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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
3章 スケルトンの冒険者(Dランク)
27/60

25 勇者からの餞別

8/5 宿屋での宿泊代金を少し変更しました。同じく33話でも一部の値段変更をしております。

 冒険者登録を無事に終え、昼食の前に少しだけ依頼を確認してみる事にした。

 依頼を張り出している掲示板前には今も多くの冒険者たちが詰め寄り、それぞれが受ける依頼を決めると、依頼が書かれた紙を取り受付へと向かっていた。

 俺もそんな冒険者達に混ざり、依頼票に目を通す。

 どれどれ。


 ・薬草採取

 依頼者 ライムダール冒険者ギルド

 報酬 銅貨10枚


 ・ゴブリン退治

 依頼者 トリム村農民一同

 報酬 銅貨30枚


 なるほど。簡単な依頼だとこんな感じか。逆に高難易度だと……。


 ・キラーバジリスク討伐依頼(Bランク以上限定)

 依頼者 キシナルタ薬品店

 報酬 金貨20銀貨50枚銅貨30枚


 ・イビルアリゲーター討伐依頼(Aランク以上限定)

 依頼者 サルア皮製品店

 報酬 金貨70枚


 はぁー。

 名前からしてヤバそうな魔物の討伐系が多いな。

 だが報酬も多いな。

 高難易度は基本パーティ推薦の依頼だとも聞いたし、この辺を受けられるようになるにはまだまだ先の話だ。

 今の俺にはあまり関係なかったな。

 そのまま残りの依頼もざっと見回して一度その場から離れる。


 俺も依頼を受けてみてもいいのだが、今夜の宿も決まってないしそろそろ何か食べないともう1時間もしたら、人化の術の維持に必要な魔力が尽きてしまう。

 こんな街中でスカルウォーカーに戻ってしまったら大騒ぎだし、俺をギルドに紹介してくれた立川とナーシャさんにも迷惑がかかるからな。

 マシロも腹が減ってるようだし、このままさっきの屋台通りに飯を食いに行くとするか。




「おっちゃん。その串焼き肉を4つ」


「はいよ。銅貨8枚だ。毎度ー」


 冒険者ギルドを出て、再び屋台通りに戻ってきた俺とマシロは、とりあえず近くにあった屋台から串焼き肉を購入して食べ歩く。

 うん。塩だけのシンプルな味付けだけど旨いな。

 マシロも貰った串焼きに一心不乱にガッついている。

 今の串焼きの料金で、俺の手持ちが残り銀貨10枚と銅貨が7枚か。

 俺の持ってる現金はすべてあの遺跡で拾った冒険者達の遺品だけだ。

 少し罰当たりな気もするが、今更の話だ。

 早く今夜の宿を決めて、明日からは依頼を受けないと持ち金もすぐ無くなりそうだな。


 ちなみにこの世界の通貨は白金貨、金貨、銀貨、銅貨と種類がある。

 白金貨が金貨1000枚分。

 金貨が銀貨100枚分。

 銀貨が銅貨100枚分。

 となっている。

 白金貨は大商人や王国間での取引などで使われる通貨らしく一般ではほぼ見る事は無いらしい。

 まぁ金額が金額だし、そんなもの持ってても使える場所はあまり無いだろうからな。

 ちなみに銅貨は1枚でパンやリンゴが1つ買えるらしいから、地球でいうと100円位ってところだな。

 小さな店等は物々交換もやってるようだし、少なくとも魔物さえ狩れればその素材を交換なり換金したりして、食いっばぐれる事は無さそうだ。


「そこのお兄さん。よければ家のスープもどうだい?」


 串焼き肉をマシロと食べ歩きながら、この後の予定を考えていたらそんな声が聞こえてきた。

 そちらに目を向けると、体格のいいおばちゃんが屋台に設置してある鍋で何かを煮ているのが見えた。

 なんとも言えない食欲を誘う香りを感じ、足を運んでみる。


「旨そうな匂いですね。これは何のスープですか?」 

「こいつはマルセル貝と野菜をホーンボアのミルクで煮込んで作ったスープだよ。栄養もあって味も最高さ。一杯銅貨3枚だけどどうするかい?」

「シャアシャア」


 すかさずマシロが買えと俺に催促してくる。

 もう目が既に鍋に釘付け状態だ。

 これは食わせてあげないと絶対拗ねるな……。


「あー……いただきます。

 2人分いいですか? 1つは少し小さい皿でお願いします」

「あら可愛い子だね。

 この蛇も食べるのかい? ならそこの椅子を使っていいよ。歩きながらだとその子は食べにくそうだしね」

「すいません。じゃあお借ります。はい銅貨6枚」

「はい。ありがとねー。」


 銅貨を渡し、木の皿を2つ受け取りマシロと共にすすめられた椅子へ腰かける。

 並々と注がれたスープを見てみると……。

 見た目が思いっ切りクラムチャウダーだこれ。

 マルセル貝ってのがどんな見た目なのかはわからないが、こうして見るとアサリに近いか? 入ってる野菜は人参にジャガイモ、玉ねぎにセロリかな。

 さっそく一口飲んでみるが、出汁がきいてて、野菜の甘みと塩味が絶妙だ。

 一口サイズのマルセル貝も柔らかく量も多い。

 かなり熱々なスープだが、マシロの方も特に気にせず食べている。

 まぁマシロはブレスだって吐くしこれくらいの熱さなんか気にならないか。

 俺も熱いうちに食べるか。


 そんな感じで俺とマシロはまったりと昼食を終えた。


「御馳走様でした。皿はお返ししますね」

「はいよ。どうもありがとね。私は毎週ここで商売してるからよかったらまた来てくれよ」

「ええ。旨かったんで多分また来ますよ。

 あ。そうだおばちゃん。今日の宿を探してるんだけど、どっか安くて良い所ないですかね?

 出来ればこいつも一緒に泊まれる場所がいいんですが……」

「それなら、ここの通りから右へ行けば宿場街に出るから、そこにある白翼亭って店がおすすめかね。

 私の親戚の娘が一人でやってるんだけどね。良ければ利用してやっておくれよ。

 お兄さん冒険者だろ? なら冒険者カードを見せれば割引もしてくれるよ」

「いいね。早速向かってみるよ。ありがとおばちゃん!」


 屋台のおばちゃんから教えられた通りに道を進むと、程なく宿場街にたどり着いた。

 屋台通りとはまた違った人の多さだな。

 さまざまな宿屋が立ち並び冒険者や一般客への呼びかけをしてる物も見える。

 そんな中俺は、目的の白翼亭の名前が書かれている看板を見つけ、足を運ぶ。

 見た目はやや古びた宿屋だが、しっかりとした作りで外装もなかなかお洒落だ。

 中に入り、呼び鈴を鳴らすと奥から1人の若い女性がやってきた。


 やや垂れ目気味の瞳と、茶髪のショートカット。

 年齢は、今の俺の見かけとあまり変わらないんじゃないか?

 随分若いが、彼女がこの宿の女将だろうか。

 他に人の気配もないし、たぶんそうだ。


「はーい。いらっしゃいませ。お泊りですか?」

「しばらくこの街で冒険者として活動するので拠点にできる宿を探してたんですが、屋台のおばちゃんから親戚の娘がやってるからって、ここを紹介されたんだ」

「ああ。冒険者さんですか。

 成る程マーサ叔母さんからの紹介だったのね。

 あ。私はここの女将をしてるカリナっていいます。

 よろしくね冒険者さん。

 冒険者カードは当然お持ちよね? 見せていただければ料金を割り引きさせてもらうよ」

「じゃあこれを。

 しかし随分若い女将だな。

 君一人でやってるって聞いたけど」

「まぁね。2年前に両親が事故とで亡くなってね。だから私が店を継いだのよ。この世界ではよくある事よ」

「すまない……」


 地雷だったな。

 こんな年の女の子が一人でってのを少し考えたらわかっただろうに。


「気にしなくていいよ。慣れてるからさ。それよりはい。カード返すね? んー。君の冒険者ランクはDランクね。普通は一泊銅貨15枚なんだけど、冒険者の人なら割引して素泊で一泊銅貨10枚。朝と夜の簡単な食事付きなら銅貨18枚ね。あ、それか一か月契約でもいいよ? これは朝夜の食事付き。もし1ヶ月利用してくれるのなら、少しおまけして今なら銀貨5枚にしておくけど……どうする? 料金は前払い制ね」


 銅貨10枚ってたしか薬草採取の報酬がそれ位だったよな。

 なら最悪食料さえ自力で調達すれば寝る場所に困る事はないかな……。

 でも銀貨5枚で朝夜の食事付が1ヶ月か……。

 屋台で毎日買い食いしながらの素泊まりを繰り返すよりはマシかな。


「じゃあ1ヶ月で」


 今の持ち金は銀貨10に銅貨1だからこれで残りが銀貨5と銅貨1。

 現在の所持金の半分が宿代で飛んだな……。

 まだ少し余裕はあるが、早く依頼をクリアして稼がないとな。


「あら。意外と持ってたのね? 1ヶ月月契約なんて久しぶりだわ。正直家って他の宿屋に比べたら特に優れてる場所って訳でもないから。恥ずかしながらお客さんなかなか来てくれなくってさ。今も家に泊まってるのは長期利用の2人だけだし……。だから君が来てくれて助かったよ。紹介してくれたマーサ叔母さんに感謝ね。じゃあこの宿泊帳に名前の記載をお願いね。そしてその蛇は従魔よね? 一応魔物用の納屋もあるんだけど、その子は小さいから一緒の部屋でもいいわよ」

「ありがとう。それじゃ世話になるよ」

「シャー」

「君の部屋は二階の突き当りね。食事は毎日朝と夜に声をかけてくれたら作るから。そこの食堂か部屋で食べてね。それではどうぞごゆっくり」


 カリナから部屋の鍵を受け取りそのまま二階の教えられた部屋へと入る。

 広さは ベッドが1つに小さなテーブルと椅子が1つずつ。

 あとはクローゼットが1つか。

 シンプルな内装だが、これくらいの方が俺からしたらちょうどいい。

 俺はとりあえず変幻の指輪を取ると、部屋のドアにカギをかけて、ベッドへと腰かける。

 マシロも今はベッドの上でくつろぐように体を伸ばしていた。


 冒険者登録は無事に終わったし、1ヶ月間泊まれる場所も確保した。

 いつまでこの街にいるかはわからないが、明日からは街の周囲の探索もかねて依頼を受けないとな。


 問題があるとすると、俺が戦う時はスカルウォーカーの姿だ。

 なので、人に見られるわけにはいかない。

 いずれは人化した姿のまま戦えるのが理想なんだが、今は魔力量の関係でそれは無理だ。

 なので人があまり来ないような場所の討伐依頼や薬草採取系が無難だろうか。


 実は、ギルドの依頼を流し見してた時に、既にある依頼に目星をつけてはいる。

 明日ギルドに行ってその依頼が残ってるならば、やってみるか。


 さて。今日この後の予定はで実はもう一つやる事がある。

 それは立川が餞別として渡してくれたこの魔法の袋。その中身の確認だ。


 魔法の袋を取り出しその中身を漁ってると、すぐに目的の物が見つかる。

 立川が書いてくれた、収納品のリストだ。

 王国から抜け出す時に作った魔道具や旅をしてる時に見つけた物が詰め込まれてるって言っていたが、はたして何がでてくるかね?

 リストを見ながら、袋から次々に物を取り出して中身を取り出しては確認していく。


 ・武器類

 数はあるが殆どが鉄と青銅製だな。

 ナイフもけっこうあるな。

 これは投擲用としても使えるか。

 おっ魔道具の武器だ。数は3つか。

 弓と杖そしてこれは……短剣か。

 短剣は魔法剣の分類って立川が言ってたが、とすると残りは魔法弓、魔法杖って所か?

 まぁ、俺が使うとしたらこの短剣だけだろう。

 残りはまだ保留だな。

 いずれ使うかもしれないし。

 詳しい効果は明日の討伐依頼で実際に試して確認してみるか。


 ・防具類

 武器と違ってこっちは少ないな。外套が2着か。あとは衣服が少し。これは防具じゃなくって普通の服みたいだ。

 まぁ立川的に鎧で武装するのは戦闘スタイルに合わないからこんな物だろうか。

 外套は赤色の物が1つと緑色の物が1つ。

 こちらにはメモが張り付けてあり、両方とも魔物の素材で作られた物である事が書かれてるが……。

 何々……。

 赤い方は火蜥蜴の外套か。

 火蜥蜴サラマンダーの皮を鞣して作られており、その特性上外套の内部に熱を通さないようにできてるらしい。

 主な使い道は火山地帯等で身を守るた為の物だそうだ。

 これは便利だな。

 緑色は……なんだこれ。

 幻影の外套?

 幻影影豹インビジブルパンサーって魔物の毛皮から作られてるらしく、なんでもこれを被って魔力を通すと、周囲の風景に溶け込んで着用者の気配を隠してくれるらしい。

 カメレオンの擬態みたいなものだろうか。

 だとしたらこれ、かなり凄い魔道具なんじゃないか?

 むしろ、周囲に溶け込める能力を持った豹の魔物を狩れる立川が凄い事なんだろうが、あの人の強さも大概だからな……。

 


 ・魔道具

 流石は魔道具創造スキル持ちの勇者様だ。

 色々入っている。

 その中でも特に目を引くのが立川が城を爆破するのに使ったこの魔道式時限爆弾か。

 大きさは片手で持てる位小さな正方形の箱。

 だが、これの説明には、魔力を通す量で威力調整をするらしく、時間は起動後1分後に爆発するらしい。

 最大威力では建物一つわ吹き飛ばすのも可能だと書かれてるしかなり注意して使わないといけないものだな。

 また、これを作るときに余った爆破の呪術が刻まれてる魔石も一緒に入っていた。

 これもまた、魔力を通して投げつければ手榴弾みたいに使えるとの事。ただし1分後に爆発するのも変わりないようで、これの扱いは更に悩みそうだな。

 何かに使えないだろうか……。

 とりあえず、この危険物はしばらく封印だろうな。

 残りは細い筒状の魔道式スモークグレネードが10個。

 これは無害の白い煙幕を吐き出し続けるだけの代物みたいだ。

 大型の魔物なんかに出くわしたら、逃走用に使うのがいいかもな。

 他には、魔力を込めると空気中の水素を集めて水を作り出す水筒や、付着した汚れがすぐに乾いて剥がれ落ちる布、等々。

 この辺はどれも使い勝手がいいな。

 野営する時にも使えるし、武器の手入れにも使えそうだ。


 ・食糧

 これは調理品っていうより食材がほとんどだな。

 それ以外は保存食が多い。

 具体的には干し肉に黒パン。固いビスケット等か。

 どこかで調理してそれを保存した方がいいかもしれない。

 自炊は前世で一人暮らしが長かったので問題ないだろう。

 そうなると調味料とか調理器具を近々買に行かないとな。

 

 ・地図や書物

 おお。これはこの世界の地図か!

 世界地図ではなく、売っていた国とその周囲を記した物が複数枚入っていた。

 地図の他にも、魔物の生態を記した本やら魔道具についての本等が数冊入っていた。

 これは嬉しい。

 魔力操作の鍛練中のいい時間潰しになるな。

 早速今夜から色々読み進めてみよう。



 一通り取り出して確認してみたが、やはり数が多い。

 これだけの量の物資を仕舞えるなんてこの魔法の袋ってのはすごいな。

 しかもまだまだ容量もあるようだし、今後は仕留めた魔物を解体してもらうために、これを使って持って帰るのもありだろう。


 取り出した物資を全てしまうと、時刻はすっかり夕暮れ時だった。

 この宿に張ったのが昼過ぎ位だったのを考えると、随分熱中してたようだ。

 そういえば夕飯は女将のカリナに声をかければ準備してくれるんだったか

 

 変幻の指を装備して人化を発動。

 そのまま隣で寛いでいたマシロに声をかける。


「マシロ。晩飯食うか?」


 ぴくり。

 声をかけられたマシロは飯と言う単語に明らかな反応を示して、体をするすると器用に登ってくる。

 今までぐっすり寝ていたのに、元気な奴だな。

 そんなマシロの様子に苦笑しながらも、夕飯は一体何が出るのかなと若干期待してしまったのは仕方ない事か。

 ドアの鍵を外し、夕飯の注文をするために俺達はそのまま部屋を出て1階へと降りていった。

次回は6/26 18時予定

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