた。

 現れたのは紫の斑模様が特徴的な2メートル位の蛙。

 見るからに、デカい毒ガエルだな。

 この湿地にきて初めての戦闘だが、こいつのステータスは?


 

[種族]  ポイズン・トード

[状態]  通常

[ランク]  D

[Lv]   9/15

[HP]   85/85

[MP]   37/37

[攻撃]   55

[防御]   40

[魔法攻撃] 21

[魔法防御] 14

[素早さ]  69

[所持スキル]

 ぶちかまし 跳躍 毒液Lv2 捕食



 Lv9か。今まで戦ってきた中ではそこそこ高いほうだが、驚異的なスキルはなさそうだな。

 名前もまんま毒ガエルか。

 当然こいつも名前の通り毒を持つ魔物だな。

 スキルに毒液があるしこれが主力と見てよさそうだ。

 さて。

 ではこのダガーがどれ程の威力か試してみようか。


 マシロが戦いたそうにしていたが、今回は俺に譲ってもらう。

 そっと地面に下ろすと、ちらっ俺を見てくる。

 どうやら俺の意図を察してくれたようで、小さく鳴くと少し離れた場所まで行き大人しくしている。

 今回は結構動くからな。お前を連れてる危険も大きいだろう。

 俺が戦ってる間そこで大人しくしてるんだぞ?



「ゲコォォォ!」


 ポイズン・トードの方もマシロより大きな体の俺を標的にしてくれたようだ。

 雄叫びをあげ、地面を素早く蹴ると、かなりの跳躍力で一気に距離を詰めてきた。

 さらにその頬を不自然に膨らませると、口を開き紫の液体をいくつか吐き出してくる。

 

 うわっきたねぇ!?

 

 恐らくこれは毒液のスキルだ。

 食らっても俺にダメージは無さそうだが、正直あんな気持ち悪い物に触れたくないので飛んできたそれを左右に素早く跳びながら回避する。

 再び毒液を口から撒き散らしてくるが、当然それも回避。

 だが、今度は俺の回避先に目掛けて、思いっ切り体当たりを繰り出してきた。

 なかなか面倒な奴だな……。

 このまま黙って受けるわけにもいかないな。

 魔力を多めに両足に込めて、地面を強く蹴りつけ跳躍。

 そのままポイズン・トードを飛び越えるように、その攻撃を回避する。


 着地すると同時に体を反転。

 ポイズン・トードの背後から手にしたダガーで切りつける。


「グケェェェツ!」

 

 ダガーで切られた痛みで、暴れはじめるポイズン・トード。

 やはり、そのまま切っただけでは有効打は見込めないか。

 傷はつけれてるから、何回か繰り返せば倒せる気もするが、時間かかりそうだしな……。

 

 では次は、こっちの威力を試してみるか。

 暴れ回るポイズン・トードの周囲から素早く離脱し、ダガーへ魔力を通して術式を展開。


 瞬間、ダガーがパチパチと何かが弾けるような音を立てて、蒼白く発光する。

 そしてそれを確認すると、再びポイズン・トードへ接近し、その腹へとダガーの刃を突き立てる。


「グゲロォォォ!?」


 ポイズン・トードはその攻撃を受けた瞬間悲鳴を上げて体を大きく跳ねさせた。

 一瞬体をピンと反るようにしたあと、だらりと舌を出して白目を剥いて倒れる。



【経験値を54獲得しました】

【獲得経験値が一定値に達しました。Lvが15に上りました】


 絶命したのを確認して刃を引き抜くと、傷口が焦げて白い煙が上がっていた。

 突き立てた刃越しに、雷の魔力がポイズン・トードを内部から焼いたのだ。

 

 おおう。凄い威力だなこれ。

 

 生物を相手にするならこの武器は頼りになるな……。

 だが、思った以上にMP消費が多い。

 やはり3階級であるククリよりも、一つ上の魔法が刻まれているだけあるな。

 

 しかし、Lv的には、もう少し苦戦するかとも思ったが、案外平気だったな。

 この湿原に生息する魔物は毒を武器に使う種族が多いため普通の人間からしたらかなりの危険地帯だが、俺には奴らの毒が効かないので、普通の狩り場とそう変わらないだろう。

 しかもあの蛙の経験値はゴブリンやコボルトなんかよりも多い。


 当分この湿地で魔物を狩って生活するのもありだぞこれ……。

 いや。

 慢心はいけないな。

 あまり調子に乗って、またあの蟷螂みたいなのに出くわしても困るし。

 俺にとってこの場所は未知の領域なんだ。

 マシロもいる事だし慎重すぎる位の警戒をしながら進むとするか。

 

 とりあえず俺は、仕留めたポイズン・トードをギルドから借りた魔法の袋に入れると、更に奥へと進み始めた。

 依頼が終わる頃に、俺達がどれくらい強くなれてるか楽しみだ。

次回は6/27 18時更新

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