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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
3章 スケルトンの冒険者(Dランク)
25/60

23 ライムダールへの道中

7/12 加筆修正しました

 ライムダールの街を目指し、俺とマシロの二人は北東へと進んでいた。

 ライムダールは立川達が住んでいた開拓村から、徒歩で約1日の距離だそうだ。

 もっともそれは普通の人間が歩いた場合であり、疲労なく歩ける体をしている俺ならば、夜通し走ればもう少し早くつけるかもしれないが。

 だが道中には、一応魔物も出現するらしく、夜通し行動するのは魔力量的にも危険かもしれない。

 ならば、ここはライムダールに着くまでにマシロと俺のレべリングをするのも悪くないだろう。

 そのため、今も歩きつつ、生命探知を発動して、手ごろな相手がいないかを探している。



 ――見つけた。

 少し道は外れてしまうが、この先東に少しずれた場所に複数の魔物の反応がある。

 立川から習った魔闘法だってまだ使いこなせてる状態でも無い。

 ここで戦い、少しでも経験を積んでおきたいところだ。

 俺は一度変幻の指輪を外すと、魔法の袋に入れスカルウォーカーに戻る。

 すると、戻った瞬間にマシロはすかさず俺の肋骨へ潜り込んで、体を巻きつけてきた。

 マシロはやっぱりここが一番気に入ってるようだ……。

 まぁ、戦闘中もずっと抱えてやるわけにもいかないし、ここなら動きの邪魔にもならないからいいだろう。

 それじゃ少し鍛錬しに行くか。

 さて。この先には一体何がいるのかね?


 街道から少し外れ、森とも呼べない木々の疎らな場所に、そいつらはいた。

 それを見つけた瞬間俺は、思わず顔を顰めてしまった。

 もっとも今の俺はスカルウォーカーだから見かけの上では変化が無いだろうが。

 しかしマジかよ。

 よりによってお前達か……。


 生命探知に引っかかっていた魔物の正体。それは複数のスライムだ。

 数にして7匹。


 どうやら、やつらが集まっている場所に、何かの魔物の死骸があるようで、それに7匹のスライムが集りジュルジュルと不快な水音を立て何かを取り込んでいた。

 スライムの体には、かつてその魔物の物だった目玉やら内臓やらが、まちまちに浮いているのが見え俺は一気に不快感を覚える。


 しかし、相変わらず気持ち悪い魔物だな……。

 いずれも前に戦ったアシッドスライムとは色が違うようで、アシッドスライムは茶色に近い多色だったものが、こいつらは薄い青色をしている。

 大きさも、アシッドの方は人間の子供位のサイズだったが、こいつらは精々その半分位しかない。

 別種かはたまた環境によって色や大きさが変わる物なのかは分からないが、相変わらずその進む速度は非常にゆっくりとしたもののようだ。

 思い出すのは、あの森で出会ったアシッドスライムとの戦い。

 あの時俺は、奴を倒せはしたが貴重な武器であるナイフを1本失った上に、倒してもLvアップしかなったのだ。

 それが偶々だったのか、それとも単純にスライム系は経験値そのものが低い魔物だという可能性もあるが……。

 どっちにしろ今回は無視でいいかな。

 また戦ったとしても武器を痛めるだけだろうし……。

 ここはさっさと街道に引き返して、ライムダールへと急いだ方がいい。

 別にLvを上げることは冒険者として仕事をしながらでもいいんだし。

 可能ならやっとこう位の気持ちだったしスライムの相手をして、武器の消耗が早まるなら逆にマイナスにしかならない。


 相手がスライム系の魔物のため、すでに俺の中ではこのまま撤退が決定しかけていたのだが、マシロはどうやら逆にやる気のようで、俺に狩りをしていいかと訴えるてきていた。


 マジかよマシロ。

 あいつら動きは遅いが、かなり面倒だぞ? コアを攻撃しないといくら攻撃してもダメージ無いっぽいし。

 しかもあのスライムの大きさはやや小ぶりだといっても、マシロよりは大きい。

 万が一取り込まれてしまったら危険ではないだろうか?


 しかしマシロは一向に引く気が無いようで、こっちをじっと見て俺の指示を待っている。

 まぁ、確かにマシロのLvはまだ1のままだ。進化してからはあの吸血鬼ローガス位しか碌に戦ってない。

 このままLv1のままよりは、今こいつらを狩って少しでもLvを上げたほうがマシロのためにはなるか?


 仕方ない。

 ステータスを確認して危険が無さそうなら行かせてみるか。


[種族]  スライム

[状態]  通常

[ランク]  E

[Lv]   5/10 

[HP]   20/20

[MP]   30/30

[攻撃]   22

[防御]   65

[魔法攻撃] 25

[魔法防御] 18

[素早さ]  5

[所持スキル]

 酸弾 分裂 増殖 


[種族]  スライム

[状態]  通常

[ランク]  E

[Lv]   2/10 

[HP]   17/17

[MP]   33/33

[攻撃]   18

[防御]   60

[魔法攻撃] 23

[魔法防御] 15

[素早さ]  3

[所持スキル] 

 酸弾 分裂 増殖 



 なんだ? こいつらが通常種のスライムなのか?

 ランクも低いし、前に戦ったあのアシッドスライムの方が強いな。

 Lvは2の奴が5匹とLv5の奴が2匹か。


 スキルも特に変化はなさそうだし、今のマシロなら手頃な相手ではあるかもしれない。

 本人もやりたがってるし、これなら少しくらい試させてやってもいいか。

 それに、もし危なくなったら俺が助け出しせばいいしな……。

 当然俺はこいつらの相手をするのは御免だから、そうなった場合はマシロを回収してさっさと逃げるが。

 そう決めて、結局俺はマシロにスライム達の相手をさせてみる事にした。


 だがマシロがスライム達に仕掛けるより前に伝える事がある。

 俺は、魔法の袋から再び変幻の指輪を取り出し人化の術を発動させる。

 俺の考えを正確にマシロに伝えるためだ。


 マシロはかなり賢い魔物で、今までも俺のやってほしい事を合図すると、それを理解して行動してくれる所があった。

 だが、流石にそれだけでは限度がある。

 エミリアとの触れ合いで、人間の言葉を理解している節があったし、ここは直接俺が話しかけた方がより伝わりやすいのではないだろうか。


「いいかマシロ。相手は動きがかなり遅いスライムだ。

 だが万が一奴等にお前が捕まりでもしたら、命に係わるかもしれない。

 だから俺はここで様子を見て、お前に危険が迫ったら、助けに入ってそのまま逃げるぞ?

 俺はあいつらの相手をするのはごめんだからな。

 あー……。俺の言ってる事の意味は分かるか?」


 話しかけてなんだが、本当にマシロに伝わったかなと心配するも、マシロは俺を真っ直ぐ見つめて一言シャアと鳴いた。

 どうやらちゃんと理解してくれているようだ。


「シャアァ。シャシャァ!」


 俺の方を向いて何かを伝えようとしてくれてるようだが、流石に蛇の言葉は俺にはわからない。

 だが警戒してる様子ではないからたぶん、頑張ってくるとでも言ってるのかもしれない。


「じゃあ行って来いマシロ。気をつけてな」


 そして木々の隙間からスライム目掛け飛び出したマシロは、そのままするすると地面を這うようにスライム達へ接近する。

 スライム達もマシロに気づいたようだ。

 食事をやめて、ゆっくりとマシロを包囲するように辺りに広がり始める。


 マシロが一番手前のスライムへ近づくと、そのまま大きく息を吸い込んだ。

 どうやらブレスメインで戦うらしい。

 確かにあの体にはマシロの牙による攻撃の効果は薄そうだ。

 ならば、ブレスを主体にした方が、スライム相手では効率的だろう。


「シャア!」


 気合と共にマシロの口から炎のブレスが吐き出される。

 射程こそ短いが、その炎の温度はなかなかのものだ。

 さてスライムに対しての効果はいか程か……。


 --ごぉぉぉ!


 そんな音をたて、マシロの炎を受けたそのスライムは、体を一瞬で炎に包まれその核を残して消滅した。

 余りに一瞬で燃え尽きて、何が起こったのか理解が遅れる。


「……はっ?」


 思わずその光景に、俺の口から間抜けな声が漏れたのは仕方ない事だと思う。


「シャアア!」


 続けてマシロが更にブレスをスライムに浴びせて、もう一匹のスライムもまた炎に包まれ、コアだけを残して焼け落ちる。


 あれー……。

 予想ではもう少し苦戦すると思ったんだが、結果はマシロの無双状態である。

 これ俺の助けいらないわ……。


 しかしおかしい。

 確かにマシロのブレスは火属性のようだが、いくらなんでもあそこまでの威力が出るとは考え辛い。

 これってあのスライム達が燃えやすい体質をしているって事か? それとも取り込んでる餌によって体質が変わる? 可燃性物質でも取り込んでたのか?

 俺はてっきりスライム達の体のはほとんどが水分だと思い込んでたけど、実はまったく別の物質なのかもしれないな。

 まぁどっちでもいいか。

 あのスライム達は一瞬で炎に包まれて、そのまま蒸発するようにコア以外が消えている。

 特に火が周りに燃え広がるような事も無さそうだし、こうして楽に倒せる方法が見つかったのだ。

 俺としても文句は無いさ。


 結局その後も残った全てのスライムをマシロはブレスで焼き払い続け、それが終わったら、欠伸を一つして俺の元にゆっくりと戻ってきた。

 どうやら本人もあっけなく勝負がついて退屈だったようだ。  

 それよりも今気になるのはマシロのLvだ。

 一方的な戦いになったが少しは上がったかな?


[名前]  マシロ

[種族] リトル・ドラぺント

[状態]  通常

[ランク]  D

[Lv]   4/15

[HP]   73/73

[MP]   38/38

[攻撃]   49

[防御]   37

[魔法攻撃] 29

[魔法防御] 26

[素早さ]  52

[所持スキル] 

 噛みつきLv2 毒牙Lv2 ブレスLv2

 鱗強化 夜目

[ユニークスキル]

 突然変異Lv2


 おおっ!

 思ったより上がってるじゃないか。

 しかもブレスのLvも強化されてる。


 スライムはマシロにとって退屈な相手かもしれないが、安全に経験値を稼げる魔物みたいだし、今後もスライム系の魔物の相手はマシロにお願いしようかな。


 その後も生命探知を頼りにライムダールへ向かいながら、近くにいるスライムやコボルト等をマシロと共に狩りつつ俺達は進む。

 スライム系はすべてマシロに任せ、それ以外の魔物は俺が魔闘法を使いながら倒していく。

 やはり、まだまだ立川が使ったような動きは出来そうにないな。

 これからも意識して時間がある時は、魔力操作の修行も続けていかないと。


 そういった寄り道をしてるのもあって辺りはすっかり暗くなってしまった。

 マシロも戦い続きで疲れているようで、今もかなり眠そうだ。

 今日はこのまま休ませてやった方が良いだろう。

 付近を見回し、ちょうどいい切株があったので、そこに腰を下ろす。

 

 魔力の回復もしておきたいし、食事でも取るか。

 変幻の指輪を使って人化の術を発動。

 俺は姿を変えると、魔法の袋からハムとトマトのサンドイッチを取り出す。

 これは村から旅立つ俺達の為に、ナーシャさんが持たせてくれていたものだ。

 取り出したサンドイッチを一口頬張ると、今まで眠そうにしていたマシロがピクリと反応する。

 どうやら、眠くても食欲はしっかりあるようだ。

 仕方なく、更にマシロの分のサンドイッチも取り出して目の前に差し出す。

 すかさずマシロが、そのサンドイッチに食いついて凄い勢いで咀嚼し飲み込む。

 よっぽど腹が減ってたみたいだな。


 立川の家にお世話になってる間、マシロはずっとエミリアと食事を共にしていた。

 それ以前は生肉しか食べている所を見たことが無かったが、マシロは雑食らしく、立川家では野菜や果物でも普通に食べていた。

 しかも、ナーシャさんの作る料理の味をえらく気に入ったらしく、今では俺が何か調理したものを食べていると、じっと見つめて催促してくるくらいだ。

 こうして見るとマシロって蛇というよりも犬みたいだよな。

 でも人間の食べ物って動物には塩分等が多すぎて逆に毒だって聞いたが、まぁマシロは魔物だし体はかなり丈夫なんだ。

 多分大丈夫だろう。


 などと考えてる間にサンドイッチを既に平らげたマシロがおかわりを要求して俺の食べてるサンドイッチをじっと見つめてきていた。

 マシロはすっかり人間の料理の味にハマったようだ。

 俺の分の半分を更に与えるてやると、尻尾を器用に振りながら、かわいらしくお礼を言ってくる。

 

 現金な奴だなお前は……。

 

 まぁ、今日はマシロが大活躍だったんだ。

 これくらいの贅沢はさせてあげてもいいだろう。

 食事を終えると、欠伸をしマシロがその場でくるりととぐろを巻いて目を閉じる。

 そんなマシロを軽く撫でてやり、俺は弱めの生命探知を使い辺りを警戒する。

 そのまま星空を見上げながら、静かに魔力操作の鍛錬をしてながら夜が過ぎるのを待つ事にする。


 夜空には、そんな俺達を照らすように月と星の光が、優しく降り注いでいた。

6/24 18時更新予定。

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