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奪還するは我が青き星  作者: 宙美姫
第1部 地球攻防戦
9/22

第9話 新兵器Gボンバー/前編(第1部・全15話)

複数のマルチモニターに表示される情報。

ひとつは長距離望遠映像であったり、ツングースカ・ファープの

シミュレーションであったり、数値のみの情報だったり。

その全てが劇的に変化して、2機のツングースカ・ファープの

パラボラアンテナ反射盤から攻撃が開始されたことを告げる。

2機のツングースカ・ファープから発射された白くキラキラ光る輝く2本の

集束点が細く集まっていく。

敵ドーム基地の表面がみるみるうちに『凍っていく』のがわかる。

高く上がり始めた朝日の日差しを浴びて、絶対零度光波砲と敵ドーム基地が

キラキラと光る。物体を急速冷凍にかけていく。

まるでタイムプラスで早送りしているようだ。

「敵ドーム基地表面、温度急速降下。現在マイナス50度。」

すると、その付近の天候が一変する。

それとなく薄暗くなり、近辺の森林に霜が降り、凍っていくのがわかる。

まさに物体とその周辺に急速冷凍をかけている状態だ。

局地が極端に気温変動が発生して、あたりの気流と気圧が変化する。

超兵器ツングースカ・ファープと敵ドーム基地付近の上空に雲が渦巻きのように

湧き上がってくる。

それは極端な気温変動なのか、それとも敵の反撃の狼煙なのかは不確定であった。


「敵ドーム基地から反撃です!」

複数クルーの衝撃の報告に一同、緊張が走る。

複数のモニターに目を配る一同。

それは例えて言うなら、電子顕微鏡で細菌を見ている感じ。

小さくて丸い細菌から、もにょもにょと糸状の触手がぐいぐい伸びていくようだ。

分析数値モニターやシミュレーションモニターを直視していたハヤセとマーシャは

あわてて最大望遠の長距離リアル映像を凝視する。

徐々に氷漬けにされていく敵ドーム基地から、糸状なのか、外骨格の骨状の

ヘビなのか、岩石をつなぎ合わせて形成した触手なのか、よくわからない

『糸状の触手』が複数伸びていき、左右3時と11時の方向で展開している

超兵器ツングースカ・ファープを『掴み掛かろう』としていた。

それはまるで『太陽虫』を半分にして地面においたかのようだ。

いや、地面から湧き出している半円の太陽虫といったところか。

まさに電子顕微鏡映像で半円の太陽虫が触手を多数伸ばしていき、

ターゲットの物体をワラワラと掴みにいくようであった。


一同一瞬、何が起きてるのか、よくわからなかった。

「あれはなに?」

呆然としたハヤセが驚きの声を上げる。

マヤが我に返って手元で分析されている状況を報告する。

「あれは、あれは外骨格状の塊が連結して接合されている『触手』のようです。」

見た事がない。

いままで得ていた情報分析にはない『敵の未知の構成物体』であった。

この時、ハヤセは表現することにできない恐怖に囚われた。

元々、敵の情報は豊かではない。

限られた敵の情報の中で対処していくしかなかった。

シベリア大平原のツングースカ『隕石』遺跡から発掘された『よそのもの』は、

未知なるオーバーテクノロジーであった。

それは多少は分析でき、今こうして『敵への対抗兵器』として運用活用している。

だが、物事全て『把握』しているわけではない。

言われしれぬ恐怖に包まれたハヤセは、すぐ横のマーシャに問いただした。

「どうする? 一旦注意する? それとも。」

マーシャの反応は早かった。

マーシャの判断は躊躇なかった。

「やるわ。Gボンバーの発射状況は?」

悩む事なくすかさずマーシャはマヤに問う。

「Gボンバー、いつでも発射可能です。」

マヤの回答を聞いたマーシャ、次の段取りを確認する。

「シミュレーション・ダークマター生成ユニットの状況は?」

マーシャの質問にマヤは少し焦って対応した。

マヤは全てシミュレーション済みのはずだった。

マヤは自身のプライドに賭けても、準備は万端であった。

だが、意図せず予想もしない事態が起きていたので、少しマヤは焦っていた。

何よりマヤのプライドが傷ついたのは、マーシャが静かに回答を待っていた事だ。

マヤは自身の回答が遅れている事で叱責された方が楽であった。

何も言わず横で静かに音もなく回答を待っているマーシャの

オーラにプレッシャーを感じ、対応に遅れが目立った。

そして。

「シミュレーションダークマター生成ユニット、安定率59パーセントです。」

マヤの解答にマーシャが素早く即答する。

「やるわ! Gボンバー! 2機のツングースカ・ファープが動いているなら、

やるべきよ!」


マーシャのその声に反応したかのように、作戦司令室にアラームが鳴り響く。

アラームは人類反抗軍の前進基地全体に響き渡る。

ハヤセたちが今いる作戦司令室は前進基地内の建物内にある。

室内照明が赤に変わり、その緊張度が増していく。

マヤが現在の状況を説明しはじめる。

「新兵器Gボンバーを使用します。それに備えて、前進基地内各主要施設は

これより、地下シェルターへと移動開始します。」

マルチモニターにこの作戦司令室のあるこの建物が表示される。

激しい振動が起こり、作戦司令室自体が地下にあるシェルターへと

降下していく様子が表示される。

やがて作戦司令室が地下シェルター最深部に到達し、

その上部には何重にも及ぶ隔壁で閉鎖されていく。


思い出したかのようにハヤセは指示を出す。

「帰還した地上部隊は?」

マヤがすばやく反応する。

「問題ありません。すべての地上部隊、すでに前進基地内の緊急耐圧シェルターに

避難完了しています。」

「ありがとう。マヤの判断のおかげね。」

ハヤセのそんな言葉に、マヤはちょっとだけホッとする。

さっきは自分のミスをマーシャに指摘され、しかもその修正を自分ではできなかった。

マヤはハヤセのそんな言葉が嬉しく、ふとハヤセの顔を見つめる。

「マーシャ、Gボンバー、行けるわ。」

ハヤセのその言葉の流れで、マヤはマーシャの表情を伺う。

だがマーシャはハヤセを見る事なく、これから起こることであろう事象の

シミュレーションをめぐらせていた。

マヤのコンソールに進行状況の告知音が響く。

視線を本来の業務に戻し、状況を報告するマヤ。

「Gボンバー、カタパルト発射車両にて発射準備進行中。」

作戦司令室のマルチモニターに表示されるリアル映像と進行状況シミュレーション状況。


Gボンバーのエンジン部分の発熱が急上昇して発進体制を告げている。

マーシャはそれを見つめて口を開く。

「シミュレーション・ダークマター生成ユニットの状況は?」

マヤは即答する。

先ほどの失敗は繰り返したくない。

「安定率52%。先ほどから下がりました。」

シミュレーション・ダークマター生成ユニットの状況表示メーターの数値が

まるで踊っているようである。

「やる?」

ハヤセはマーシャに問いただす。

「どっちみち、不安定暴走をしたところで、それが敵ドーム基地の上空で

実行できれば問題ないわ。」

ちょっと不安なハヤセ。

信念を持って状況を進行するマーシャ。

Gボンバー発射カウントダウンが作戦司令室内に響き渡る。

カウントダウン表示がゼロに到達する。

マーシャが口をひらく。

「Gボンバー、発射!」

マヤが続けて復唱する。

「Gボンバー、発射します!」

その声が作戦司令室に響き渡る。


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