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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
2章 スケルトンと人間
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22 新たなる一歩を

「いやーすまんすまん。つい熱が入りすぎたな」


「笑いごとじゃねーよ……。マジで死ぬかと思った」


 立川との訓練と言う名前のいじめを終えて、現在魔力の補給もかね、俺は変幻の指輪を使い人間形態となって食事中だ。

 ナーシャさんが作ってくれたお弁当を、立川と二人で頂いる。

 メニューは野菜やハム。それに卵サラダのサンドイッチだ。

 この世界には調味料として普通にマヨネーズや味噌、醤油も普及しているらしい。

 これも、立川よりずっと前にこちらに召喚された勇者達が広めた物だという。

 食事が出来るようになった今、それらをこのリングラッドに広めてくれた、先代勇者達に深く感謝だ。

 おかげで、この世界を回る楽しみが増えた。


 俺は、そのサンドイッチとあの不味いマナポーションもセットになってるが……。


「まぁ無事に魔闘法の習得が出来たんだしよかったじゃねーか。後は使い続けて練度をあげていけば、今みたいな動きも出来なくもないぞ?」


「人間明らかに辞めた動きだったけど……」


「俺は身体能力強化スキルも使ってるからな。普通の状態であれをやれば人間の血管や筋肉なんか簡単に千切れるだろうよ。お前はスケルトン形態なら魔力を通すと身体能力上昇するんだから、俺よりも無茶な動きもいずれできる。下手したら、魔物の体のお前の方が俺より強くなれるんじゃないか?」


「勇者より強くねぇ……。そしたら魔王にでも挑むか?」


「悪いことは言わないからそれはやめとけ。限度がある」


「冗談だよ。俺も好き好んで話聞いてるだけでヤバそうな魔王に会いに行きたくない」


 食事をしながらそんな話を立川としていたら、頭にマシロを乗せたエミリアが走ってきた。


「お父さん、ジェイドさんとの修行終わったー?」


「シャァ!」


「おう。エミリア。今終わったぞ。なんだ? マシロと一緒に迎えにでも来てくれたのか?」


「お母さんから、頼まれてたもの見つけたから、修行が終わってるなら確認の為に一度戻ってきて。だって」


「おお。見つかったか。そんじゃ帰るかジェイド」


「ナーシャさんに一体何を頼んだんだ?」


「まぁ、ちょっとな」


「シャー」


 マシロがエミリアの頭から降りると、俺の元にやってきて頭を差し出す。

 どうやら撫でろと言ってるようだ。


「よしよし。ちゃんといい子にしてたかマシロ?」


「シロちゃんはとってもいい子だよ? ねー?」


「シャー」


 エミリアはマシロを撫でて、にこにこしている。

 マシロもそんなエミリアに特に抵抗せず、撫でられてるのを見ると、随分仲良くなったんだな。

 子供同士で気が合ったのか?




「おかえりなさいあなた。ジェイド君も」


「おう。ただいまナーシャ」


「ただいま戻りましたナーシャさん」


 玄関でにっこりほほえんで俺達を迎えてくれるナーシェさん。

 ……やっぱ美人だなぁ。


「ジェイド。お前も男だから別に細かく言うつもりは無いが、ナーシャに手を出したら殺すからな?」


「わ、わかってるよ! そんな事しないから!」


 立川のこっちを見る目がマジだった。


「そ、それで? ナーシャさんに頼んでたものって何なんだよ?」


 その視線に耐えきれずに、話題をさっきエミリアちゃんが言ってた方向へ変える。


「ん? ああ。そうだったな。ナーシャ。見つかったんだって?」


「ええ。随分昔の物だからけっこう埃被っちゃってるけどね? 一応綺麗にしておいたわ」


 そういってナーシェさんが立川に手渡してきたのは小さな皮袋だ。俺が使ってるのよりやや小ぶりだな。

 だが、皮袋の口を結ぶ部分に赤い宝石の様な物がついている。

 よく見るとそれは魔石のようで、魔法陣が刻み込んであるのがわかる。

 ということは、この皮袋は魔道具だろうかか?


「懐かしいな。こいつは俺が冒険者時代に愛用してた魔法の袋だ。実は、あの城から逃げ出す時に、宝物庫に収められてた魔道具なんかもいくつか拝借しててな。こいつもその内の1つだ」


「爆破で混乱してる城から持ち出すとか、それ完全に強盗……」


「細かい事はいいんだよ! それにこいつは、容量もなかなかデカい方だぞ? 家2件分くらいは余裕であるんじゃなねーかな? 普通に俺が作るとしたらその半分が限界だろう。もっとも空間系の魔術を使えないから俺では作れないがな。その辺は腐っても国王の宝物庫だ。こいつもどこかの遺跡から発掘された物だろう。質も悪くないし、なにより燃費がいい。実に便利だぞ? こいつは出し入れするのに魔力もほぼ食わないし、袋の中は別の空間に繋がっててな。その空間は時間の流れが止まってるから、食糧等を入れても痛む事もない。ほれ。こんな感じで取り出すのも入れるのも楽だ。そのリンゴも5年以上前に買った物だぜ? こいつの便利さが分かるだろ?」


 そう言って、立川は魔法の袋からリンゴや短剣など幾つか取り出して見せた。


「実際に見ると凄いな……。明らかに入る大きさじゃないのにちゃんと収納可能なのか。しかも、このリンゴなんかさっき実ったばっかりみたいだぞ?」


 試に、そのリンゴを受け取り齧ってみたが、爽やかな甘さが口に広がり美味しかった。

 とてもそんな年月が経過した物だとは思えない。

 なんだか、元の世界で有名だった、青い猫型ロボットのポケットみたいだ。


「こいつをお前に譲ろうと思ってな」


「いいのか? 貴重な物なんだろう?」


「確かに貴重だが、俺にはもう必要無い物だ。逆にこれから冒険者になるジェイドには、何か必要になる。このまま、こんな場所で埃被ってるよりもよっぽどいいさ。先輩冒険者からの餞別だと思って、黙って受け取っとけ」


 立川はそう言い、俺に魔法の袋を手渡してきた。


「……ありがとう。大切に使わせてもらう」


「おう。ライムダールの冒険者ギルドには、ナーシャが紹介状を書いてくれてる。これを見せれば面倒な試験なんて受けなくても冒険者になれるだろうさ」


「ナーシャさんが?」


「おう。何を隠そうナーシャは6年前までライムダールにある冒険者ギルドの受付嬢をやってたんだよ」


「じゃあ、冒険者をしてた立川は、その経緯でナーシャさんと?」


「ええ。この人初めて私を見た瞬間に、結婚してくださいって言ってきたのよ? びっくりしちゃった。私より、素敵な人なんて沢山いるのに、それでも私がいいってずっと聞かなくてってね。あんまりしつこかったから、当時難易度が高くて誰も受けなかった飛竜の討伐依頼をクリアしたら考えてあげますって、そう言って追い払ったつもりだったのに……」


「本当にクリアしてきたんですね……」


「ええ。まさか本気にするとは思ってなかったわね。今までも、しつこい人にはこの方法であしらって、皆その依頼を見て諦めてくれたから……。でも次の日に傷だらけでギルドにこの人が帰ってきて、依頼を達成したって言ってきた時は本当に驚いたわ。しかも体中ボロボロで、その時私思わず、泣きながら謝っちゃったもの。断るつもりでああ言ったのに、そのせいで危険な依頼を受けさせてごめんなさいって。でも、この人、この程度の事であなたと結婚できるならいくらでもやるなんて言うんですもの……。それで私の方が結局折れちゃってね。そのままプロポーズを受けたの」


「いやー。当時は俺も若かったからなぁ……。飛竜討伐の依頼を受けて、その日のうちに巣まで行って飛竜に挑んだんだ。計画も何もなく、馬鹿正直に正面からのゴリ押しよ。流石にあの時は死にかけたけどな。まぁ、その出来事もあって、俺とナーシャはライムダールではそこそこ顔が広いんだ。今回も、お前のために元職員としてギルドの紹介状を書いてくれたししっかり活用してやれ」


「はい。どうぞジェイド君。これを冒険者ギルドに提出してくれれば、簡単な手続きで、ジェイド君も冒険者になれるわ。きっと大変な事もあるでしょうけど、頑張ってね?」


「はい。ありがとうございますナーシャさん」


「まぁお前なら無茶しなければ、冒険者としても十分やっていけるだろう。この袋の中には、他にも俺が当時作った魔道具や各地を回ってた時に買った地図なんかも入ってる。もう今の俺には必要のない物だ。入ってる物は全部リストに記入してるのが入ってるから、ライムダールに着いたら宿屋ででも中身を確認してくれ」


「それは心強いな。大事にするよ」


「おう。んじゃ飯にするか。ジェイドの修行で動き回って腹が減ったぜ」


 そう言えばもう夕方か。

 修行に熱中しすぎて立川は昼を食べるのが遅かったが大丈夫なのか?

 ちなみに俺の場合は、人化しても胃腸が無く、すべて喉辺りで食べたものが魔力に分解されるので、魔力量最大までならいくらでも食べられる。

 便利な体だな。


「はいはい。二人ともちゃんと手を洗ってからね?」



 そうして、俺が立川家で過ごす最後の夜が更けていった。



 そして翌朝。

 ついに俺とマシロが旅立ちの日がやって来た。

 現在俺とマシロは玄関前で、立川一家に、出発を見送られている形だ。


「いよいよか。落ち着いたら、また顔を出せよ。エミリアやナーシャも喜ぶし、俺もやっと会えた同郷人だ。今度はお互いに酒でも飲みながら普通に話をしよう」


「またいらっしゃいジェイド君。私の手料理でよければ、いつでも御馳走してあげるからね」


「立川。ナーシャさん。本当にお世話になりました!」


「シロちゃん……。もう行っちゃうの?」


「シャア……」


「また遊びにきてね?」


 マシロもエミリアとの別れを惜しんでいるようだ。


「エミリアもありがとうな。マシロと仲良くしてくれて。またマシロを連れて遊びに来るからさ」


「うん! 約束ねジェイドさん。シロちゃんも元気でね?」


 エミリアはマシロとの別れを惜しむように頭を撫でている。

 マシロも大人しく撫でられていたが、やがてエミリアはそっとマシロから手を離して、立川とナーシャさんと共に手を振ってくれた。

 マシロもちらりとエミリアを見たが、俺の方へと向かってくるので、そっと撫でて、抱きかかえてやった。


「行こうかマシロ」


「シャア!」


 マシロは返事をすると、俺の体を器用に昇るとそのまま首に軽く巻きつき右肩に頭を乗せてくる。

 どうやら人間形態の時はここを定位置にするつもりらしい。

 パッと見マフラーとかにみえなくもないかもな……。

 まぁ、冒険者には魔物を従魔として使う者もいると立川が言っていた。

 冒険者登録をする時にマシロの事も登録しておけば、余計なトラブルは回避できるだろう。


 俺とマシロは見送ってくれた立川一家に礼を言い、そのまま村を出ると、街道を進み始める。


 次の目的地は、ここより北東。

 ライムダールの街だ。

[名前]  ジェイド

[種族] スカルウォーカー

[状態]  通常

[ランク]  D

[Lv]   14/20

[HP]   113/113

[MP]   65/65

[攻撃]   66

[防御]   59

[魔法攻撃] 37

[魔法防御] 35

[素早さ]  87

 剣術LV1 短剣術Lv2 忍び足 生命探知 

 夜目 投擲Lv2 毒無効 ステータス閲覧

 魔力探知Lv1 魔力操作Lv1 魔闘法

 [付与スキル]

 エンチャント風 ※(ククリ装備時のみ)


[名前]  マシロ

[種族] リトル・ドラぺント

[状態]  通常

[ランク]  D

[Lv]   1/15

[HP]   65/65

[MP]   30/30

[攻撃]   40

[防御]   33

[魔法攻撃] 25

[魔法防御] 20

[素早さ]  45

[所持スキル] 

 噛みつきLv2 毒牙Lv2 ブレスLv1

 鱗強化 夜目

[ユニークスキル]

 突然変異Lv2


これにて2章終了です。

3章は、ある程度ストックが出来次第投稿いたします。

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