再会を約束して
「……島は消えなかったな」
古代遺跡は崩壊したものの、古代遺跡のある島は消えなかった。
丸一日待ってから調査した結果、古代遺跡の同化現象を起こしたゲートも消滅していたことが判明する。
つまりまだ油断はできないものの、古代遺跡のあった島は今後も残るだろうと考えられた。
となるとアメリカも簡単には帰るわけに行かなくなった。
ほとんど何も分かっていない巨大な島が誰の支配下にもなく現れたのだ。
モンスターはいるものの、利用価値は決して低くない。
むしろモンスターだって資源とすら見ることもできる。
そのためにアメリカは一度引き上げたキャンプを再び古代遺跡の島に設営して、他に睨みを効かせることにした。
そのために艦船も動くわけにはいかなくて、トモナリたちも船の上で迎えを待っている状態だった。
「今後も睨み合いは続くだろうな」
トモナリたちが攻略を成功させた。
言ってしまえばアメリカが攻略したということになる。
攻略したというところから島の権利を主張する理由はあるだろうが、通常攻略を終えたゲートは消えるものだし古代遺跡の島の権利は誰も譲らず複雑な政治の嵐の中にある。
おそらくこのまま睨み合いが続いて誰のものでもない状態が続く。
そのうちに誰のものでもないが、島の調査なんかが話し合いの合意の下に行われていくことになるのだろう、とトモナリは思った。
「‘ダーリン、今回は色々ありがとね’」
古代遺跡が崩れてただの島になった島をトモナリは眺めていた。
甲板に立つトモナリの横にメリインが立つ。
メイリンは服が触れ合いそうなほど近い。
「‘まあ、悪いことは見過ごせないからな’」
最初は子供たちを助けてほしい、なんてお願いだった。
そのはずなのにいつの間にか古代遺跡のゲートを攻略することになっていた。
古代遺跡そのものよりも、今回は人間の闇と戦ったような気分になった。
「‘これからどうするんだ?’」
メイリンは子供たちと同様にアメリカに保護されることになるだろう。
しかし現段階でも強力な覚醒者であるし、ただ遊ばせておくのももったいない。
「‘しばらくは身を潜めることになるわね。私は向こうにとって不倶戴天の敵になってしまったわけだし’」
裏切り者が嫌われるのはどこでも同じだ。
色々と機密情報を抱えているメイリンは命を狙われる存在になってしまった。
「‘それでも大人しくしているつもりはないわよ。向こうがやってるわるーいことを色々潰して……余裕がなくなったら私のことなんて気にしていられなくなるでしょ’」
時間が解決する。
そんなふうに過ごすつもりはメイリンになかった。
姿を隠すものの、相手を揺さぶり余裕を無くして自分を追いかけるリソースをすり減らす。
こちらから積極的に動くことでより早く安定を手に入れようとしている。
いかにもメイリンらしい。
「‘ねぇ、もし私が自由になったら……私もあなたの仲間に入れてくれる?’」
ほんのりとメイリンはトモナリと距離を近づける。
並んで立つ二人の腕が触れ合う。
「‘メイリンほど強いなら大歓迎だよ。ただ……’」
「‘ただ?’」
「‘みんなと意思疎通を取るのに日本語も頑張ってくれ’」
トモナリは笑顔を浮かべてメイリンのことを見る。
色々と複雑なことはあるだろうが、それら全てのデメリットを考えてもメイリンという戦力の存在は大きい。
「‘ふふ、じゃあ頑張るわ。語学も苦手じゃないのよ?’」
回帰前は冷徹な傭兵であったメイリンも、今回は感情を殺したように冷徹であるばかりである必要は無くなった。
「‘困ったことがあったらいつでも呼んでね。アメリカに止められようと……あなたのためならどこへでも駆けつけるから’」
「‘ありがとう。メイリンがいてくれるなら心強いな’」
メイリンに起きた変化はこの先の出来事にも変化を起こすのだろうか。
それは誰にも分からない。
けれども起こるとしたら悪くない変化だろう、とトモナリは思ったのだった。
「ぬぅっ! トモナリから離れるのだー!」
ーーー第十一章完結ーーー
これにて十一章完結!
今後の更新予定ですが……とりあえずできるだけ毎日更新は目指します!
疲れてたらすると書くの間に合わなくて更新飛ぶこともあるけど、目標は毎日更新していくよ!
コミカライズについては、現在デイズネオというマンガ投稿サイトで漫画家様の募集コンテストを行っています!
漫画描いてる人が読んでる……わけはないかもだけど、読んで興味を持ってくれたら参加検討してくれたら嬉しいです。
これからのんびり書いていくからよろしくね!




