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奪還するは我が青き星  作者: 宙美姫
第1部 地球攻防戦
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第6話 深夜の急襲1(第1部・全15話)

夜空の闇に流れる流星はとてもきれいだ。

流れ星が流れている間に願い事をすれば願い事が叶うとはよく聞く。

それが滅多に見ることができない流れ星であったら、そうであろう。

だがそれが、当たり前のように雨のように降り注いだらどうであろう。


ある日を境に大量の流れ星が見えるようになった。

夜間は当然の事、明るい昼間も盛んに見えるようになった。

最初のうちは、大勢の人々は喜んで願い事をかけていた。

だが、やがて休むことなく降り注ぐ流れ星に人々は徐々に恐怖を覚えていった。

そしてある日、それは地球の大気圏で燃え尽きることなく、

隕石が地上に落下するようになった。

それ以来、地球の大気圏を耐え掻い潜って、

地上に巨大隕石が落下してクレーターを作るようになった。

それはまるで『学習』していたかのように。

遊星爆弾なのか、コロニー落としなのか、月からのマスドライバーによる物なのか?

その分析と推理は、ひとつだけ合っていた。

それは『月から発射された隕石カプセル』であった事。


形成した巨大クレーターの中に落下した隕石カプセルから、

まるで細菌が繁殖していくように、

系のような、蛇のような、パイプのような形成物が領地を拡大していく。

巨大クレーターの隕石カプセルから、白き細菌のような、

シリコンの結晶物のような、クリスタルのような『根』が広く果てしなく

広がっていき『謎の侵略群』の進撃が始まった。

『地球は狙われていた』のであった。


夜遅く警報が鳴った。

早朝なのかもしれない。

もはや正確な時間など、ある種意味はない。

うっすらと空が明るくなっている時間帯。

遠くに見える富士山嶺がシルエットに見える。


昨日の出来事は何だったのか?

昨日は無事に生き延びる事ができた。

地下洞穴ダンジョンのワームホールでの出来事。

憧れのアヤカ先輩に会えたこと。

あまり好きではないカミヤに助けられたこと。

本部に届けた敵のドロップアイテムの事。

ハヤセ作戦司令と直に会話を交わした事。

そして、マーシャと言う外国軍の女性将校の事。


自身が寝ていた安普請の合宿トレーラーハウスから武器を持って飛び出すキリ。

他の隊員も同じようにゾロゾロと武器を持ってそれぞれの寝床から這い出てくる。

目の前に閃光が光る。

暗闇に慣れていた目に閃光が走り、思わず視界が焼き付けを起こす。

サーチライトだ。

キリがいる人類反抗軍の前進基地からサーチライトがくるりと回って

敵が来るであろう方向を明るく照らす。

キリがいる捨て駒突撃隊には暗視ゴーグルは支給されていない。

何か最新鋭の暗視ゴーグルもあるらしい。

きっとアヤカ先輩やカミヤにも支給されているのだろう。

イヤなやつのことは考えなくていい。

今はアヤカ先輩の事だけ考えていればいい。

キリの思考がアヤカ先輩の面影を思った瞬間、昨日の出来事のハヤセ作戦司令や

マーシャと言う外国軍の女性将校の記憶が頭の中を走り巡らす。


「見えたぞ!」

誰かの叫び声で現実の世界に引き戻される。

基地からの複数のサーチライトが暗闇の先を照らす。

かすかに明るくなった朝焼けの空が富士山嶺をシルエットで照らす。

その下の、まだ暗闇に包まれた森林群の中にチラチラとモゾモゾと蠢く

物体の数々。

敵の単独自立移動兵器だ。


それまでは言わば有線兵器=ケーブルで繋がっている詮索探知攻撃兵器であった。

ワームホールでキリがゲットしたスキャンチューブのセンチネルヘッドや

中継ステーションとしての要塞級のメドゥサは、

敵のドーム基地と直接繋がっていた。

だが今、キリたちが目の前にしているのは、単独自立兵器群である。

無線で繋がっているドローンみたいなものかも知れない。

だが今は、それを確認する術はない。


敵の単独自立兵器群。

キリの目にはまだそれらが正確には見えない。

まるでピンボケ画像のように。

まるでクラゲのように。

まるで『円盤生物』のように。

ご丁寧にみな全て白色。

シリコンのような、クリスタルのようなボディがサーチライトに

照らされて白く光って見える。

その質感はまるで電子顕微鏡で見る異形の微生物のようだ。

電子顕微鏡で見た微生物は、まさにこの世のものではないように

見えることがある。

まさに、それだ。

頭部が円盤状の形状。

下部は糸のような蛇のようなパイプのような複数の『足』。

グラスファーバー状の足が何本もある。

三本足だったら、伝統的な火星人のトライポッドだったのだが。

それに近いけれど同じではない。

どうやって大きく重たそうな頭部を支えている?

重力制御装置とかあるのか?

それとも複数の足はそれほど耐久力があるのか?

円盤状の頭部の下部、ちょうどパイプ状の複数の足の間、

それは股間と呼んでいいのだろうか?

そこから『隕石』のような塊をボトボトと落とす。

まるで動物の糞だ。

それが動物の糞だったら何より良かったのかも。

それは言わば『卵』。

異形の大きな『卵カプセル』がパッカり割れて、

中から白い小虫兵器生物がワラワラと出てくる。

見ていて気分のいい物じゃない。

何だろう、これ? と思って拾った塊が実はそれが卵で、

絶妙のタイミングで中から白い小虫がワラワラと出てくる状態だ。

げげっ! 冗談じゃない!

そう思っているところに、とても冗談ではない通信が入る。

全軍一斉緊急通信だ。

その声の主はすぐにわかった。

つい昨日聞いた声だ。

普段聴いている作戦命令を発する声の主。

それはハヤセ作戦司令であった。

簡単に言うと指示はこうだ。

キリが所属する捨て駒突撃隊が最前線に展開、迫り来る敵の

小虫兵器生物を駆逐する。

それ以外の部隊、たぶんアヤカ先輩やカミヤとかの突撃兵団は、

人類反抗軍の前進基地を死守する。

そんな命令だ。

ふざけた命令だ。

いつもそうだ。

いつも不愉快で作戦命令を聞いていた。

そのはずだった。

だがその声の主が、昨日会ったハヤセ作戦司令と分かった今、

なんとも言えない複雑な気持ちとなった。

それに横にいた外国軍のオブザーバー?のマーシャと言う女性武官の顔も浮かび上がる。

きっと環境のいい司令部でモニター見ながら作戦指示をしているのだろう。

嬉しくない。

ちょっと、と言うか、かなり不愉快だ。

だが現実はそんな事をぼやいている暇はない。

キリたち捨て駒突撃隊は、自身の装備を最終確認し、

武器を片手に最前線へと突撃した。


この世に『火』に耐性がある『生物』などいるのだろうか?

強力な火炎に耐える生き物など見たことも聞いたこともない。

だが、こいつらは違った。

敵の単独自立兵器群たちは火炎に耐えることができた。


卵カプセルから『生まれ出た』白い小虫兵器生物群。

卵カプセルなのか、落とされた蜂の巣なのか。

キリたち捨て駒突撃隊の遥か先方から、気味悪くピョンピョンとジャンプ

してくる白い小虫兵器生物群。

お前らはシラミかなんかか?

だがよく見るとクモのようにも見える。

こちらも、まさにその質感は電子顕微鏡で見た悪鬼の微生物を見ているようだ。

イヤだ。

イヤな連中だ。

キリたち捨て駒突撃隊は試しに火焔放射を駆使してみる。

富士山嶺の裾野の暗い森林が火焔放射で明るく燃え上がる。

だが白い小虫兵器生物群は火炎を物ともせずこちらに向かってくる。

わかっていた。

わかっていたことだが非常にムカつく。

「火焔放射はダメだ! 全員銃器攻撃に移るぞ!」

「撃て!」

一応指揮系統はある。

だが寄せ集めの捨て駒連中だ。

指揮系統もあった物じゃない。

みな、絶叫しながら伝統的火薬銃器を連射発砲して銃弾を敵に浴びせる。

伝統的火薬銃器の弾丸は効果があるみたいだ。

ボソッ!

ボコッ!

速射連射された弾丸は白い小虫兵器生物群の身体に刺さり込む。

弾丸を撃ち込まれたところだけ穴が空いて凹む。

だが、彼らは気にしない。

まるでダメージがなかったかのように、ピョンピョン飛んで迫ってくる。

こいつら、いったいどういう『生き物』なんだ?


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