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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
2章 スケルトンと人間
13/60

12 マシロ

7/11 加筆修正

8/6 逃げていくゴブリン達と遺跡の関係性について少し追加。

 ひょんな事から、俺に懐いてついて来てしまったこの白蛇。

 いつまでも白蛇ってのもなんだし、何か名前でもつけてやるかと思ったが……。

 んー……白いからシロ。

 いや犬じゃないだし……。

 蛇……リキッド? いやいや。ダメだろう。

 やっぱここはシンプルなのが一番かな?

 しばらく悩んだが、結局は真っ白で蛇の魔物だから、その二つの意味を込めて魔白マシロと名付けた。

 

 ……安易すぎたかなやっぱり。

 だが俺にネーミングセンスを期待する方が間違ってるのだ。

 響きはわりと可愛いと思うし、この子がオスでもメスでもどっちでも悪くないだろう。

 これでも結構悩んだんだし、名前はマシロに決定だ。

 

 そのマシロは、今は俺の肋骨に巻き付いており、隙間からきょろきょろと周囲を興味深そうに見回している。

 普段より高い景色が珍しいのだろうか?

 呑気な奴だな……。

 まぁ、動きが可愛いからいいんだけどさ。

 実際俺は、マシロのおかけで孤独感が和らいでいるし。

 なんか独身の人がペット飼うと余計結婚出来ないって話を聞いた事があるが、これがその気持ちか。

 別に今は意中の異性がいるわけでも無いし、そもそもこの見かけで色々と終わってる。

 

 あー。せめて人型になりたい。

 折角の異世界なんだから可愛い女の子と恋とかしてみたいと、歳甲斐も無く思ってしまうのは別に悪い事ではないだろう。

 こんな深い森なんだし、近くに美人のエルフでもいないものかな……。

 

 ふと、マシロが立ち止まった俺を不思議そうに見ているのに気付く。

 ずっと変わらない森の景色に、正直ウンザリしてるのだ。

 これくらいの妄想位させてくれ。


 俺は、気を取り直し再び歩きだしたが、今度はマシロがこちらにシャーシャーと鳴き何かを訴えてくる。

 

 なんだ。もしかして腹が減ったのか?

 しょうがない奴だな……。


 少し待ってろとマシロをその場に下ろし、弱めの生命探知を使い辺りを探る。

 この茂みあたりか? んー……。たぶんこの辺。

 お。いたいた。

 近くに隠れていた野鼠を見つけだし、俺は投擲で石をぶつけて仕留める。


 昔、爬虫類好きの友人の家に遊びに行った時、そいつが飼っていた蛇に冷凍マウスを与えてるのを見たことがある。

 その蛇は、解凍された鼠を頭から齧り付き、そのまま丸呑みにしていたが……。

 正直ちょっと気持ち悪かったのは内緒だ。


 そういう記憶があったので、マシロにも野鼠を与えてみたのだが……。

 なんとマシロは、その鼠に噛み付くと、肉を食い千切り咀嚼して飲み込んでいる。


 あれー……? そこは丸呑みじゃないのか?

 

 予想外の行動に少し驚いたが、マシロは魔物なのだしこれくらい普通かもしれない。

 第一アルビノ種なのに、日光に当たっても平気そうにしているし。

 光が眩しいとか、そもそも紫外線等は大丈夫なのだろうかと心配したのだが、本人は、けろっとしていて今も食事に夢中だ。

 案外日光に耐性でも持ってるのかもな。

 本当に常識外れの生き物だ。

 魔物だし、きっとそういう物なのだと、俺は考えるのをやめた。


 やがて食事を終えるマシロは満足したのか、当たり前のように俺の肋骨まで登ってきて隙間から顔を出してきた。

 すっかりこの場所が気に入ったようだ。

 まぁ別にいいんだがな。


 再びマシロと共に森を歩きだしたのだが、その時突然、遠くから爆発音が聞こえてきた。

 続けて何か金属を打ち鳴らすような音も聞こえてくる。

 マシロも何かを感じたのか、警戒して周囲を見回している。


「シャー……!」


 俺も慌てて、音のした方角へと生命探知を発動してみると、結構な数の反応があった。

 なんだこれ? この先に魔物の集団でもいるのか?

 だがそれだけにしては、何か様子がおかしい。

 何かが魔物の巣を攻撃しているのか……?


 ……少し確認してみるか。

 マシロがしっかり捕まってるのを確認して、音のした方へと走り出す。 


 5分もしないうちに、森の木々が途切れた。

 どうやら開けた場所に出たようだ。

 近くにあった背の高い草叢に隠れ、周囲の様子を窺うと……。




 ――あれは……。


 前方に襤褸小屋の様なものがいくつもあり、その中で大量のゴブリンが動き回っているのが見えた。

 ここはゴブリンの集落か?

 だが、どうも何かに攻撃されてるなようだが……。

 ん?

 あれは……。

 まさか人間の集団か?


 視線の先には、武器を持ったゴブリン達と戦う、鎧やローブを装備した人間達が向かってくるゴブリンを次々に討伐している姿が見えた。

 ゴブリンは100体以上居るな……。

 対して人間の方は20人位か?

 だがゴブリンの数が凄い勢いで減っている。

 人間側は相当な強さだな。

 ノーマルゴブリンといえども、正面から悉く一撃か……。

 どうやら魔法を使える者もいるようで、時折火の玉が飛んでは着弾地点で爆発し、派手にゴブリンを吹っ飛ばしていた。


 圧倒的だな……。

 だがゴブリンの数が多い為か、結構な数が逃走してるようだが。

 追いかけている人間も中にはいるが、重い武具を装備した人間がすばしっこく体の小さなゴブリンに、この森で追いつくのはなかなか困難だろう。


 そういえば……。

 今ゴブリン達が逃げているのは、ちょうど俺が来た方向だな。

 けっこう遠いが、そのまま行けばあの遺跡擬きがあった場所か……。


 ああ。成程な。

 やはりあの遺跡擬きに居たゴブリン達も、こうして住処を奪われて逃げ込んできた存在だったのだろう。

 多分この森の他にもこうしたゴブリンの集落は存在してる。

 そこが人間や他の魔物に襲われた為に、あいつらは森の奥へと逃げたのだ。

 

 しかし、よくあの蟷螂達の領域を抜けられたもんだな。

 いや。案外俺の進み方が悪いだけか?

 あの蟷螂達って一定の、一定範囲内でしか活動してなかったし、ならば事前にその活動範囲を知っていれば、その場所を大きく迂回して進めば、遺跡までたどり着くのはそう難しくないと思うし。


 まぁ今は、それよりも前方で戦ってる人間達だな。

 再び視線をゴブリンの里に向けると……。


「あまり深追いはするなっ! 上位種を潰して統率を乱す事を常に意識しろ!」


 リーダーと思われる男が、他のメンバーに指示を出しながら群がるゴブリンを、手にした大剣で叩き切っている。

 凄まじい速度で振るわれる大剣は、触れたゴブリンを次々と吹き飛ばし辺りに血や臓物を撒き散らしている。

 他の人間達も弓や魔法、槍や斧などを使い、次々とゴブリンを屠っている。

 その中には、俺があれほど苦労して倒したホブゴブリンや、その上位種と思われるゴブリン達も次々と人間達に駆逐されていった。

 すごいな……。

 これがこの世界の人間の強さか……。

 予想よりかなり強いんじゃないかこれ?

 いや。あの人間達が上位の冒険者集団とかの方がしっくりくるかもしれないな。


 最初はかなりの数がいたであろうゴブリンは、今やその数を半分近くに減らしている。

 このまま残ったゴブリンが全滅するのは時間の問題だろうな。

 最後までここに留まっていると、俺達まで巻き込まれる可能性もあるし、ここらで撤退するか。

 そのまま俺達は、ゴブリンの里を迂回して進もうとし……。


 ふと背後に気配を感じて振り返ると、1匹のゴブリンが木の陰から飛び出してきた。

 その手にした棍棒は、既に振りかぶられており、俺の頭へ向けて振り下ろさんとしてくる。

 

 っ!? しまった!


 生命探知の範囲を前方にしか設定してなかったのが原因で、気付くのが遅れた。

 慌てて回避しようとするが、それよりも早く突如マシロが俺の体から飛び出し、ゴブリンの喉に食らい付いた。


「グゲェ!?」


「シャアア!」


 そのままゴブリンの喉を食い千切ると、素早く離脱して俺の元に戻ってくる。

 マシロは普通の蛇ではない。

 その牙は噛み千切る事に特化しているからこういう戦い方を好むようだ。

 喉を噛み千切られたゴブリンは既に息絶えていた。


 どうやら俺はマシロに助けられたようだ。

 頭を撫でてやると目を細めて嬉しそうにマシロが鳴いている。


「シャア。シャシャー……」


 再びいつもの俺の肋骨へと場所を移したマシロは周囲を警戒している。

 またさっきみたいに、ゴブリンが襲ってきても面倒だな。


 マシロが落ちないように支えてやり、生命探知の範囲を全方位に変えて急ぎゴブリンの里を迂回して走る。


 30分くらいだろうか。

 かなりの速度で走ったからか、もう範囲内に人間の反応は無い。

 俺は足を止めて腰を下ろした。

 流石に魔力を少し使い過ぎたか。

 生命探知は便利だがやはり魔力をけっこう食うな。

 早くLvを上げて少しでも魔力を増やしたい所だ。


 腰を下ろしたことで、マシロが心配そうにこっちを見ていたので、その頭を撫でて、心配はいらないとアピールしてやる。

 さっきは油断して危なかったからな。

 マシロがいてくれて助かった。


 そういえば……。

 俺を助けてくれるために、マシロはあのゴブリンを倒したのだが……。

 ひょっとしてLvが上がっているかもしれないな。

 どれ。

 せっかく休憩してるんだしマシロのステータスを確認してみるか。


[名前]  マシロ

[種族] ベビー・ホーンスネーク

[状態]  通常

[ランク]  E

[Lv]   3/10

[HP]   30/30

[MP]   11/11

[攻撃]   17

[防御]   11

[魔法攻撃] 9

[魔法防御] 9

[素早さ]  16

[所持スキル] 

 噛みつきLv1 毒牙Lv1 鱗強化 夜目

[ユニークスキル]

 突然変異Lv1



 おお。ちゃんとLvが上がっているな。

 やったなマシロ。


 ん?

 そういえばステータスに名前か表示されてるな。

 

 俺がそう認識してるからか?

 それともマシロ本人が分かって受け入れたとか……?

 ……うん。

 考えてもわからん。

 まぁ別に問題は無いから気にしない事にするか。


 うーむ。

 しかし先ほどのマシロの攻撃はなかなか見事だったな。

 マシロは俺が思ったよりも強いのかもしれない。

 これなら次からはマシロも一緒に狩りをした方がいいだろうな。

 俺だってまだLvを上げないと辛そうだし、ずっとマシロを守ってやれる保障もない。

 マシロ自身が強くなってくれれば俺としても心強いし、自分の事に集中できる。


 よし。今後は、魔物狩りをする時はなるべくマシロも参加させよう。

 精々強くなって俺を楽させておくれ。

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