閑話休題 グランベルの不思議
前話の補足です
「グランベルさんてさ、人気者なんだろ?」
アキタはニアに聞く。
「そうよ。容姿端麗、質実剛健、地獄に咲く鈴蘭、最強の貴婦人、ってね。ある意味、今の防魔局のアイコン的存在よね。確かにあの人が上級指揮官用防魔装備着てるところはカッコいいもん」
「でも俺と会ったとき誰も気付いて無かったぞ?」
「それは彼女が「散逸の霞」っていう特遺物を持ってるからよ」
「さんい、つ?」
「相手の注意とか視線とかを自分から他へ逸らす効果があるグリフみたいな物よ。大分危険な物だけど、それだけ彼女への信頼が厚いってことよね」
「そうなのか」
「散逸の霞の持ち主が声を掛けた人にだけ存在が認識されるそうよ」
「へー」
「レリックは教皇でも頭を垂れる中央の更に奥、「智慧に触れる者達」から齎される超極秘……」
「……詳しいんだな」
「ま、まあね。あー、用事思い出した。じゃあね」
ニアはそそくさと席を立って何処かへ行ってしまった。
「ふーん、サ、サン……。なんだっけ、三月の休み、いや、サンザシとカワセミ……。あー、わかんね。いいや」
「お? カワセミね。渓流に釣りに行くと居るんだよね。可愛いのがさ。アキタ隊員も好きなのかい?」
ジョエストが後ろから肩を叩く。
「あ、いや……」
「あの小柄な身体で一生懸命羽ばたいているのが愛らしくてねえ、あ、そうそう知ってるかい? カワセミはね……」
まさかジョエストの鳥談義に巻き込まれその後小一時間講釈に付き合わされるアキタだった。




