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奪還するは我が青き星  作者: 宙美姫
第2部 奪還するは我が青き星
17/24

第2話 絶海の激闘(第2部・全14話)

「うおおおおーっ!」

キリはピンチであった。

以前とは違い他と同じ標準装備の機動歩兵とは言え、キリは苦戦していた。

やばい!

ヤヴァイ!

このままではやられる!

船団を守るため、船の一角で超電磁砲で防衛するキリ。

だが間に合わない。

終わることのない敵多角形兵器の触手攻撃の雨嵐。

足元となる船体は揺れ自身の身も安定しない。

激しい船酔いも加算され、さすがにキリはもうだめかと観念し始めていく。

まずい!

攻撃が止まない。

後ろはどうなっている?

自身の背後はガラガラだ。

もし今、自身の背後からふいに攻撃を喰らったら一巻のおしまいだ!

自身の背後に目配せしようと思ったその時、重い衝撃がキリの背中に走った。

ドスン!

まずい!

背後から敵の攻撃か?

しまった!

やられたか?

その時、声がした。

「キリ君、大丈夫?」

アヤカ先輩であった。

キリと同じ機動歩兵の装備をしたアヤカ先輩と背中合わせになるキリ。

「え? あ、アヤカ先輩!」

予想外の事態に驚きと喜びの表情を浮かべるキリ。

アヤカ先輩が口を開く。

「キリ君、がんばってるね!」

その言葉にキリは嬉しかった。

キリはアヤカ先輩の顔を見たかった。

だがアヤカ先輩はそんなキリの表情を見ることもなく口を開く。

「背中は任せたわ! やるよ、キリ君!」

そう言ってアヤカ先輩は超電磁砲を連射し始める。

キリは嬉しかった。

こんな状況下でアヤカ先輩に会えた事。

ピンチの自分を助けに来てくれた事を。

今、こうして憧れのアヤカ先輩と背中合わせになっている事を。

分厚い機動歩兵の装甲とは言え、今こうして憧れのアヤカ先輩と背中合わせで身を支え合っている。

感じる。

アヤカ先輩の空気を感じる。

姿は見えない。

顔は見えない。

だけど背中で感じるアヤカ先輩の存在。

キリは嬉しかった。

この状態がずっと続けばいい、そう思った。

だがそんな事は言っている状況ではない。

押し寄せる敵多角形兵器の触手攻撃を、背中合わせの二人は果てしなく撃破し続けた。



「超電磁砲戦車群はどう?」

船の総合司令室内のハヤセが問う。

すかさずマヤが応対する。

「各船団に搭乗している超電磁砲戦車群、現在機動展開して各個敵を迎撃中。」

マヤが一人で複数モニター表示のメインコンソールを操作しながら、各機に情報を共有させている。

「絶対零度砲は動き回る標的には使えないし、そもそも重力兵器系は効果範囲が広くて使えなし。今の戦術で行くしかないか……。」

ハヤセの不服そうな表情を見て、マヤは声をかける。

「超電磁砲戦車群と各個機動歩兵への情報予想は共有できてます。このままうまくいけば、上陸できます。」

マヤは憮然としているハヤセに気づく。

ハヤセが機動歩兵で迎撃に行きたい事をマヤは知っていた。

「ハヤセ先輩、いいんです。これで。ハヤセ先輩は作戦司令なので、ここに腰を据えて戦況を見ていてください。」

ハヤセが不満を告げる。

「でも、私も機動歩兵で迎撃に出なくて良かったのかな。」

マヤが即答する。

「はい。」

ハヤセが不満を続ける。

「私ここにいても意味ないし、マヤ一人で対応できてるし。」

マヤは返答を無視して作業に没頭した。


悔しい。

動けない自分が悔しい。

ハヤセは自分が動けない事に悔しさでいっぱいであった。

このままでいけば、なんとか種子島Ⅱに上陸できる。

このままでいい。

特に致命的な問題は発生していない。

ハヤセは別に緊急事態を望んでいるわけではなかった。

ハヤセは現状キープで何も問題ない事は理解していた。

だが、ハヤセが望んでいた?緊急事態が結果的に発生することとなった。

「システムダウン! メインがダウンしました!」

マヤの報告の温度はかなりの緊急性を告げていた。


船の総合司令室内に陣取られた大型モバイル式の総合司令コアが落ちている。

よりによってこのタイミングで!

「どうなってるの?」

ハヤセの問いに普段冷静なマヤが焦っている事はうわずって返答した口調ですぐにわかった。

「メインシステムダウン! 現在サブシステム2つでバックアップフォロー中です!」

総合司令コアの複数のモニターがブラックアウトして、戦闘予想フォーメーションが『遅延中』との表示がでまくる。

うわずったマヤの言葉に、ハヤセも影響される。

「2つのサブシステムに切り替わってるのよね?」

焦るハヤセの言葉に押されて、マヤの緊張はより加速されていく。

「え、あ、はい。今2つのサブシステムで機動歩兵への各個敵軌道予測と超電磁砲戦車群への各個攻撃タイミング予測を同時に処理してます!」

メインが落ちた結果、2つのサブシステムでの大量の複数処理が追いつかない。

相変わらず総合司令コアの複数モニターには『遅延中』『処理速度低下』の警告が表示され続けていく。

同時に各個迎撃チームからの苦情報告が入りまくる。

「え、あ、どうしよう! わかってます! やってます!」

明らかにマヤは混乱していた。

それと同時に降り注ぐ隕石群の雨の中、複数の多角攻撃体がまるで嘲笑うかのように空を縦横無尽に駆け抜ける。


ハヤセは息を呑み我に帰る。

「2つのサブシステムを分離して! それぞれオファーに変更!」

うわずったハヤセの声が少し静まる。

マヤは相変わらず焦ったままだ。

「え? あ、それって?」

ハヤセは身を乗り出しマヤのすぐ後ろにいたハヤセはかぶさるように身を乗り出す。

「機動歩兵向けと、超電磁砲戦車群への指示を別個に!」

しきりに顔を目を上下左右するマヤがそれに問う。

「でも! でもそれは一人じゃ無理です!」

マヤが珍しく悲鳴のような声を上げる。

「私もやるわ。私が機動歩兵向けを! あなたは超電磁砲戦車群向けに! それぞれ完全セパレートのオペレーションで!」

ハヤセはマヤの横に入り込み、複雑なコンソールを操作し出す。

「え? あ、はい。」

マヤとハヤセが横並びになり、システムの対応をそれぞれ行い出す。

ハヤセは続ける。

「2つをパラレルセパレートします! セパレート! 実行! 別れたわ。やるわよ!」

ハヤセの言葉にマヤは即座に対応する。

だがその声には先ほどまでのうわずった感じは消えていた。

「はい! わかりました、先輩!」


ハヤセが機動歩兵向け対応を。

マヤが超電磁砲戦車群向け対応を。

2人は並んで対応処理を行う。


ハヤセが計算結果を口頭で伝える。

「2時方向の敵標的群の行動予測、全モニターに転送します!」

マヤが落ち着いた口調で計算結果を口頭で伝える。

「9時から11時方向の敵標的群行動予測、送ります。はい。そうです!」

全軍の敵迎撃と種子島Ⅱへの上陸作戦は続行された。



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