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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
3章 スケルトンの冒険者(Dランク)
26/60

24 冒険者登録

しばらく毎日更新します。

7/12 誤字修正&加筆修正。主にランクアップの条件とギルドカートについて一部追加。

 街道沿いの近くで一晩を明かした翌朝。

 マシロが目覚めると再び街道を歩きだす俺達。

 昨日のレべリングで俺とマシロも多少Lvが上がった。

 もう少し稼いでもいいが、この世界の街ってものを早く見てみたい気持ちもある。

 なので今日は寄り道せずに、ライムダールへと真っ直ぐ進む事に。

 

 そうしてどれ程歩いたことだろう。

 時刻は昼を回る頃。ついに遠くの地平線に、煉瓦で作られた高い壁が見えてきた。

 恐らくあれは街を守る防壁だろう。

 まだ遠いが、ぽつぽつと出入りしている人影も見える。

 間違いない。あれがライムダールの街だ。

 それを確信した俺は、首に巻き付いているマシロを落ちないように支えてやり街道を走った。



「街へ入りたいんだが。入り口はここであってるか?」


 俺は街を守る防壁の一部に設置されていた大きな門の前まで行き、そこを守っている門番へと話しかける。


「ああ。あってるぞ。見ない顔だが冒険者か? ん? 変わった蛇を連れてるな。お前の従魔か?」


「ああ。この蛇は俺の連れだ。かなり賢いから人を襲うような事も無い。この街へは冒険者登録をするために来た」


「ほぉ冒険者志望か。若くていいな。俺もお前位の歳にそういった経験もあったもんだ。精々がんばれよ坊主。ただしライムダールへ入るなら、悪いがちゃんと通行税を払ってもらう必要がある。 銅貨5枚だ」


 坊主と言われて一瞬子供扱いするなとも思ったが、俺の人化した時の姿は日本に生きてた時とはまるで別物だ。

 外見からみると18位の俺の姿は確かにこの門番からしたらまだ子供に見えるだろう。


(わかってはいるが、中身はもう27なんだがなぁ……)


 やや複雑な気持ちになりつつも、俺は財布代わりの小さな皮袋から銅貨を5枚取り出して衛兵に渡す。


「確かに。ようこそライムダールへ。問題は起こすなよ?」


 銅貨を受け取った門番は頷き、そのまま進めと言ってくる。


「ついでに聞きたいんだが、冒険者ギルドへはどう行けばいい?」


「ああ。冒険者ギルドはこのまま真っ直ぐ大通りを進んだ先にある。大きな木造の建物だ。赤い屋根で目立つからすぐわかるさ」


「この先真っ直ぐか。助かった」


 俺はその門番に礼を言うと、そのまま教えられた通りに大通りを進む。

 ライムダールの街は思ってたとおり、昔本で見た中世ヨーロッパの街並みによく似ている。

 大小様々な家が立ち並び、人の数もかなりの物だ。

 街の様子をマシロと物珍しく見回しながら進んでいると、ふと頭に獣耳を生やしてる男が見えた。

 それを思わず二度見。

 その男はいかにも冒険者という感じで、背に馬鹿でかい斧を背負っており、その頭には熊のような耳が生えていた。

 あれってひょっとして熊の獣人か? やっぱいるんだな獣人……。

 流石このリングラッドはファンタジー世界だ。

 しかしどうせ見るなら、あんなおっさんより可愛い女の子の獣人を見たかったと少し思ってしまったのは仕方無いと思う。

 そのままじっと見てても仕方ないので、その男から視線を外し再び街を歩く。


 今歩いてるここは、丁度冒険者相手の屋台が多い場所の様だ。

 いろんな屋台から肉や魚の焼ける匂いがする。

 そんな匂いに釣られて、マシロがひょっこりとローブから顔を出す。

 きょろきょろと屋台を見回し、さっそく何か買ってくれとねだってくる。


「腹減ってるのは分かるが、せめて冒険者ギルドで登録が終わるまで待てって」


「シャー……」


 マシロは未練がましく屋台を眺めていたが、俺がそう言うとしぶしぶといった様子で返事をしてきた。

 そんなマシロを軽く撫でてやりつつ屋台通りを更に進むと、ようやく目的の建物と思える物が見えてきた。

 あれが冒険者ギルドか。


 その建物は門番に聞いていた通り赤い屋根が特徴的な木造3階建ての建物だ。

 入り口付近には大き目の看板があり、そこには剣を掴む鳥が描かれている。

 これがこの世界の冒険者ギルドのマークか?

 そのまま入り口の方へと向かい、ドアを開く。 

 いよいよ今日から、ここで俺も冒険者としての一歩を踏み出すのか。

 そう考えると、やはりなんとなく、わくわくしてしまうのは仕方ない事だ。


 ギルドの内部はどうやら1階が酒場になってるようだ。

 入った瞬間に酒と煙草の臭いが鼻につく。

 店内を見回してみる、テーブルには沢山の人間がいて、見た感じ仕事を終えた者、パーティを募集する者、報酬の分け前を話し合ってる者、普通に食事を楽しんでいる者。

 まだ明るい時間だが、この酒場にはかなりの数の冒険者達で溢れていた。

 今もひっきりなしに酒や料理の注文が殺到してるようで、その品を複数のウェイトレスが運んでいる状態だ。

 しかし、この酒場を見回してみても特に冒険者登録の手続きをしてくれそうな場所が見当たらない。

 ここじゃないとすると、上の階か?

 ちょうど近くを通りかかったウェイトレスがいたので、訪ねてみると、冒険者ギルド本部は2階にあるらしく、冒険者登録や依頼を受けるのはそちらで手続きをするものらしい。

 俺はそのウェイトレスにお礼を言い教えられた階段へと進む。

 そのウェイトレスは、去り際にがんばってねと可愛らしくウィンクしてくれた。

 なかなかの美人だったなぁ……。

 なんて考えてたらマシロが肩に噛みついてきた。


「いってぇ!? やめろこらマシロ! 飯ならもう少ししたら食わせてやるから!」


 なんかマシロの機嫌が悪いな。

 早く登録を済ませて飯にしてやるか……。


 2階へと上がったところ、雰囲気ががらりと変わる。

 1階の酒場は騒がしい印象だったが、2階は静かなオフィスを思わせる作りだ。

 役所のような窓口がいくつかあり、そこにいる受付嬢がそれぞれの相手に対応している。

 中央には大きな掲示板があり、そこに文字の書かれた紙が乱雑に張り付けてある。

 あれが依頼だろうか?


 どんな依頼があるのか気にはなるが、先ずは冒険者登録をしてからだな。

 とりあえず一番近くのカウンターへ行き、そこの受付嬢に要件を話す。


「冒険者の登録をしたいんだけど、ここで合ってますか?」


「はい。こちらであってますよ」


 どうやら正解だったらしい。

 話しかけた受付嬢はプラチナブロンド色の髪をしたポニーテールの女性。

 白いフリルをあしらった赤色の制服を着ている。

 かなりの美人だ……。

 ナーシャさんも相当な美人だったのを考えると、やっぱりギルドの受付嬢って容姿のいい人を優先して採用してるのかもな。

 

 声をかけられた受付嬢は、俺に微笑んでから、その中から1枚の書類っ羽ペンを手渡してきた。


「登録でしたらこちらの書類へ記入をお願いします。すべて埋める必要はありませんし、わからない個所は聞いていただいて結構です」


 俺は渡された書類に目を通す。

 ざっと見た感じ記入する項目は名前、出身場所 年齢 魔法の適性 従魔の有り無し 紹介状の有り無し。

 こんな感じだ。

 とりあえず名前と年齢。それと従魔登録と紹介状持参。こんな所か。

 年齢は悩んだが18にしといた。この見かけで27って書いても信じてもらえないだろうしな。

 魔法は使えないし書かなくていいか。


「ではこれを」


「はい。ジェイドさんですね。年齢は18歳。あら出身地は書かれてないんですね……。まぁ別に珍しい事でもないですから大丈夫ですよ。それに従魔ですか。名前はマシロですね。確認の為に見せていただいても?」


「分かりました。マシロ。出てきていいぞ」


「シャア」


 俺の声に反応して、マシロがひょっこりと肩口から頭をのぞかせる。


「まぁ。この子は小竜蛇ですか? 人に懐きにくい種族ですがよく懐いてますね。それにこの色……希少個体ですね」


「問題ないですか?」


「はい。とても大人しいですし、ジェイドさんの言う事も聞いてるようなので特に問題ないですね。

 それと紹介状をお持ちということですのでも、そちらも拝見してもよろしいですか?」


「はい。これです」


 俺は魔法の袋からナーシャさんに書いてもらった紹介状を取り出すと、受付嬢に渡す。

 受け取った受付嬢は中身を確認すると、かなり驚いた表情をしていた。


「あら。これは……ナーシャ先輩の物ですか! わぁ! 先輩元気にしてるのかな?」


どうやら彼女はナーシャさんとは知り合いだったようだ。


「ええ。とても元気だったと思いますよ。夫婦仲も良いようでしたし」


「そっか。いいなー結婚。私もしたいなー。……あっ。し、失礼しました」


 紹介状を見て言葉が砕けた感じになったが、これがこの受付嬢の素なのだろうか。

 個人的にはこっちの方が好みだが。

 ただやはり、凛とした態度を崩してしまったのが本人としてはやや恥ずかしかったのか、その頬は若干赤らんでいた。


「こほん。えっと、ナーシャ先輩は私が受付嬢をする時に色々教えていただいて大変お世話になったんですよ。その縁もあって、ご結婚されて受付嬢を辞められる時に私がその席に収まったんです。懐かしいですね」


「ああ。ナーシャさんの後輩さんなんですね」


「ええ。申し遅れました。私はここライムダール冒険者ギルド支部で現在受付嬢をしているルミナと申します。ジェイド君もこれから冒険者になるのなら、お付き合いする回数も増えると思いますので、どうかお姉さんの事覚えておいてくださいね?」


「はい。よろしくルミナさん」


 なんだか少しだけ年下の子に言い聞かせるような口調になったが、俺は年齢を18と記載してるし、見た感じ彼女の方が年上に見える。

 まぁこの辺は仕方ないか。

 地味にさんづけから君付になってるがこれも気にしたら負けかとスルーすることにした。


「では登録へ移りますね。本来ならここで冒険者に必要な戦闘能力のチェックをするんですが、紹介状を見る限り、ジェイド君は既に魔物との戦いも経験しているとの事ですね。あのタチカワさんから見ても問題無いと書かれてますしこのまま登録させていただきます」


「お願いします」


 ルミナは俺の書いた書類と紹介状を受け取ると、カウンターの横に置いてあった丸いガラス玉のような物に触れる。

 触れた瞬間にそのガラス玉は淡く発光し、ルミナはそのまま先ほどの紹介状と書類をかざすようにガラス玉に向ける。

 するとその隣にあった小さな機械から一枚のカードが出てきた。


「こちらがジェイド君の冒険者カードですね。紛失した場合は再発行に銀貨1枚かかってしまうので注意してください」


 そう伝えると、ルミナは出てきた茶色のカードを手渡してきた。

 これが冒険者カードか。

 随分小さいな。前世で言うと名刺くらいのサイズだ。

 名前や年齢。あと従魔であるマシロの事が裏に表記されている。

 さらに、驚いたのが、カードに触れた時に、追加で俺の現在のレベルが表示された事だろうか。

 ステータス閲覧を持つのは勇者だけって話だし、普通の冒険者達は、このカードで自分のレベルを確認するのか……。

 

 レベル以外の情報はすべて俺があの用紙に記載した通りだな。

 なら、あの機械から出てきた時には、既にこの情報が刻まれていたって事か?

 

 多分、あのガラス玉と機械は魔道具か。

 多分あのガラス玉で読み込んだ情報を、あの機械がカードに刻み込むんだろうな。

 コピー機みたいだ。


「これが冒険者の証?」


「はい。今後街に入るときにこのカードを見せれば通行税を払う必要もないですよ。冒険者は依頼によって世界を回りますから、こういう制度になってます。冒険者カードやランクについてはご存知ですか?」


「いえ。聞いても大丈夫ですか?」


「ではご説明いたしますね。まずランクについてですが、ランクは全部で6つの階級に分かれていて、一番下からEランク、続けてDランク、Cランク、Bランク、Aランク。そして最後に一番上のSランクと続いてます」


「なら、俺は今日登録したばかりだからEランクって事ですね」


「いえ。ジェイドさんの場合は試験を受けなくていいので実質Dランクからスタートです」


 どういうことろう?

 そんな俺の疑問が伝わったのか、ルミナは更に説明してくれた。


「Eランクの依頼は、本来冒険者としての入試試験も兼ねていまして、薬草取りやゴブリンの討伐等の簡単な依頼が多いんです。紹介状が無い方は、ギルドの役員が一人その依頼について行き冒険者として適正があるかどうかを見極めてからの採用となります。でもジェイド君は既に魔物と戦う十分な力をもってるとタチカワさんとナーシャ先輩からの紹介状に書かれてますので、これは免除です。ちなみにDランクにも同じような依頼はありますが、こちらは指定された薬草がより貴重な物であったり、討伐数が多かったりと難易度は上がっています。同じような依頼だからといって油断しないよう。依頼を受けて期限までに間に合わなかったり、依頼続行が困難とみなした場合は当然失敗となります。失敗した場合は当然違約金も発生してしまうので、自分に合った依頼をしっかりと見極めてくださいね? 一応依頼を受ける時は私達の窓口で手続しますので、困難な場合や注意事項がある場合は、その都度伝えますのでご安心を」


「わかりました。では、ランクを上げる方法は?」


「ランクはその冒険者が一定の活躍をしたとギルドに判断されると、昇格試験を受ける事ができます。その試験を無事に合格すれば次のランクに上がれます。評価基準は、依頼の成功回数や、持ちこんだ魔物の素材の買い取り代金。成果を認められて昇格試験を受けられるようになったら、私達ギルドの方からご案内をいたしますのでご安心してください。ちなみにランクを上げるメリットは、より高度な依頼を受けれますし、ギルド提携の武具商店や宿等での割引率が上がったり、後は、ダンジョンへの入場もランクによって制限がかかってるので、それも徐々に解除されていきますね。特に、危険と収穫が共に大きいダンジョンを攻略するのには、それ相応のランクが必要なります。ダンジョンに挑戦するには最低でもDランクは必要で、そのDランクで挑めるダンジョンも、現在1つだけですからね。これは、あくまでも現在ライムダール周辺で発見されてるダンジョンかつ、未攻略って意味ですけど。この迷宮は上層にはあまり強い魔物も出ないので、新人冒険者さん達の修行の場として使われています。より多くのダンジョンへ挑みたいのでしたら、ランクを上げるしかないですね。結構一気に説明しちゃいましたが、理解していただけました?」


「はい。大体分かりました」


「では私からの説明は以上ですね。他に何かご不明点はなかったですか?」


「大丈夫です。また何かあったら聞きに来ますので」


「はい。お待ちしてますね。あ。それともし魔物の解体や素材の買い取りが希望でしたら奥のカウンターの方へお願いしますね」

 

 そう言ってルミナが奥にある受付を指差したので、そちらを見てみると、顔に傷がある強面のおっさんがちらりと俺達を見ていた。

 なんか魔物の解体っていうより人間解体してそうな位の迫力ある人なんだが……。

 まぁ魔物の素材は高値で取引される物らしいし今後利用することもあるはずだ。

 いずれあの人とも話す時が来るだろう。

 話してみると案外フレンドリーって事もあるかもしれないしな……。


「あっちの方ですね。わかりました。随分貫禄ある人がいますがあの人が解体担当なんですか?」


「いいえ。あの人はあくまでも解体の方の受付さんです。少し見かけは怖い人ですが、良い人ですよ? では改めまして、ようこそ冒険者の世界へ。頑張ってくださいねジェイド君」


 そう言って俺に微笑んでくるルミナ。

 受付嬢をやってるだけあって、その辺の男ならこの笑顔でころっと落ちてしまいそうな破壊力だ。

 まぁ、当然俺もその一人だが。

 というかこの世界の女性は美人が多いからな。

 これは男なら仕方ないと思う。

 立川も言ってたが、こういう異世界美人が多いから召喚された勇者の殆ども帰りたがらないってのは納得せざるを得ない。

 こんな美人は、元の世界で探してもそうそう会えるものではないしな。



 とりあえず無事に冒険者登録も終わった。

 マシロと屋台で昼飯を食いに行きたいが、その前に気になっていたし、少しどんな依頼があるのか見てみるか。

次回は6/25 18時更新

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